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顔を覗いた先にある出会い

「アルキ……」


「う…ぅ……」


わたしは寝ているアルキを見つめながらその傍らに座る。


アルキは汗をかきながら、ベットの上で悶えている。


アルキは今、呪いの反動に苦しめられているのだ。


「アルキ…?」


わたしはアルキの顔をぬれた布巾でぬぐい、汗を拭いてあげる。


「む……」


アルキが薄く目を開いてこっちを見る。


「アルキィ……」


わたしはアルキを起こしてしまったことに少し罪悪感を覚えながらも、アルキが反応をしてくれたことが嬉しくて、思わず微笑んでしまう。


「ん……」


アルキが少しだけ気持ちよさそうにしながら、濡れたタオルに頬を摺り寄せる。


「へへ…… アルキ」


わたしはそんなアルキを見ながらついつい頬が緩んでしまうのを感じる。


「アルキ…」


わたしは……


アルキがいてくれるだけで本当に幸せだ。


――――


魔王を倒してから、一晩がたった。


わたしは魔王はー何たらをぷちっとくびり殺したあと、やつが従えていた勇者達も一思いに焼き払い、アルキを大切にお姫さま抱っこしながら村へともどった。


そして、そこで村の村長に「名誉の負傷だ!」と言い張りながら武力をちらつかせて脅し、適当な空き家を半ば強引にタダ同然で借り受け、アルキの看病を始めたのだ。


アルキは……


今体中が熱に犯され、疲弊し、意識が朦朧としている状態だ。


これは複雑な呪いの行使を行った反動であり、直りきらなかった火傷や骨折による症状であり、暴行に晒された事による疲弊のせいである。



やはり、呪いは所詮呪い……


回復に結びつく為のすべとしては程遠いのだろう。



しかも……


アルキは今回の一件で、大きく寿命を削ってしまった。


さすがに今日明日で死ぬほどでは無いと思うが… アルキはいったい、あと何年生きられるのだろうか?







まぁ……


それは今考えても仕方がない。


それに……


いざとなれば……







とにかく。


今はアルキとこうして無事に共にいられることを喜ぼう。






アルキ……


わたしは、今回の事で良くわかった。


自分というものが良くわかった。


わたしは…


わたしはどうやら、この人間の姿の見た目どおりの…


ただの子供だったらしい。


500余りの生も、銀星龍としての矜持も…


所詮は上辺だけのもの。


わたしの本質は、まだまだ子供だった… 愛情に飢えたただのガキだったのだ。



思い返してみれば判る。


白雷龍の突然神異種である銀星龍。


わたしは生まれたときから、白雷龍達に神のごとくあがめられた。


もちろん… 親にも。


そして10年ほど経つ頃には、すでに周りには敵がいなく、ありとあらゆる龍たちから特別視を受けた。


わたしは……


今まで誰とも「対等」に接した事がなかったのだ。



ふふ……


今考えれば、雄龍たちを弄んでいたのも、もしかしたらわたしは誰かに怒られたかっただけなのかも知れないな。


考えれば考えるほど…… わたしはガキだ……


何が銀星龍のプライドだ… 


そんなのは寂しさを誤魔化すための言い訳でしかなかったのだ。







その事に……


わたしはアルキを失いかけて気付いたのだ。



アルキが…


突然目の前から消えた時の、あの喪失感。


あれは正直耐え難かった…



それでわたしは気が付いたのだ。


いかに……


いかに自分がアルキの笑顔に癒されていたか……


いかに自分がアルキとの会話を楽しんでいたか……


いかにアルキとの触れ合いに、幸せを感じていたか……


いかに……


自分が愛に飢えていたのか。


それに気が付いたのだ。



思えば…


アルキは最初っからわたしに対して対等に接してきた。


媚びることも、恐れることもなく対等に……


もしかしたら、そのときからアルキはわたしにとって「特別」な存在であったのやもしれないな。



「アルキ…… 早く元気になってね」


わたしはアルキの顔を再び拭いてあげながら、そっと見つめる。









「アルキ…」





「君は…」





「どれだけわたしが君をすきか…… しらないだろう?」





「わたしも……」





「こんなに好きだとは知らなかったよ」





わたしはそういってアルキに向かって小さく微笑んだ。


そして……


わたしはそう改めて口にしてしまって… よりアルキにときめいてしまったのだった。













「アルキ……」


わたしはアルキの顔を優しく拭いてあげながら、彼の顔を覗き見る。


「その…… 寝てるのに…… ごめんね?」


わたしはアルキの顔に、自分の顔を近づける。


「意識が朦朧として人に…… 勝手にこんなことするなんて最低だよね……」


でも…


だめなんだ…… 


衝動が… 一度考えてしまったら…… 


衝動が止められないのだ。


「ごめんね… ごめんね? その…… 一瞬だから」


胸が… ドキドキする。


「ん………」


わたしはそっと… アルキの唇に、唇をかさねた。


「ぁ………」


わたしはトクン心臓が一つ跳ねる音をを聞きながら、なにやら胸のあたりと、頭の中がポヤーっとするのを感じた。







そして…






その時……






「んん!?」


アルキが……!?


「あぅ…きぃ!?」


寝ぼけてるの!?


だ…抱きしめて!?


「ん……くぅ……」


唇が……


「むぅ……!!」


ベロ…… 入って!?


「んむぅ!!??」


そんな… 


あるきぃ……


それ……! だめだよぉ!!


「ん……ちゅ……」


うわぁ…… やば…ぃ…


「あるきぃ……」


アルキの… つばがぁ…


「……ん……ぁ」


なにも考え…られ…






「はむ… あっらかぃ…」


「あぅきぃ……んく…」


「もっと………ん…」


「はぁ…………あるきぃ……」


「ちゃ……んぅ…………む」















「ぷはっ………はぁ、はぁ……………………………………寂しかった……のかな?」



















「きすって…………………… すごい」


わたしは呆然としながらそう呟いた。



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