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ガーディアン  作者: 月神世一
ガーディアン!

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31/85

ep 32

手柄の行方とそれぞれの想い

廃屋の周囲は、駆けつけた都市警備隊の兵士たちによって瞬く間に制圧され、捕縛された盗賊たちが次々と連行されていく。デューク・ケストレルは、警備隊の隊長らしき男に手短に状況を報告し、後処理を任せていた。その厳格な佇まいと的確な指示は、元騎士団長としての威厳を十分に感じさせるものだった。

「ダダさん、本当に、本当にありがとうございました!」

リーフ・フォレストは、ダダが取り返してくれた革袋を胸に抱きしめ、何度も頭を下げた。中に入っていたお守りの小石も無事だった。彼女の瞳は感謝と、そしてダダへの尊敬の念で潤んでいる。

「このご恩は、一生忘れません!」

「ううん、リーフの大切なものが見つかって、本当によかったよ」

ダダは、リーフの心からの感謝に、少し照れくさそうに、しかし嬉しそうに微笑んだ。

「ダダ、今日のあなたは本当に獅子奮迅の活躍でしたわね!」リリス・フォン・アストレアが、興奮冷めやらぬ様子でダダに近づいた。彼女の瞳は、先ほどの恐怖など忘れ去ったかのように、冒険譚の主人公を見るような輝きを放っている。「あの盗賊たちを一人で打ち破り、矢さえも掴んでしまうなんて! まるで吟遊詩人が歌う英雄譚のようでしたわ! わたくし、改めてあなたを護衛に選んで本当に良かったと思っていますのよ!」

彼女は、さりげなくダダの腕に自分の手を添え、親密さをアピールする。

リーフは、そんなリリスの様子に少しだけ頬を膨らませたが、すぐに気を取り直し、ダダを見上げた。

「でも、ダダさん、お怪我はありませんでしたか? あんなにたくさんの悪い人たちと戦って……」

「大丈夫、大丈夫。みんな、そんなに強くなかったから」

ダダはこともなげに言うが、彼の服のあちこちには、戦闘の際についたであろう土汚れや、小さな擦り傷が見え隠れしていた。

やがて、現場の騒ぎも一段落し、デュークが三人のもとへ戻ってきた。

「よし、貴様ら、ギルドに戻るぞ。隊長には、後ほどギルドマスターから正式に報告を入れると伝えておいた」

その言葉には、どこか安堵の色も感じられた。

四人がクレッセントワルツのギルドハウスに戻ると、受付にいたイレーザ・ウィローブルックが、心配そうな顔で彼らを迎えた。

「皆様、ご無事で……! 市場の方で大きな騒ぎがあったと聞きまして、心配しておりました!」

「ああ、イレーザさん、ただいま! ちょっと色々あったけど、大丈夫だよ!」

ダダが元気よく答える。

そこへ、奥の執務室から、何事かと顔を出したダイヤ・ヴェスペラが、四人の姿(特に少し汚れているダダと、興奮気味のリリス、そして安堵の表情のリーフ)を見て、目を丸くした。

「あんたたち、一体全体、市場で何をやらかしてきたんだい!?」

リリスが、待ってましたとばかりに口を開いた。

「聞いてくださいまし、ダイヤ様! ダダが、それはもう見事なご活躍で、市場を荒らしていた盗賊団を一人で壊滅させてしまいましたのよ! それはもう、圧巻の強さでして……!」

彼女は、自分がその場にいた証人のように、生き生きとダダの武勇伝を語り始めた。リーフも時折、心配そうに、しかし誇らしげに頷きながら言葉を添える。

「なんですって!? ダダが盗賊団を壊滅させて、おまけにデュークがその残党を捕らえる手助けをしたって!? それはとんでもない大手柄じゃないの!」

ダイヤの目が、カッと見開かれた。金銭の匂いと、ギルドの名声向上の気配を敏感に嗅ぎ取ったのだ。

「いやー、ダダ! あんたって子は本当に、次から次へとアタシを驚かせてくれるねぇ! これでまた、クレッセントワルツの名前がアルトゥン中に轟くってもんよ! 衛兵隊からも感謝状と、ひょっとしたら報奨金なんかも……!」

ダイヤの頭の中は、既に成功の算段でいっぱいだった。

デュークは、そんなダイヤの様子にやれやれといった表情を浮かべながらも、ダダに一瞥をくれた。

「……貴様、今日はよくやった。だが、単独での突出は褒められたものではない。常に周囲の状況と、己の限界を把握しておけ」

それは、彼なりの最大限の称賛と、そして指導者としての忠告だった。

「はい!」

ダダは、デュークの言葉に素直に頷いた。

リリスは、デュークがダダを認めるような発言をしたことに、少しだけ面白くなさそうな顔をしたが、すぐにダダに向き直り、満面の笑みを浮かべた。

「ダダ、今日のあなたの勇姿、わたくし、決して忘れませんわ!」

リーフもまた、ダダに改めて深々と頭を下げた。

「本当に、ありがとうございました、ダダさん!」

ダダは、二人の少女からの真っ直ぐな感謝と称賛に、少し照れながらも、胸の奥が温かくなるのを感じていた。

(人助けって、やっぱりいいな)

彼は、騒がしいながらも活気に満ち始めたギルドの中で、そんなことを素直に思うのだった。

ダイヤの野心、デュークの厳格な指導、そして二人の少女からの好意。それらが複雑に絡み合いながら、ダダとクレッセントワルツの日常は、また新たな一日を刻んでいく。

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