会合と言う名の独壇場
「さて、じゃあまずは現状報告からかの?」
ご隠居が進行を務めるようだ。
「世界樹総数32本となっております。現在交戦中のアクト氏は本日欠席となっております。他31の長は本日出席となります。」
キリッとした感じのハイエルフのお姉さんが発言する。
まぁお姉さんと言っても歳は千なんてとっくに超えてるんだろうけどさ。
「ダンジョンは総数43だな。今回の報告は今まで欠席していた奴が一人来た事ぐらいか。攻略されてるダンジョンは現在42だ。今まで来てなかったクロっつったか?そいつのダンジョンのみ人達がまだ到達してすらない」
ラグビーマンっぽいガタイいい兄貴な感じのマスターが返事をする。
「ほう、到達すらさせてないか」
ご隠居がつぶやくと比較的若そうなマスターが声を荒げた。
「何が到達すらだ!マスターなら試練として正々堂々戦いやがれってんだ!」
ダンジョンや世界樹は神の試練としての意味合いもある為、ダンジョンで迎え撃てと言いたいのだろう。
「馬鹿じゃねぇの?」
そう呟いてやると面白いぐらいに食いついてくれる。馬鹿はいい、素晴らしく扱いやすい。
「はぁ?聞こえねぇぞ引き籠りの弱虫野郎はしゃべる事も出来ねぇのかあ゛ぁ?」
立ち上がって主張をしようとしてるのが微笑ましい。
「もう一回言ってやるよ。ばっかじゃねーの? 大体なただ単に数でゴリ押されるのは攻略とは言わねぇよ。試練を受ける人を振るいにかけて、真に試練を受けるに相応しい奴の相手だけしてやりゃいいんだよ」
そう堂々と言ってやった。
「大体な攻められるだけ攻められて何故反撃しない?」
話に聞いた感じだと此方から攻めた事はほぼ無いらしい。
「そんなの俺たちが試練であるからだろ。ダンジョンの試練として、試練を受けに来た奴らに試練を与える為に居るんだからよ」
そんな事を宣うのでご隠居の方に目を向ける。
「そうじゃな、儂等の方針としては試練を受けに来た者に試練を与えるのが使命としておるのぉ」
「素晴らしい言葉を教えてやるよ。『神は超えられない試練は与えない』つまりはだ、試練ってのは受ける物じゃなくぶち当たってそれを乗り越える物なんだよ。試練である俺たちは、キチンとゴミ共に試練を与えに行ってやらんといけないと思うわけですよ」
二ヤァっと笑って言ってやる
「俺たちは試練でもあるんだ。ゴリ押しで個人の武勇なんて無いつまらない争いを与えてやる存在じゃない。神によって与えられる試練を俺たちが担ってんだ。数のゴリ押しなんて無駄だと分からせ試練とは苦汁をなめ、血反吐を吐き、満身創痍になってなお厳しい物であると心身ともに分からせてやる必要があると俺は主張する」
「奴らは増え過ぎた。試練を踏みにじった奴らにその恩恵を享受し、安寧を得ている虫にも劣るゴミ共に制裁を。正しく試練として立ちはだかってやるのが、神の試練としての正しいあり方だと俺は思う訳だ違うか?」
そう先程煽ったマスターに問いかけてやる。
「そうかもしれねぇけどよ、他の奴らはお前のとこと違って今も攻められてんだよ。攻めに行くにも戦力が足りねぇんだよ…」
その呟きを聞き俺は更に続ける。
「じゃあ俺が殺って来るわ」
そう言うと場が更に静かになる
「お主が人達に試練を与えるという事か?」
「あぁ、野良の魔族が魔王とか名乗ってるらしいからな。真に魔を統べる王はどういう者か魅せつけてやるよ」
ニヤァと笑って言ってやる。
「行けるのか?」
ご隠居様の問いに答えて差し上げる。
「殺れと言われれば、殺る事ぐらい簡単ですよ。今日から始めましょうか? 今まで休んでた分ぐらいは働きますよ」
「どうじゃろう皆の者よ。コヤツにやらせてみようと儂は思うんじゃがの」
声を上げる者は居なかった。
「ふむ、無言は肯定と取らせてもらおう。クロよ、お主に負担をかけるがやってもらえるかの?」
「えぇ、大歓迎です。長い事寝てたんで体動かしたくてウズウズしてたんですよね。じゃあ今日から侵攻を開始しますね。他に話す事って有るんですかね?」
そう言っても返事がない
「じゃあもう行かせて貰いますね」
そう言い揺り椅子をアイテムボックスに仕舞い、○空術もどきで帰路についた。
主人公はダンジョンマスターになってマスターの使命を埋め込まれてるとこがあります。
個人的に人達にイラッとしてる事も大きいですけどね。