青空へ、天空へ
太陽を背に飛翔している
君の表情は逆光で翳のなか
だけど気持ちは汲みとれる
――用意はいい?
と微笑む悪戯の女神なのさ
二人、密な編隊を崩さずに
天空めざして駆け昇ってゆく
唐突な目配せのあとに
呼吸をあわせて揉鳥をうつ
上下右左の確信が揺らぐ
転回してるのは僕たちか
それとも地球なのか
太陽が眩しくて目が晦む
厚い綿雲を突きぬけた空に
君が引く航跡を見つける
ママとパパがいってたっけ
「抑制もまた自由のひとつ」
だけど君も僕も気にかけない
大地を這うような苦痛も
海で溺れるのも恐れない
楽しげに腰をふって踊ってる
やがては消える水蒸気の白い糸
航跡が絡み描かれる思い出
夕暮れる太陽から逃げようと
二人、青く燃える魂に点火する
濃紺の雲を突きぬけると暗闇が
手も繋げずに頼りにするのは
――安心して、わたしはここよ!
と瞬く、眼差しの光だけ
ママとパパがいってたっけ
「空腹は猜疑心のみなもと」
それを信じながら僕たちは
晩餐には諧謔や悲哀を食んだ
紫紺の雲の下から太陽が昇る
僕らが目指す天空を羨んで
雲ひとつない青空は楽園なのだ
心は自由な翼、宙を舞ってこそ
君が逃げて僕が追い、僕が逃げて君が追う
楽しげに腰をふって踊りだす
慌てて揉鳥をうち追いかける
それは華麗なる嘘と真実の舞い
僕が嘘をつけば、君は信じ
君が真実をいえば、僕は疑う
それは、終わりなき死の舞踏
転回して螺旋を描きつづけるも
地上に繋ぎとめんとする重力が
二人の心と体を苛みつづける
「もう無理だ、耐えられない!」
諦めたほうが撃ち落とされる
嘘が本当になるとき、死の舞踏は幕を閉じる
そうして僕たちはここまで来た
そうして僕たちは祝日を迎えた
君は優美な白鳥、僕は不穏な大鴉
白いレースに無数の宝石が煌く
花嫁衣装の君
黒い燕尾服に銀縞のスラックス
花婿衣装の僕
踊ろうとせがむ君
華麗な白いドレスの裾が翻る
不死鳥のような黒い尾も翻る
二人とけあって
心に赫い炎を燃やし
天へと昇る銀色の煙
それは終わりなき死の舞踏
天空を目指す大土蜘蛛の踊り
だけど僕たちは知っていた
いつ、どこにいたって
いまが青空だと
ここが天空だと
Les Chevaliers Du Ciel(Sky Fighters ) / Into The Fire(Thirteen Senses)
https://www.youtube.com/watch?v=mX9L8IuiwJA