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1.『宗教の町』

『町だよ。マナ』

「そうだね…」

『千春がいる町?』

「うんん。この次の町だよ。千春がいるのは…」

マナはそう言うとペンタ君の矛先に布を巻き付け関所に向かった。

「ようこそ。チェリオへ」

関所に着くと役人が笑顔で挨拶をしてきた。

「ココを通り抜けます」

「えっ?旅の方。滞在じゃないのですか?」

「はい…ココの先にある町に急用があるので…」

「はぁ…そうですか…急ぎなら仕方ないですね……それではコレを向こうの役人に渡して下さい」

役人は紙に何かを記入すると近くに置いてあった板をマナに渡し門を開けた。

『あれ…何かな?マナ』

「さぁ…」

『あれれ?見ていかないの?』

マナは人込みの横を通り抜け足早に関所へ向かう途中、思わず足を止めた。

「…芒様……」

なぜなら聞くはずの無い名前が聞こえたからだ。

『マナ…今、芒の名前が出なかった?気のせい?』

「気のせいじゃないよ…」

マナはそう言うと人込みを押し抜けて人込みの中心に向かった。

マナは目を見開いた。

今、目の前で起きてる光景が信じられなかったから…

正装した少女が十字架に張り付けられ、その周りを子供達がグルリと弓を構え立っていた。

弓は装飾された祭具用の弓だが…矢は違った。

矢は遠目に見てもその鋭さが良く分かる、殺す為の矢だった。

張り付けられた少女を見つめながら、町の人達は恍惚の表情で思い思いの事を呟いていた。

「芒様…どうか…」

「芒様…芒様…」

「今年も平和に…」

「芒様…恩恵を…」

マナは込み上げてくる嘔吐感を押さえ込みながらふらふらと、街角に向かって歩き出した。

『どうしたの?マナ』

「ごめん…ちょっと忘れてた…」

『外がこんな世界なのは今に始まった事じゃないよ?』

「うん…ちょっと忘れてたんだよ…」

『どうしたい?マナ』

「ちょっとだけ…この町に居ていて良い?」

『僕は良いよ』

「ありがとう。ペンタ君」

弱々しくペンタ君に笑顔を向けるとマナは近くを通り掛かった町の人に歩み寄った。

「すみません。アレは何をしてるんですか?」

「ん?あぁ…旅の方か…アレは芒様に生け贄を捧げてるんだ」

「どうして?」

「芒様が血肉と魂を望んでいるからだ」

「………」

「芒様に血肉と魂を捧げれば田畑は実り、災いから守ってくれる守り神様なんだ」

「………」

「芒様は昔、フォースガードと共に…って君どこに行くんだ?」

マナは町人の話を途中まで聞くと生け贄の少女の下まで歩き出した。

生け贄の少女まで辿り着くとペンタ君の布を一振りで外すと高らかに宣言した。

「これ以上、芒を愚弄するのは鮮血のマナが許さない!」

マナは宣言し終わると生け贄の少女を拘束している縄を断ち切った。

「何をするんだ!」

「よくも!芒様に捧げる儀式の邪魔を!」

「こうなったら貴様も一緒に生け贄にしてやる!」

町人達が口々にそう言うと武器を持ち始めた。

「ごめんね…ペンタ君」

『はぁ…謝らないでよ。もしもマナがこうしなかったら僕はマナに幻滅したんだから…』

「あはは♪」

『我が名は魔槍、ペンタ!!我が友を愚弄した罪。死を持って償え!!!』

「あはは♪行くよ!ペンタ君。炎の魔法。ファイアーブレス」

町人達は驚いた。

それはマナが魔法使いだからでも、ペンタ君が喋ったからでも無く。ただマナが楽しそうに舞っていたからだ。

やがて驚きは畏怖に変わり…畏怖は町人達に逃げる事も挑む事さえさせず。ただ、震えて立つ事しか出来なかった。

「ペンタ君、行くよ」

マナはペンタ君を大きく後ろに構え…

『うん』

ペンタ君は自身を炎に包み…

「『奥義、スラッシュゼロ』」

そのまま横に大きく薙いだ。

その大降りの横薙ぎから放たれた炎と衝撃波は町人達を切り裂いた。

「ペンタ君」

マナはゆったりとペンタ君を上段後方に持っていき…

『うん』

呼応するペンタ君は刃を炎に包んだ。

「『奥義、クラッシュデストロイ』」

降り下ろすと同時に炎が混ざった衝撃波が大地を裂きながら次々と民家を引き裂き始めた。

マナはたった二激で町を廃墟に変え、大半の命を奪い取った。

間近でソレを見ていた生け贄の少女は狂戦士と化したマナを畏怖の目で見つめると思わず呟いた。

「…どうして?」

その声にマナは無垢な笑顔で振り向くと吐き捨てた。

「ムカつくから☆」

『ひどっ!マナ、ひどっ!』

「じゃ…ペンタ君はどうして?」

『殺したいから♪』

「ひどっ!ペンタ君の方がひどっ!」

生け贄の少女には理解出来なかった。

なぜ彼女達はこんなにも楽しそうにしてるのか?

なぜ彼女達は迷い無くこんな事をしたのか?

何より赤の他人がなぜ神聖な儀式を邪魔してるのか?理解出来なかった。

だから…

「どうして?…」

また同じ事を聞いてしまっていた。

「まだ分からないなんて馬鹿?」

『僕が最初に言ったよ?』

「『芒を愚弄した罪、死を持って償え!!』」

マナとペンタ君の叫びに呼応するように火柱が立ち昇った。

「炎の魔法。ヘルフレイム」

立ち昇った炎はそのまま四方に飛び、まだ建っている建物を燃やし生きている者を燃やし始めた。

まるで地獄のような光景に生け贄の少女は腰を抜かしマナを見上げた。

マナはその世界の中で笑っていた。

自分がした事がなんて事が無いかのように…

「悪魔…」

生け贄の少女の言葉にマナは振り向くと初めて睨み付けた。

「誰よりも優しかった芒に生け贄だなんて…君達のしてる方が悪魔だよ」

「………」

マナの睨みに生け贄の少女はすくみ声が出なかった。

『そんな芒にこんな事をしたんだ。償いなよ♪その命が続く限り』

「…どう…いう…事?」

「君だけは故意的に残してあげる♪だから魂に刻みなさい。私、鮮血のマナと…」

『魔槍、ペンタの事を』

「………」

「芒はね。何もしてくれない。だって芒は神でも無ければ悪魔でも無い…ただの優しいお人好しだから…」

マナはどこか遠くを見つめながらそう言うと生け贄の少女の意識を奪いその場から立ち去った。



『驚いたよ』

「何が?」

『確かに僕も言ったよ?でも…殺すとは思わなかったから…』

「………」

『町を破壊して立ち去ると思ってた』

「………」

『だから驚いたよ…』

「私は…強く成らないといけないの…」

『………』

「だから、あんなモノ見てあんな気持ちになったらダメなんだよ…」

『…だから殺すの?子供も大人も男女も関係なく…』

「………」

『マナ…聞かせてくれるかな?』

「何?」

『芒との約束の一つを破棄してまで貫く事?』

「違うよ。私は芒を護るための槍…ただ、それだけだよ」

『………』

「さぁ行こ♪千春が待ってるよ♪」

マナは千春が待つ町に向かって歩き出した。

拭いきれていない気持ちと共に…



「許さない…私の町をこんなにした鮮血のマナ、魔槍のペンタ」

少女は廃墟の中歩き回っていた。

「許さない…」

憎しみを込め踏み出し…

「絶対に許さない…」

そして、出会った…

「うふふ♪可愛いわね♪来なさい。貴女に相応しい力を授けてあげる」

「………」

「いらないなら良いわよ?マナに脅え暮らしなさい♪嫌なら来なさい。誰も習得できなかった。闇の魔法を授けてあげる♪」

「それなら殺せる?」

「うふふ♪名前は?」

「レシア…」

「そう。私は聖、機導国家、ガルムの王よ♪」

レシアは聖の手を握った。



イル「やっふほ〜!再び登場、久々登場、やっぱり登場」

チカ「うざ〜い!!チカファントム」

イル「チカ!そう何度も僕には同じ技が通用しない!」

チカ「イル…いい加減にしないと………本気出すよ?」

イル「チ、チカさん?前回から何を怒ってるのですか?」

チカ「………分からない?」

イル「えっと…」

チカ「本当に分からない?」

イル「ごめんなさい…」

チカ「イル…自己紹介は?」

イル「あれ?してなかった?」

チカ「チカファントム!」

イル「びぎゃっ!!……」

チカ「読者さん。自己紹介は次にします♪」

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