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プロポーズ

作者: 坂田廉

付き合って一年記念日の今日

東京の、夜景がきれいなホテルの最上階で君と食事を

髪は七三分けで、スーツは一着で中古車が買えるくらいの

磨いた革靴に、ホワイトニングした真っ白い前歯で

夜景に負けないくらい、きらきらな俺


ボウリングに行く前日は、ストライクの取り方を調べて

映画館デートはハンカチとちり紙をカバンに入れて

水族館の回り方は、一週間前に一人で行った


夏祭りのぬいぐるみのために、3000円も使ったし

夜空に浮かぶ星座を、暗記したりした


爪磨きもして、毎日ヒゲも剃った

いい香水を買って、リップもハンドクリームも常備


ホテルもレストランも、言われる前に予約して

君の嫌いなものは極力触れないように


デートのたびに変わる君を、見逃しはしなかったし

喧嘩したときは、素直に謝った


完璧だったと思う


「すごい綺麗」


「君よりもか?」


ほっぺを膨らませて僕を睨む


「私ね、あなたの抜け目がないところ、素敵だと思う」


当たり前だ。なによりもそれに全力を注いでるんだから。


「でも、」


「それって、なんだか人形みたい」


首を右に傾けて、微笑する、君。


「完璧じゃなくったっていいのよ」


「私、もっと”あなたらしい”ところが知りたいな」


僕は”プロポーズ”がしたかったのに


してたのは”プロ”の”ポーズ”だったのか


伸ばしていた背筋は砕けて


家に帰って二人で


寝間着姿で、アイスを食べた。





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