◇第一幕
今回から本編スタートです。
一次創作に馴れていない為、至らぬ所もありますが何卒宜しくお願いします。
それでは、
霊桜に導かれし者
――開幕――
剣暦2021年4月7日。
桜が吹雪の様に舞い散っていた。この日は日本に一校しかない『桜霧学園』の入学式である。
校長や理事長の有り難い長話、校則、生徒会長の挨拶等を終え、入学式は幕を閉じた。
「ふぁ~~、眠い」
彼は霊桜の枝に座って大欠伸をかいていた。
彼の名前は『サクライ=フブキ』。日本で唯一剣霊を持っていない人物だ。
彼は入学式が終わった時から霊桜に登っていた。
約3mもの高さにある枝にいる彼は、春特有の陽気な天気により船を漕ぎ始めた。
彼は霊桜の幹に背を預け、ゆっくりと目を閉じた。
ユサユサ
「(んぁ?誰だ……)」
フブキは体を揺さぶられる感覚で意識を覚醒した。
「お…、…きろ。兄貴、起きろ!!」
「ぅおぅ!?」
フブキは枝の上で器用にバランスを取り落ちない様にしていた。
フブキを起こした人物は、長い黒髪をツインテールにした女の子だった。
彼女の名前は『サクライ=オウカ』。フブキの妹である。
「何で俺が此処で寝ているって分かったんだ?」
「ホークに捜してもらった」
「あ、そうすか………」
オウカの肩には彼女の弓霊である黒い鷹が止まっていた。
「もう夕方か…………」
フブキは枝の上で体を伸ばし、枝から飛び降りた。
「とうっ」
「ぅげッ」
オウカも同じ様に枝から飛び降り、フブキの上に着地した。
「あれ?兄貴、何やってんの?」
「は、早く退きやがれ………」
オウカは慌てた様子も無く、フブキの上から退いた。
「兄貴大丈夫か?兄貴だったら避けれると思ってたのに…………」
「お前………後で泣かす」
「アハハハハ、やってみなよ」
オウカはその場から走り出した。
「待ちやがれ!!」
フブキもオウカの後を追って走り出した。
端から見れば遊んでいる様にしか見えない二人の追いかけっこは一時間弱続いた。
その日の夕日は真っ赤に燃え、街や校舎を赤に染めた。
だが、夕日に照らされた霊桜は不気味な程に美しかった。
〈………………見つけた〉
この時、誰も霊桜の付近で揺らめく紫炎の玉を見た者はいない。
次話は戦闘に入ります。
いきなり急展開ではないですよ。