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この男の策略?

「と、とにかく許さないからな! 絶対に貴様の事は一生ゆるさないからな!!」


わたしはベットに横たわったまま、男に向ってそう叫ぶ。


「はいはい、元気になったのは良いけどまだあんま無理しちゃだめだよ?」


しかし、男はそんなわたしの言っている事などお構いなしと言った感じで、私に布団をかけ直した。


「貴様ぁ! わかっているのか!! 自分が何をしたか解っているのか!!」


わたしはそんな男の態度に更に激高する。


「ああ…… えっとファーストキスはごめんね? それにほら…… アレは医療行為だからさ、ノーカウントにしとこうよ」


男はそんなわたしに軽く微笑みながら、申し訳なさそうにそう呟くのであった。


「な……… 貴様ぁ!!」


の………… ノーカウント…………だと!!


————


おちつけ……


落ち着くんだわたし……


とりあえず一度、考えをまとめよう。


まずわたし。


わたしは誇り高き銀星龍の末裔にして世界最強の龍。


だが今はこの男の魔法で、あの致命傷を塞ぐ代償として人間の姿になっている。


しかもこの人間の姿はただ見た目だけ人間になっている訳ではなく、傷を治癒する為の代償としての姿である為、本来龍が使う人化の法と違い、見た目通りで人間と同じ強度と力しかない。


よってわたしは今、わたしが人間であった場合の年齢と同じ10歳程の幼女であり、しかも傷のせいで体が思う様に動かない。


つまりは一時的とはいえ、わたしは今、最弱の存在にまで成り下がったと言う事だ。













せ…… 精神は肉体に強く影響を受けると言う。


だ、だからさっきまでの気弱なわたしはこの体のせいなのだ!


そ、そうだ……


そうだとも!


あ、あんなのがわたしの意思である訳がない!


わたしの気持ちではない……


この体だから気弱になってしまっただけなのだ。


だ…… だからあんなはしたなく………


うぅ…………!


と、とにかく!


つまりは全部あの男が悪いのだ!


わたしをこんな姿にしたから、わたしがあんな風になったのだ!


だから、わたしがあんな風になったのはこの男がわるいのだ!


そうだ!


そうなのだ!



「なんか…… 難しい顔してるけど大丈夫?」


「な! なんでもなぃ!」



うぅ……


なんだこいつ……


さっきからなんでそんなに優し気に微笑んでくるんだ。


調子がくるうではないか……



















くそ……


そうなのだ……


おかしいのだ。


わたしの心がおかしいのだ。


「むぅ…………」


「なに?」


「う……… な、なんでもなぃ!」


この男を……


この男を憎みたいのに、怒りたいのに……


「なんでもないぃ………」


憎めないのだ、怒れないのだ。


そういった感情がわき上がって来ないのだ。



ついこの前は、この笑顔を見る度に腹が立っていたのに……


今はこの笑顔を見る度に、ほっこりしてしまう。



なんなのだこれは……


頭では、コイツを許してはいけないと解っていても。


体が、心が、コイツに安心しきっているのだ。


おかしい……


おかしすぎる。



コイツに笑いかけられると、ついつい頬が緩みそうになるし……


コイツが撫でてくると、ついつい甘えたくなるし……


こいつが話しかけてくれると、ついついにこやかに話してしまいそうになるし……


こいつの唇を見ていると、ついつい………



………………………………って!


何を考えているのだわたしは!!


こ、これではまるでわたしがコイツに骨抜きにされているようではないか!



あ…… ありえん!


そんあのありえん!


わ、わたしはそんな、ちょっと体が弱っている時に優しくされただけで、なびいてしまうようなチョロい女ではないのだ!


わたしは誇り高き銀星龍なのだぞ!



…………っは!


も、もしやそれが狙いか!?


わたしを人間にして、未知の苦しみをあえて味合わせ、そこで弱ったわたしを飼いならそうとしているというのか!?


な、なるほど!


それなら有り得るやも知れぬ!


よ、よし………!


ならばこうしてはおれん!


一刻もはやくまたコイツに憎しみを抱かねば!


こ…… コイツを観察して憎しめるポイントを探すのだ!


この男を嫌いになれば良いのだ!


や…… やってやるぞ!


わたしは誇り高き銀星龍、イグニスフィアード・アルテファ・オリオン・フレイムオンハートなのだからな!





さあ盛り上がってまいりましたゲス恋でございますが、恐らくこの過去回想編はあと二話くらい!


多分ね!


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