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きゅうじゅうよんかいめ 好きなものを並べた二
あかね色に染まる、閑静な道に響くカラスの声。
寝静まった町に響く自分の足音。
側溝についている銀色の金属を踏んだ音。
時折吹く冷たい風に、痛くなった指先と、耳。
落ち葉が、その風にのって、くるくると躍る
空を彩る色素の薄い青空に、雪雲、鈍色の雲。
耕されてない田んぼを緑色に染める名前を知らない草たちが、夕日に照らされている部分と、家に隠された影の部分。
建造物に入ったときの、徐々に指先や、耳が温まっていく時の安心感。
すぐに消えていく黄昏時に、昼と夜の境界線。
紫が紺に変わる瞬間。
日が消えた瞬間に変わる体感気温。
車通りが少ない道路に、音が出る押しボタン式の歩行者信号。
押した瞬間に途端に鳴りだして、すぐに一定間隔の音に戻る。
夜空に浮かぶ三日月に、たくさんの星たち。
かじかんだ指先をずぼんのポケットに突っ込んで、温める瞬間。
ふとした時に、これを味わえることの幸福感が湧き上がる。




