安定の賢者と騎士団長2
相変わらず遅くて申し訳無いです。
「それで?」
シモン君が私の前に立ち塞がる。そして、明らかにその顔は笑っていて、怒っている。
「未だあるでしょう?言っていない事が。」
バレいている。でも、まだ大丈夫。
「大丈夫よ。だってここに魔剣が有るじゃない?もう隠している事なんて無いわ。」
誤魔化せる。そう思っていた。
「モグモグモグもぐもぐ?モグモグモグモグモぐもぐもぐもぐモグ?(あれ?あの複合属性魔剣は?冒険者に渡したアレも魔剣ですよね?)」
「はい?」
シモン君の首がアクラギアスの方を向いた。
「悪魔さん。それは……………………どういう事でしょうか?」
固まった笑いのまま尋ねる。
「モグモグモグモグモグモグモグモぐもぐモグ。(いえ、その魔剣は使えないという事で主は別の魔剣を与えたんですよ。たしか………………雷魔剣ライトニングロッドって言ってました。)」
アクラギアス。二度と呼んであげない!
「タツミン…………………………さん?」
シモン君の顔が近い。異常に顔が笑っている。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
「説明、お願いしますね?」
凍り付く笑みだった。
「アクラギアス?覚えてなさい!」
捨て台詞を言いながら私はシモン君に首を掴まれて引き摺られていった。
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
アクラギアスの幸せそうな顔と咀嚼音だけが響いていた。
「で?雷魔剣ライトニングロッド………………………でしたっけ?
名前からして、どうせロクでも無い魔剣なんでしょう?」
仁王立ちの騎士団長と正座させられた賢者。
本来は立場的には 騎士団長>賢者 なのだが、この場合、強気な騎士団長とそれに圧された弱気な賢者が相性を逆転させた。
「ロクでも無いって………………………シモン君?何時にも増して私への扱いが酷くない?」
正座をして小さくなる賢者が精一杯の抵抗をする。が。
「それはタツミンさんが怒らせるようなことをするからです!」
抵抗虚しく一言で返り討ち。
「今回のは特に力作だったのよ⁉
三つの強力な属性を一つの剣に収束させて一つの形に仕上げるのは至難の業なのよ。」
属性剣。
魔法や自然の力の持つ特性を剣という形に封じ込めたもの。ないしは特性を剣の形にしたもの。
単一の属性の剣ならあまり珍しくない。無銘の剣でもそれはある。
しかし、複合属性となると話は別だ。
魔法や自然の特性を一つ落とし込むなら問題は無い。
しかし、複数の特性を一つにしようとすると《《食い違いが起こる》》。
火の属性には火の特性。
水の属性には水の特性。
風には風。
土には土。
氷は氷………………………。
それは他と一緒に、《《複数が同時に存在しえない》》。
水の中に炎が存在する事や火の中に水が存在する事は有り得ない。
二つ以上を無理矢理同じ所に押し込めるのは難しい、無いし不可能である。
3つにもなればそれは超絶技巧と智慧、その他諸々を総動員した壮絶な産物と言える。
それを魔剣レベルでやったとなれば正に奇跡だろう。
そして、そんな魔剣であれば、そんな《《賢者の魔剣》》ならば、
「タダの魔剣では無いですよね?タツミンさんの事です。ただ属性三つを混ぜただけじゃ無いですよね?
何をしたんです?どんなものを作ったんです⁉」
「あれは………………………………………」
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