序章
【バストス】それは女性だけに許された、神と人の間に交わされし契約の象徴
人と獣を分けるために与えられた知のしずく、ソーマを内包した神性の果実
そう辞書にも記されているとおり、全ての女は己が纏う衣の裡にバストスと呼ばれる二つの膨らみを
主に小学校高学年時、特別教室にて秘密裏に授けられる
当然、それは女子にとって始めてのバストスだが、それ自体よりもむしろ同時に与えられる女性だけの権利、バスト権が重要なのだ。
いってしまえばバストスは交換可能な代物である
体の成長に伴い、本人の好みにあわせた様々な大きさ、形、質感のバストスと
国の厳正なる審査に合格した下着売り場で交換するのである
無論有料であるから、金銭の問題、生まれの格差によって選択肢は限られてしまう
ひどい場合、最初に文部省から支給されたB形のバストスを
生涯装着し続ける者も中にはいたりする
これは、女性の抱える重大な問題であるのにも関わらず
バスト守秘義務の弊害で放置され続けている
ここまでが一般的な女性の話といえるだろう、格差があるにせよ
機能には問題が無いのだし、文部省B型もそれはそれで良い、好きだ大好きだという者も
少なからず、いやもしかしたら結構沢山いるのだから
が、それとは別に、文字通りバストスを持たない女性というのが存在する
バストスの管理は200以上のバスト法で厳格に定められていて
例えどんなに優秀で、どんな高貴な血統の持ち主でも、誰であろうが
バストスを二つ持つことは決して許されない、絶対にだ。
付け替えはあくまで交換であり、購入ではない
そして、これを破ったものは即座にバスト権を失い、バストスを剥奪されてしまうのである
他にも、どんな事情があったとしても、現在使っているバストスを失った場合も同様に
やはりバスト権を失ってしまう。
以上、少し簡単すぎるかもしれないがバストスというものの説明である
勿論、女性の価値はバストスに左右されるものなのかと言われれば否である
多分、否である
だが、聞こえの良い正論が真に胸を打つ事は無い、バスト権を失ってしまった者なら尚更である
彼女達が胸の裡で繰り返す問には、彼女たち自身が、胸の裡に答えを探すしかないのだ
【我、女なりや否や】
ここは、バスト権を失った女子高生が集う、十字高校、人呼んで聖戦の学び舎【聖杯学園】
再び神に愛されるため、伝説のバストスを巡る物語が、始まる……!
ごめんなさい