ep 49
【再び、護衛依頼】
ブロンズランクに昇格し、ダインとの手合わせ稽古も経て、ガーディアンとして着実な成長を遂げているリューネ、ラビィ、ドラゴ、そしてアミュの四人。パーティー「戦乙女・ローズ」は、次なる任務を求めて、今日もクレッセントワルツの依頼掲示板の前に集まっていた。
「ブロンズになったんだし、そろそろもう少し手応えのある依頼に挑戦したいね」
リューネが掲示板を眺めながら言う。アイアンランクの頃とは違い、受けられる依頼の幅も広がっている。
「この『廃坑の調査と魔物掃討』ってどうかな? 宝探しみたいでワクワクしない?」ラビィが指差す。
「いや、こっちの『ワイバーン目撃情報の確認と、可能なら討伐』の方が強そうだダゴ!」ドラゴは相変わらずだ。
「どちらも危険そうですが、やりがいはありそうですね」アミュも冷静に依頼内容を分析している。
四人がどの依頼を受けるか相談していると、ふとリューネの目に、見覚えのある紋章が留まった。
「あ……この依頼書……!」
それは、以前彼らが初めての本格的な護衛任務として受けた、「フォレスト商会」からの依頼だった。内容は「積荷及び人員のデュフランまでの護衛」。依頼主の名前を見て、三人は(アミュ以外は)すぐにピンときた。
「ワカバさんの依頼だ!」
「またデュフランへ行くのかな?」
「また美味いものが食えるダゴ?」
「フォレスト商会……以前、大変お世話になった方々ですね」アミュも話には聞いていた。
「うん。それで、どうする? 受ける?」リューネが仲間に問いかける。前回はオルトロスに遭遇し、命からがら逃げるという大変な経験をしたルートだ。
「もちろん受けるよ!」ラビィが真っ先に答えた。「前回のことがあるから、ワカバさんも心配してるかもしれないし、それに、今のボクたちなら、オルトロス級が出たって……!」
「そうだゴ! 今のオレたちなら、どんな敵だってやっつけられるダゴ!」ドラゴも自信満々だ。
「前回のリベンジ、というわけではありませんが、私たちも成長しました。ワカバさんを安全に送り届ける、良い機会かもしれませんね」アミュも静かに同意した。
「……そうだね。よし、決まり!」
リューネは仲間たちの力強い言葉に頷き、受付のイレーザに依頼を受けることを伝えた。
「フォレスト商会の護衛依頼ですね。ちょうど今、依頼主のワカバ様がお見えになっていますよ。応接室へどうぞ」
イレーザに案内され、応接室に入ると、そこには以前と変わらない、快活そうな笑顔のワカバが待っていた。しかし、その笑顔の裏には、やはり隠しきれない不安の色が見える。
「まあ! 戦乙女・ローズの皆さん! またお会いできて嬉しいですわ!」ワカバは四人の姿を見ると、ぱっと顔を輝かせた。特に、見慣れないアミュの姿に少し驚いた様子だ。
「ご紹介します。新しく私たちのパーティーに加わった、アミュさんです」リューネが紹介する。「アミュさん、こちらが依頼主のワカバさん」
「初めまして、アミュと申します。以後、お見知りおきを」
「まあ、エルフの方! ワカバと申します。こちらこそ、よろしくお願いします」
挨拶を済ませ、ワカバは今回の依頼内容を説明し始めた。
「実は、またデュフランへ、少々急ぎで届けなければならない品物がありまして……。ご存知の通り、最近の街道は物騒で……。前回、皆さんには本当に助けていただきましたので、今回も、ぜひ『戦乙女・ローズ』の皆さんにお願いできないかと思い、指名させていただいたのです」
彼女は少し不安そうな表情で付け加えた。「もちろん、危険な任務であることは承知しております。報酬は前回以上に弾ませていただきますので……」
「ワカバさん、ご心配なく」リューネは力強く言った。「前回は、私たちもまだ未熟で、危険な場面もありました。ですが、今の私たちは違います。必ず、ワカバさんとお荷物を、安全にデュフランまでお届けします。安心してお任せください!」
その言葉には、ブロンズランクとしての自信と、前回のリベンジを果たそうという決意がこもっていた。
「まあ……! ありがとうございます! やはり、皆さんにお願いしてよかった……!」
ワカバは、リューネたちの頼もしい様子に、心から安堵した表情を浮かべた。
打ち合わせを終え、具体的な積荷(前回同様、厳重に封をされた木箱が数個だ)を確認し、リューネたちは再びワカバの護衛を引き受けることになった。
【作戦会議と出発準備】
前回と同じルートだが、油断は禁物だ。三人は(今回はアミュも加わり四人で)リリカーナで作戦会議を開いた。
「基本的なルートと危険箇所は前回と同じだけど、盗賊の活動が活発化していることを考えると、奇襲にもっと警戒が必要ね」
「アミュさんがいれば、魔法で索敵範囲も広げられるし、いざという時の回復も期待できるね!」
「オレが荷車を引くダゴ! 前よりずっと力持ちになったから、もっと速く進める!」
「敵が出たら、リューネとドラゴが前衛、ボクとアミュさんが後衛で援護。これでいこう!」
四人は、それぞれの役割と連携を確認し、必要な物資(今回はアミュの魔法に必要な触媒なども加わった)をリストアップし、手際よく準備を進めた。前回よりもずっとスムーズで、彼らの成長がうかがえる。
「よし、準備完了!」
「いつでも行けるよ!」
「任せるダゴ!」
「皆さん、頼もしいですね」
翌朝、アルトゥンの南門。リューネ、ラビィ、ドラゴ、アミュの四人と、依頼主のワカバ、そして積荷を載せた荷車。パーティー「戦乙女・ローズ」は、再びデュフランへの道へと出発した。
前回とは違う。今の彼らには、経験と、新たな仲間、そして確かな自信がある。それでも、道中、何が起こるかは分からない。四人は気を引き締め、新たな護衛任務に臨むのだった。




