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ガーディアン  作者: 月神世一
ガーディアン!
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ep 3

グルンストラ国 - 多様性の坩堝

大陸中西部に位置するグルンストラ国は、峻険な龍哭山脈りゅうこくさんみゃくの麓、豊かな地下水脈に恵まれた大地に根を下ろす多民族国家である。総人口は約30万。決して大国とは言えないが、多様な種族が寄り集まり、独自の文化を形成している点で、他の国々とは一線を画す。

首都は**「湧水の都 アルトゥン」**。街の中央には尽きることのない大地の恵み、"始原の泉"と呼ばれる巨大な湧水池があり、そこから引かれた水路が街中を巡っている。石畳の道と、ドワーフ族の緻密な技術で建てられた堅牢な建物が並ぶ一方、人族の活気ある市場や、エルフが管理する静謐な知識院、獣人族の経営する異国情緒あふれる商店などが混在し、街を歩くだけでも多様な文化の息吹を感じられるだろう。

息づく種族たち

* 人族ヒューマン:

* 特徴: 環境への適応力と高い繁殖力を持ち、国の人口の約半数を占める多数派。能力的には平均的だが、それゆえに様々な職業に就き、国の運営において中心的な役割を担うことが多い。特に首都アルトゥンや街道沿いの商業都市に多く居住する。

* 文化: 実利を重んじる傾向があり、柔軟な思考を持つ。多様な種族との共存にも比較的慣れており、良くも悪くも「普通」であることを体現している。王家も人族から輩出されているが、これは他種族が政治の煩わしさを嫌った結果であり、人族が絶対的な権力を持っているわけではない。むしろ、各種族間の調整役としての苦労が絶えない。

* 小人族リリパット:

* 特徴: 身長は人間の半分ほど。華奢だが驚くほど身軽で、手先が器用。五感、特に聴覚と嗅覚に優れる。森や丘陵地帯に隠れ里のような集落を築くことが多いが、都市部では情報屋、斥候、弓兵、あるいは盗賊シーフとして生きる者も少なくない。

* 文化: 家族や仲間との絆を非常に大切にする。悪戯好きで陽気な一面もあるが、警戒心も強い。彼らの作る細密な工芸品や、特殊な薬草、罠の技術は高く評価されている。ラダサ菜やウサギンは彼らにとっても重要な食料。

* エルフ:

* 特徴: 長寿で、優美な容姿と高い知能を持つ。魔力の扱いに長け、自然との親和性が高い。繁殖力は低く、個体数は少ない。多くは人里離れた古森「静寂のしじまのもり」に住むが、知識欲や好奇心から都市に出て、学者や魔法使い、あるいは芸術家として暮らす者もいる。

* 文化: 悠久の時を生きるため、物事を長期的な視点で捉える。知識や芸術、自然の調和を重んじ、やや排他的な面もある。古代語や魔法理論に精通しており、グルンストラ国内の魔法研究は彼らエルフの協力なしには成り立たない。

* ドワーフ:

* 特徴: 頑強な肉体と、驚異的な手先の器用さを持つ。鍛冶、建築、工芸において比類なき才能を発揮し、グルンストラのインフラ整備や武具生産に不可欠な存在。龍哭山脈の地下に巨大な坑道都市**「鉄槌のてっついのろ」**を築いている者が多いが、人間の都市で工房を構える職人もいる。

* 文化: 職人気質で頑固だが、一度認めた相手には義理堅い。酒と歌、そして豪快な宴を好む。伝統と名誉を重んじ、一族の結束は固い。彼らの作る武具や建造物は、実用性と芸術性を兼ね備え、モンスターとの戦いにおいて大きな支えとなっている。

* 獣人族ビーストキン:

* 特徴: 動物の特徴(耳、尻尾、毛皮、身体能力など)を持つ多様な種族の総称。狼、猫、熊、鳥など様々なタイプが存在し、それぞれ身体能力や得意分野が異なる。筋力や生命力に優れる者が多く、傭兵や狩人、商人として活躍する者が多い。独自の部族社会を維持している集団もいる。

* 文化: 種族によって文化は大きく異なるが、多くは自然と共に生きることを好み、直感的で情熱的。誇り高く、仲間意識が強い。身体能力を活かした戦闘術や、特定の動物との意思疎通能力を持つ者もいる。その多様性ゆえに、時に種族間で対立することもあるが、共通の脅威に対しては団結する。

グルンストラの現状と課題

度重なるモンスターの襲撃は、グルンストラにとって最大の脅威であり続けている。特に龍哭山脈や国境付近の森林地帯は危険度が高く、オークの部族やゴブリンの集落、時にはワイバーンやグリフォンといった大型モンスターの目撃情報も絶えない。街々は高い城壁で囲まれ、見張り台が常に警戒の目を光らせているが、それでも被害は後を絶たない。

復興と破壊の繰り返しは国の財政を圧迫し、内政に十分な力を注げない状況を生んでいる。王や貴族(主に人族)はモンスター対策に追われ、民衆の間には不満や不安が燻っている。この状況を打開する一助として、また民間の活力を引き出すために、王家は**「ガーディアンギルド」**の設立を奨励した。これにより、腕利きの者たちが依頼を受けてモンスター討伐や護衛、人々の困り事解決にあたり、報酬を得るシステムが定着しつつある。しかし、ギルドの力が強くなりすぎることを懸念する声も一部にはある。

グルンストラを取り巻く世界

グルンストラ以外にも、人間中心の王国や、エルフが統治する森の国、ドワーフの山岳国家などが存在するが、いずれもモンスターの脅威に晒されており、国同士の交流は活発とは言えない。特に危険なモンスターが闊歩する地域を越えて他国へ移動するには、熟練したガーディアンによる護衛か、それこそ正規軍に匹敵するような大規模なキャラバンが必要となる。そのため、他国の情報は噂や、稀に訪れる商人、あるいは命がけで旅をしてきた者たちによって断片的に伝えられる程度である。

モンスターの脅威

この世界におけるモンスターは、単なる害獣ではない。ゴブリンやオーク、ナーガ(蛇人間)といった種族は独自の言語や社会を持ち、時には人間側の拠点を襲撃するだけでなく、彼ら自身の間でも縄張り争いや戦争を繰り広げている。彼らは単に凶暴なだけでなく、知恵を使い、罠を仕掛け、集団で連携してくるため、決して油断はできない。さらに、古代の遺跡に潜むアンデッドや、異次元から召喚されるデーモン、そして圧倒的な力を持つドラゴンなど、その種類と危険度は計り知れない。人々は常に、未知の脅威と隣り合わせで生きているのである

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