プロローグ
時代は混乱を極めていた。
国は乱れ、政治は腐敗し、治安を取りしまるはずの警吏たちも賄賂で汚染され、そのため、盗賊、山賊による治安の乱れは顕著であった。そんな中、5人のつわものが名乗りを上げ、いつの間にか王となり、5つの国を作り上げた。そうして、5人の王はそれぞれが勝手に作りあげた村々や町を統治するようになっていった。
しかし、統治とは名ばかりで、いつの間にか勝手に国境を作られ、それぞれの王によって、多額の税金を納めないといけないようになった。そんな国々ではいたるところで反乱や戦争が多発していた。
5人の王は恐怖を利用して自身をたたえ上げさせて、赤の王、青の王、黄の王、白の王、黒の王と呼ばせていた。
各国はそれぞれの王の能力や特徴から、国の特徴も特化させるといったいびつな形で成長を遂げた。
そして、その各国の特徴は次の通りだった。
赤の国は商人の国で経済を国力の中心に置いていた。
青の国は国の中央を流れる大河のおかげて肥沃な土地を持つため、農業を国の生産の中心に据えていた。
黄の国は宗教国家として武術を基本として統治の主体を置いていた。
白の国は軍事大国として、軍需品や魔法装備といった武具防具を専門としてした。
そして、最後の黒の国は暗黒大国として、奴隷や暗殺といった闇の手腕の優れた兵士達で整えられていた。
このいびつな世界の中で、もがき苦しみながら、自分の技とたゆまぬ訓練をえて成長していく3人の少年達の物語です。
輝陸歴36年 春 黄の国の外れにある村にて物語は始まる。
「ねえ、こうきちゃん!どこまで行くの!もう少しゆっくり走ってよぉ」
「あの山向こうで、戦が始まっているっていうのを旅の人から聴いたんだ、急がないと終わっちまうだろう!ねいちんは後からゆっくりくればいいじゃないか」
「いやだよ!離れ離れになったら、こうきちゃん探せないもん。こうきちゃんは疲れ知らずだから、どこまでも行っちゃうでしょぉ」
「わかったよ。休憩はちょっとだけだぞ」