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4話 俺が王になる

「ねいちん!わかったよ!もう何があっても、悔やまないよ。悔やむ前にすることができた。俺強くなるからな。体だけじゃなくて、勉強もするよ。俺たちみたいになにもしらない子供たちが、悲しみ、悔やまないといけない世界を、ねいちんみたいな女の子が戦場に行かなければならない世界を、俺が変えてやるんだ。黄の(キャッツアイ)に出来たことだ。俺もやってやる!」


 寧は、光黄が落ち着きホッとしたのも、束の間、とんでもないことを言い出した光黄の目を見つめた。光黄から帰ってきた視線は、吸い込まれそうなほど澄んだ水色で、この人なら命を捧げても構わないと思わせた。

 しかし、その時ふっと我に返って思い出したことがあった。それは、普段の光黄の目は真っ黒だったはず、それなのに今の光黄の目は澄んだ水色だった。そして、光黄が発した言葉はとんでもないことであっても疑いもせずに信じてしまう気持ちにさせられた。


「こうきちゃん!私もこうきちゃんについていく!こうきちゃんの目指す王、目指す世界。ずっと側でみていたいの。いい?」


「ねいちん。俺は・・・、俺はねいちんを戦いに巻き込みたくない。優しいねいちんに戦場は絶対に向かないと思う。それに、ねいちんには幸せになってもらいたいんだ。だから・・・、だから、絶対にダメだ!」


 光黄は寧を戦場に向かわせたくない、だから、王になるという気持ちになった。それなのに、寧は一緒に戦場に来ると言い出した。10年間共に過ごしてきた寧が一緒に戦場にでると言ってくれたことに、光黄はうれしいという気持ちになった。しかし、目の前の戦場で人がたくさん死ぬ状況を見ただけで不調になる寧に、戦場で人殺しをさせることがどうしても納得できなかった。


「いやだ!こうきちゃんがダメだって言っても、絶対にこうきちゃんと一緒に戦う。もう決めた」


 そう言って、寧は光黄をにらみつけた。その時の光黄の目はいつもの真っ黒な目に戻っていた。それだけでなく、少し困った表情でもあった。


「ねいちん!俺はダメだっていったからな。ねいちんが戦場に出るなんて絶対にダメだからな」


「もう決めたもん!」


 その時、眼下の戦場から大きな声が聞こえてきた。2人がいる場所から戦場まではかなりの距離があったはずだが、聞こえてきた声は側で怒鳴られているくらいの声量だった。


「小童ども!戦になっとらんぞ!何しょぼくれた声で戦っとるんじゃ!声に出せ!声をだすんじゃ!わしの名は条千手じゃ!青の国の者どもよ!この千手が相手してやるわい!わしに続け!小童ども!!!がははははっ!!!」


 光黄と寧は自分達が今話していた内容も忘れて、眼下の戦場を見た。


「ねいちん!あの声のデカいおっさんは誰なんだ!」


「何言ってのよ!こうきちゃん。条の字を冠した武闘士は一人しかいないでしょ!あの人は国軍筆頭の条道士に決まっているじゃない!私も見たのは初めてだけど・・・。すっごく強い人なんだって、でも、なんでこんな国の外れにある場所にいるんだろうね」


「条の字を持つ道士か・・・」


 光黄は自分から聞いておいて、寧の話は最初しか聞いていないようだった。すでに、戦場で先頭に立って戦っている条道士の姿しか見えていないようだった。











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