プロローグ
大学に入り貴哉は独り暮らしを始めた。
手頃な値段の二階建てのアパートに暮らした。
そこに住み始めて入学1年目では気づかなかったことを最近気づいた。
それは授業が終わりバイトも無く、とくに友人とも遊ぶ予定も無かったので早くアパートに帰った日のこと貴哉はベランダにでてタバコを咥える。火をつけて煙を肺にいれて吐き出す。
タバコを吸い終わり部屋に戻ろうと吸い殻を空き缶のなかにいれたときふと正面の下の部屋を見てしまった。
カーテンが空いていて中が見えた。部屋の中には女がいて自分の股に手をいれもう片方の手で胸を揉んでいた。
貴哉はあわててベランダで腰を低くする。
見てはいけないものだと知りながらも目が話せないでいた。
その女は見た目29-33位だろうか。長い髪を捲し上げ一人乱れていた。
女は下着姿で、下はパンツ一枚上は薄いシャツ一枚だった。
その姿はとても淫靡だった。
貴哉はその姿を食い入るように見つめ、
また彼も自慰に耽り出した。
貴哉は直ぐに果てた。その後しばらく放心状態だった。その後初めて自慰をしたときのような背徳感に襲われ、自分は何をやっているんだ、もうやめようと部屋に入りシャワーを浴びた。
それからはそのことを忘れようと日常を過ごしていたが、ある日貴哉はまたベランダに出る。
タバコを咥え女がいた部屋の方を見た。
彼女がいたベッドで横になり寝ていた。
貴哉はしばらくそれを眺めていた。
女は下着姿で寝ているようだ。貴哉は喉をならし唾液を飲み込む。
下半身に血液があつまり膨張し固くなった。
貴哉はスマホを取り出して女を撮影した。
撮影し終わるとまた、背徳感に教われた。
写真を消そうとなんどか葛藤があったが結局のところ消すことはなかった。
それからはベランダでタバコを吸うことが日課になった。
女は平日の昼間はどこかへ出掛けているようで土曜、日曜はカーテンを開けっぱなしで寝ていた。
夜になるとカーテン越しに明かりが点るのを確認できたのでおそらく十一時半頃に帰宅しているようであった。
また、女は一人ですんでいるようだ。
貴哉が大学に顔を出すと美咲が声をかけてきた。
「最近大学で見なかったけど何かあった。」
「いや、別に」
美咲は高校からの知り合いで同じ大学に通っていた。
高校時代は同じ陸上部に所属していた。
「ふーん」
風で美咲のショートヘアーがなびく。薄くブラウンがかかっていた。
「ねぇ、今度サークルで飲み会があるらしいよ。どうする。」
「いかねえ」
「じゃ、私もいくのやめようかな」
「なんでだよ。行けばいいのに」
「貴哉いかないなら介抱してくれる人いないじゃん」
美咲は酒癖が悪く飲むといつもぐでんぐでんになりそれを貴哉が介抱していた。
二人は講義室に向かい並んで席に座った。
「ねぇ、今日暇。」
「うん。バイトもとくにない」
「じゃあさ、講義終わったら二人でのみにいかない」
4限が終わると二人は貴哉の近くにある居酒屋に入った。
「なんで私は男を見る目がないのかしらねぇ」
美咲は早速酔いが回っていてこの間、他に女をつくって逃げた男について愚痴を吐いていた。
「珍しく誘ってきたかと思ったら、そんな事だったのか」
「なによ。あんた女いないくせに。いいじゃない可愛い同級生がさ飲みにいこって誘ったんだからさ」
美咲は嫌なことがあると貴哉を誘い体を求めてくることが多かった。しかし、美咲は貴哉以外の男を作っていた。
「はいはい」
「むー、お酒足んない。」
美咲は呼び出しボタンを押した。
「あんま飲むなよそんなに強いわけでもないんだから。」
「貴哉が連れて帰ってくれるでしょ。だから大丈夫。」
美咲が貴哉に体を許すのは決まって酔っているとき。だから、美咲との行為は酒臭くまた、ひどいときは最中に吐瀉物を撒き散らすことがあった。
貴哉は美咲以外を抱いたことがなくまた、健全にも性欲が並みにあるためそのような状態になっても行為を拒むことは無かった。
「はーい」
定員がきた。
「カシスオレンジと貴哉どうする」
「俺はレモンサワーで」
貴哉が振り返って注文も口にしたとき貴哉は心臓が捕まれる思いをした。
その定員はあのベランダから見える部屋の女だった。
それから貴哉は美咲の言葉が耳に入ってこなかった。適当な相槌をうち横目であの定員を追っていた。
「ねぇ。話聞いてんの。」
美咲がいった。
「うん、聞いてる」
あの定員はお先に失礼しますといって店の奥に引っ込んでいった。
「ごめん。俺も酔いが回ってきた。そろそろ帰ろうか」
「えー、まだ全然じゃん」
「ごめん。また今度埋め合わせするからさ」
美咲は頬を膨らました。
貴哉は会計を済ませ外に出るとやはり美咲は迫ってきた。
貴哉は酔いが回って無理だといい、タクシーを捕まえ住所をいい美咲を帰らせた。
貴哉は店の外で時間を潰し女が出てくるのを待った。
十分後女は出てきた。貴哉は後ろを一定の距離を開けて着いていく。
貴哉はただならぬ興奮を覚えていた。