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ガーディアン  作者: 月神世一
ガーディアン入隊

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56/85

ep 23

訓練場には、歓喜と安堵の涙、そして汗の匂いが満ちていた。厳しい卒業試験を乗り越え、アイアンランクへの昇格を決めたリューネ、ラビィ、ドラゴの三人は、互いに肩を抱き合い、喜びを分かち合っていた。他のツリーランクの仲間たちからも、祝福と羨望の声が飛んでくる。

そんな三人を、試験官を務めたデュークが呼び集めた。彼の表情は、いつもの厳しさに戻っていたが、その瞳の奥には、先ほどまでの激しい戦いを経て、確かな成長を遂げた教え子たちへの複雑な感情が宿っているように見えた。

「……さて、貴様らは合格したが、勘違いするな。アイアンランクは、ようやくガーディアンとしてのスタートラインに立ったに過ぎん。ここからが本番だ」

デュークは前置きし、一人一人の目を見ながら、それぞれの評価と今後の課題を告げ始めた。

「まず、リューネ」

「は、はい!」リューネは背筋を伸ばしてデュークに向き直った。

「お前は、剣と盾のバランスが良い。常に冷静に状況を判断し、防御で仲間を守り、隙を見て的確な攻撃に繋げる。その安定感はパーティーの要となるだろう。……だが、決定力に欠ける。一撃で敵を仕留める、あるいは状況を打開するための攻撃力が、今後の大きな課題だ。守るだけでは、守りきれん場面も出てくるぞ」

デュークの的確な指摘に、リューネは真剣な表情で頷き、その言葉を胸に刻んだ。

「次に、ラビィ」

「はいっ!」ラビィも緊張した面持ちでデュークを見る。

「お前の弓の腕と、その優れた五感、俊敏性は、間違いなく強力な武器だ。遠距離からの精密な射撃による援護や索敵能力は、他の者には真似できん。……だが、懐に入られた時の脆さがある。近接戦闘になった場合、あまりにも無防備すぎる。弓使いだからといって、接近戦を完全に避けて通れると思うな。最低限、自分の身を守るための体術や短剣術なども磨く必要があるだろう」

ラビィは、自分の弱点を突かれ、少し悔しそうな表情を浮かべたが、すぐに顔を引き締め、課題を受け止めた。

「最後に、ドラゴ」

「おうダゴ!」ドラゴは元気よく返事をした。

「貴様のその竜人族としてのパワーと、両手斧による破壊力は圧倒的だ。切り込み役として、敵陣をこじ開ける力は既にブロンズランクにも引けを取らんかもしれん。……だが、いかんせん動きが大振りで、隙が大きい。そしてスタミナの配分もまだまだだ。その有り余るパワーを、もっと効率的に、そして精密に扱えるようにならねば、格上の相手には通用せん。敏捷性と持久力を高める訓練が必須だ」

ドラゴは、デュークの言葉の一つ一つを真剣に受け止め、力強く何度も頷いた。

三人にそれぞれの課題を明確に示した後、デュークはふっと息をつき、ほんの少しだけ、その厳しい表情を和らげた。そして、普段の彼からは想像もできないような、温かみのある声で言った。

「……まあ、色々と言ったが……。本当によくやったな。よく、ここまでついてこれた」

その、たった一言。

それは、これまでの厳しい訓練の日々、流した汗と涙、挫けそうになった心を、全て肯定してくれるような、魔法の言葉だった。

「「「デューク教官……!!」」」

三人の目から、再び熱いものが込み上げてきた。今度は、悔しさの涙ではない。認められた喜びと、感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、涙が止まらなかった。辛かった日々が、この一言で報われた気がした。

「ありがとうございます……!」「本当に、ありがとうございました!」「教官のおかげダゴ!」

三人は、涙でぐしゃぐしゃになりながらも、心の底からの感謝をデュークに伝えた。

デュークは、そんな三人の成長した姿(泣き顔ではあるが)を見て、口元に、満足そうな、そして父親のような優しい笑みを、ほんの一瞬だけ浮かべた。

リューネ、ラビィ、ドラゴ。

厳しい試練を乗り越え、正式なガーディアンとして認められた三人の若者たち。

彼らは、それぞれの武器を手に、それぞれの課題を胸に、仲間との絆を力に変えて、今、ガーディアンとしての新たな、そして本格的な一歩を踏み出すのだった。彼らの冒険は、まだ始まったばかりだ。

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