第二話 暗闇ドッキリ
「どうしたの?二人揃ってニヤニヤして」
「え、あ、いやぁ〜」
宿に戻るとナユタの友人である女性に声を掛けられた。ニヤニヤしてたつもりはないけど、自然とそういう表情になっていたらしい。
「まあいいや。もうすぐご飯できるから、しばらくしたら降りてくるように他の二人にも言っといて」
「わかりました」
そう言われ、俺達は二階に上がった。
「それじゃ、またあとで」
「うん」
部屋が違うので、アルフィンとはここで一旦別れる。とりあえず買ったりした荷物を部屋に置こうと俺は扉を開けた。
「お、戻ってきたか」
「・・・何してんだ?」
部屋に入ると何故か床に寝転がって眠っているエリナと、彼女の周りによく分からないものをいろいろ置いているフレイがいた。
よく見ると壁や天井にも何かを貼っている。
「・・・」
壁や天井に貼られていたのは黒い紙だった。そしてエリナの周りに置かれているものはどこで手に入れたのか分からない人形、ロウソク、偽物の骨などなど。
「静かにな。エリナちゃん起きたら台無しだから」
「・・・あれか、起きたらめっちゃびびるやつか」
「そういう事だ」
なるほどなるほど。なかなか面白そうじゃないか。
「協力しよう」
「へへ、ありがとよ親友」
固く握手をして、俺はまだ何も貼られていない部分に黒い紙を貼っていった。
しばらくして全ての紙を貼り終えた俺は、あることに気づく。
「なあ、別に黒い紙貼らなくても、時間帯的に普通に部屋暗いんじゃないのか?」
「ふっふっふ、部屋を暗くするためにこれを貼ったわけじゃあねーんだ」
そう言うとフレイはポケットからペンを取り出した。そして、黒い紙に何かを描いていく。
「お、おおお〜〜!」
「へへへ、どうよ」
しばらくしてフレイが描き終えたのは、リ〇グの井戸から出てくる髪の長い幽霊によく似ている絵だった。めっちゃ上手い。
「帝国のある村にある井戸から出てくると言われている化物だ」
「す、すげえ」
恐らくフレイが使ったペンは、描いたものが暗闇で光るようになるペンだ。
なるほど、これなら暗闇に描かれた幽霊が光ってみえる。
「さ、他のとこにもかいてこーぜ」
「おうよ」
俺達はご飯の時間まで暗闇の中絵を描き続けた。
「あれ、エリナちゃんは?」
下で料理を待っていると、アルフィンがやって来た。
「え、ああ、寝てるぞ」
「そろそろ降りてくると思うぜ」
「え、ユウ君達の部屋で寝てるの?」
「あ、ああ、ナユタちゃんの話を聞いた後、そのまま寝ちゃってよ」
「ふーん。このまま起きて来なかったら可哀想だから、私呼んでくるよ」
「あ、待っ・・・」
アルフィンはくるっと振り返り、二階に駆け上がって行った。
「・・・アルフィンちゃん、可愛い服着てるじゃん」
「・・・だろ?」
その直後、アルフィンの絶叫が宿に響き渡った。
あのあとエリナの悲鳴も響き、宿にいる人達がどうかしたのかと様子を見に行き、この件はちょっとした騒ぎになった。
そして現在。
俺達の前には涙目の少女二人が座っている。
「・・・ごめんなさい」
「もう、ほんとに怖かったんだから!」
アルフィンが机をバシバシ叩きながら言った。
「いやー、いい反応だったぜ」
「・・・フレイさんなんて嫌いです」
「なんで俺限定なんだよ!」
エリナはプイっとそっぽを向いてしまった。
「まあ、年頃の男子のお茶目ないたずらですよ、ねぇ、ユウ君」
「そうだよねぇ、フレイ君」
「はあ、二度とやらないでよね・・・」
溜息をついてアルフィンは運ばれてきた料理を食べ始めた。
「エリナも、料理食べなよ」
「うう、まだ天井にいた幽霊の姿が頭から離れないんですよ・・・」
「あっはっは、天井に描いたのはユウだぞ。俺が肩車したんだ」
「あれは力作だった」
「もう・・・」
なかなか面白い反応が見れて、俺とフレイは満足した。
まあ、今日は怖がらせちまったから、二人共明日はうんと楽しませてやろう。
実は、ナユタに頼んであるものにタダで乗れることになったのだ。
「楽しみだ」
明日の光景を想像し、俺は笑みを浮かべた。
─人物紹介その1─
柊木勇 17歳
身長176cm 体重65kg
・禁忌魔法、能力
《現在不明》
・魔法、技
《零距離魔導砲》
手のひらから衝撃波を放って敵を吹き飛ばす
《広爆魔導砲》
魔力の球を敵に向かって放ち、爆発を起こす
・好きなもの、こと
釣り、昼寝、旅
・嫌いなもの、こと
納豆、数学
物語の主人公。
日本という国に住んでいたが、交通事故に遭い、この異世界に飛ばされた。何故か魔法を使えるが、理由は今のところ不明。王国の王女であるアルフィンと共に大戦を終わらせるために旅をしている。




