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第0話「お母さんに連れられて歩いた道」
光きらめく街並みを、母と一緒に眺める時間が好きだった。
『おかあさん、あのね……』
子どもは、光あるものに惹かれるものなのか。
それとも、光り輝く世界に憧れを抱いていたのか。
今となっては、何を理由に心が奪われていたのか思い出せない。
『あなたに、大切な話があるの』
母は、私のことをあなたと呼んだ。
たとえ名前を呼んでもらえなくても、あなたと呼ばれたとしても、私はお母さんと血の繋がりがあると信じていた。
『あなたは……』
大好きなお母さんの声で、私はいつか自分の名前を呼んでもらえると思っていた。
『人を殺す可能性があるの』
それが、大好きな母との最後の会話。
大好きな母の声で告げられた言葉は、その言葉だけは、今も私の耳に突き刺さったまま離れることがない。
『今日からみんなの仲間になる、羽乃架ちゃんです」
母と別れたあと、私は名前を呼んでもらえるようになった。
母と別れたあと、私はようやく自分の名前を思い出した。
思い出した……。
思い出した……?
私の名前は、本当に羽乃架でしたか?




