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【更新中】黒姫ちゃん、もっかいゆって? 挿話 ~ 忘却の転生魔法姫、オトコの剣に翻弄される? 思い出したら世界終焉 ~  作者: 香坂くら
その一 我が家

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010 ココロクルリさんと部屋を取り合い、対話で解決した?


 ココロクルリさんが突然こんなことを言い出した。


「2階の間取りを変えたいんだけど?」

「それってリフォームしたいってコト?」

「りふぉ……? 中国語? で言わないで。わざと知らない言葉つかってバカにするつもりね?」

「ルリちゃん。リフォームって和製の英語だにゃ。このばあい、改築するってイミだよ?」


 マカロン指摘乙。

 ココロクルリさん、耳まで真っ赤になった。

 思いの外ダメージが大きかったようで、マル虫のようになってしまった。


 こりゃ……どーにかしてリカバリーしてやらんと、ドハマリしそうな予感。いきなりリセットされる可能性だってある。


「……あ、あーと! そーいやマカロンはココロクルリ師匠のコトを『ルリちゃん』って呼んでるね。ふたりがとっても親しそうでほっこりするよー」

「ルリちゃんってさぁ。偉いクセに、ときどきすごーくおバカになる時があるにゃあ。だからつい、『ちゃん付け』しちゃうにゃん」


 わああっ。余計なコトを、バカチンがああぁっ!


「え、えーと。ココロクルリさん……さ、ところでどうして改築したくなったん?」

「えーとね……」

「うんうん?」

「……して」

「――え?」

「……付けして尊敬して……欲しい」

「うーん?」


 聞こえないよぉ。


「ごめん。なんて?」

「だからっ! ――()付けして、わたしを崇めてッ」


 はひ?

 あ、あがめて?

 ココロクルリさんを?


「……んーと。じゃあ、――こ、ココロクルリ……さま?」

「言いにくくないかにゃ?」

「んじゃ、ココロさま」

「ルリさまでいいんじゃにゃい?」


 チラ……と、こっちを窺う彼女。想像以上に嬉しそう!

 なんなの、このシチュ。


「ルリちゃん、メンヘラがすぎるニャ、ハナヲが困ってるにゃ!」

「いーや、いやいや困ってない、困ってないよっ! うんうんルリさま、じゃあこれからルリさまって呼ばせて頂きます!」

「やめてよ、恥ずかしい!」

「どっちなんだ!」


「つまりは『そうしてくれ』って言ってるんだにゃ」


 わっかるかーい!


「――で? あらためて聞きますが、ルリさまは、なして改築がしたいんですか?」

「決まってるでしょ。部屋が狭いから、広ーく大きくして欲しいの!」

「部屋? ひょっとしてルリさまの?」

「あなたの部屋を大きくしてどーするのよ!」


 わー……。


「でもさー。御言葉ですが、だいたいさぁ、ルリさまの部屋が家の中で一番大きいんやで?」


 ハッと立ち直ったココロクルリさん――改めルリ・さま。


「もーしょーがないなぁ」


 ちょっと来てよと手を引かれた。

 さっきまでの遣り取りを忘れたかのような溌溂さ。マジ機嫌回復したの?


 見せつけられたのは彼女の部屋。

 所せましとモノがあふれている。ダンボール箱の量も異常。狂ってる。

 片そうと努力したようだが、ケツを割った(=挫折した)模様。


 得意の転移魔法も巧く使いこなせなかったご様子。そりゃこれだけの物量と種類があればねー。脳内()()()()()()よね。


「ルリさま。師匠。ルリさまの魔法で部屋の改装をしたらいいやん? あの町ごとそっくり改造したように」

「はあぁ? わたし、町の改造なんてしてないし! わたしが出来るのは転移(ラトゥデション)。モノの改変なんて出来ないの!」


 ふーん……そーなんや。

 けども転移のたびに少しずつ町や家が変化してたんやけどなぁ……?


「……じ、じゃあダレが細部のディテールをイジったぽいの?」

「ハナヲー。細部とディテェールの意味が被ってるニャー」

「知らないわよ! サラとかじゃない? それより部屋、どーすんのよう」


 わたしは提案した。

 隣の部屋との壁を何処かに転移(ラトゥデション)したらどうかと。

 そうしたら一間になって部屋が広くなるよと。


「あっそれ、ナイスアイディア!」


 結果的に、わたしは提案したコトを後悔した。

 そうするコトでわたしの勉強部屋が無くなってしまったから。


 2階の二間は一間になり、ルリさまの占領下に置かれた。

 わたしは1階の和室に逃げ込んだんやった。


 武力行使、ダメ。ゼッタイ!


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