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ガーディアン  作者: 月神世一
ガーディアン入隊

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66/85

ep 33

リザード族の陰謀を阻止し、ガーディアンとして大きな自信をつけたリューネ、ラビィ、ドラゴ。そんな彼らに、今度はドラゴから提案があった。

「なあ、リューネおねーちゃん、ラビィおねーちゃん! 今度の休み、オレの里に遊びに来ないかダゴ? 父ちゃんや母ちゃん、それに竜王様にも、オレがガーディアンになったことと、おねーちゃんたちのこと、紹介したいんだゴ!」

ドラゴの故郷、竜人族の里――それは、アルトゥンに住む他の種族にとっても、神秘と畏怖の対象として語られる場所だ。リューネとラビィにとっては、願ってもない機会だった。

「わぁ、本当!? 行ってみたい!」

「竜人族の里か……! どんなところなんだろうね!」

三人は期待に胸を膨らませ、デュークに短い休暇の許可をもらい、ドラゴの案内で険しい山々が連なる地域へと足を踏み入れた。

【竜人族の里】

竜人族の里は、人里離れた峻険な山脈の懐、溶岩の大地にも近い場所に、まるで自然の一部であるかのように存在していた。ゴツゴツとした岩肌が剥き出しの山々に囲まれ、空気が澄んでいるが、どこか硫黄の匂いも混じっている。家々は、巨大な岩をくり抜いたり、あるいは溶岩が冷え固まった洞窟を利用したりして作られており、質実剛健で力強い印象を与える。里のあちこちで、屈強な竜人族の男女が鍛冶に励んだり、武具の手入れをしたり、あるいは厳しい修練に励んだりする姿が見られた。彼らの硬質な鱗は陽光を反射し、力強い尻尾が地面を打つ音があちこちから聞こえてくる。

里の中央には、ひときわ巨大な岩山をくり抜いて造られた、威容を誇る建造物がそびえ立っていた。そこが、この里の長であり、全ての竜人族を束ねる竜王ドラグニュートの住居だという。

「リューネおねーちゃん! ラビィおねーちゃん! 見てくれダゴ! あれが竜王様の『竜牙城りゅうがじょう』だ! カッコいいだろ!」

ドラゴは、誇らしげに胸を張って説明した。その巨大さと威圧感に、リューネとラビィはただただ圧倒されるばかりだった。

ドラゴに連れられて竜牙城の中に入ると、そこは巨大な広間になっており、大勢の竜人族が三人を待ち構えていた。リューネたちを見る視線には、好奇心と共に、強い誇りと、値踏みするような鋭さが感じられる。

広間の奥、玉座のような場所に、ひときわ大きな体躯を持つ老竜人が座っていた。全身を覆う鱗は深紅で、頭部には威厳を示す大きな角が生え、その瞳は長い年月を生きてきた知性と、底知れぬ力強さを湛えている。彼こそが竜王ドラグニュートだった。

「ようこそおいでなされた、異郷の客人たちよ」竜王は、見た目の威圧感とは裏腹に、穏やかで、しかし威厳のある声で語りかけた。「我が同胞、ドラゴが世話になっておると聞いておる。礼を言うぞ。して、今日は歓迎の印に、我ら竜人族に古くから伝わる『武の舞』を披露しよう。存分に楽しんでいかれよ!」

ドラグニュートの言葉と同時に、広間に集っていた竜人たちが、各々が手にしていた武器――巨大な戦斧、鋭い槍、分厚い大剣など――を構え、鬨の声を上げて舞い始めた!

それは、単なる舞踊ではなかった。鍛え上げられた肉体から繰り出される、力と技の競演。武器を振り回すたびに、風が唸りを上げ、踏みしめる足音は地響きのように広間に響き渡る。リューネとラビィは、そのあまりの迫力と熱気に、ただただ圧倒されていた。

舞は次第に熱を帯び、やがて互いの力を確かめ合うような、熾烈な模擬戦へと変わっていった! 武器と武器が激しくぶつかり合い、火花が散る! 竜人たちは、互いに雄叫びを上げ、技をぶつけ合い、競い合う。それは、彼らにとって単なる戦闘訓練ではなく、互いを高め合うための神聖な儀式のようにも見えた。

その様子を見ていたドラゴは、もう我慢できなかったようだ。

「うおおお! オレも混ぜるダゴ!」

彼は背負っていた両手斧を手に取ると、興奮した様子で叫びながら、模擬戦の輪の中に飛び込んでいった! そして、自分よりもずっと大きな竜人たち相手に、物怖じすることなく、両手斧を力任せに振り回し始めた!

その様子を、竜王ドラグニュートは玉座から楽しそうに笑って見ていた。

「ハッハッハ! 血は争えんのう。あれが竜人族よ」

リューネとラビィも、最初はドラゴの無謀さにハラハラしたが、彼が他の竜人たちと互角に(あるいは、やや押され気味ながらも楽しそうに)打ち合っているのを見て、やがて面白そうに、そして少し感心しながら、竜人族の熱烈な「歓迎の舞」を見守っていた。

【竜の涙】

激しい模擬戦が一段落すると、ドラグニュートは、汗だくで息を切らしているドラゴと、見学していたリューネ、ラビィを、城内の宴会場へと招待した。

そこには、見たこともないような山海の珍味が、これでもかと並べられていた。巨大な獣の丸焼き、溶岩で焼かれた香ばしい魚、色鮮やかな山の幸……。リューネたちは目を輝かせた。

「さあ、客人たちよ、遠慮はいらん、存分に食されるがよい!」ドラグニュートが豪快に笑う。「そして、今日は特別だ。我が竜人族に古来より伝わる秘伝の酒、『竜の涙』を振る舞おう」

ドラグニュートが合図すると、屈強な竜人が、龍の彫刻が施された大きな壺を運んできた。壺の封が切られると、芳醇で、どこか力強い香りがふわりと漂う。ドラグニュート自らが、透き通るような琥珀色の液体を、大きな杯に注いでいく。

「さあ、まずは一杯」

リューネたちは、勧められるままに、恐る恐るその「竜の涙」を口にした。

「ん……! これは……!?」

口に含んだ瞬間、まず芳醇な香りが鼻に抜け、次に舌の上で複雑で深みのある甘みと、喉を通る際の燃えるような熱さが広がる。それは、リューネが今まで飲んだどんな酒とも違う、力強くもどこか優しい、不思議な味わいだった。

「……美味しい……!」

「わっ! すごい! ちょっと強いけど、すっごく美味しいね!」ラビィも目を丸くして頷いている。

「うまいダゴ! オレ、この酒、大好きダゴ!」ドラゴは、子供ながらも(竜人族は酒に強いのかもしれない)杯をあっという間に空にして、おかわりをねだっていた。

宴は、その「竜の涙」と共に、大いに盛り上がった。竜人たちは上機嫌で、太い声で古の歌を歌い、力強いステップで大地を踏み鳴らすように踊り始めた。陽気な雰囲気に誘われ、リューネたちも、最初は戸惑いながらも、いつしか竜人たちの輪に加わり、一緒に歌い、踊っていた。言葉は通じなくとも、音楽と酒と笑顔があれば、心は通じ合える。

気がつけば、空には満月が昇り、宴もたけなわとなっていた。リューネ、ラビィ、ドラゴの三人は、竜人族の豪快で、しかし温かいもてなしに心から癒され、最高に楽しく、そして満足した一日を過ごしたのだった。厳しいガーディアンの日常を忘れさせてくれるような、かけがえのない思い出となった。

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