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はちじゅうななかいめ てんぼうだいへ!

 今日は、曇りと晴れの境目くらいの天気だった。

 雲の隙間から時々晴れ間が見えるような天気だ。

 そんな天気で、昨日より暖かいとのことだったので、夕方から、車を走らせて海沿いの展望台まで行った。

 山をいくつか越えると、だんだん山が低くなっていき、空がかなり広く見える。

 空が広く見えることが嬉しく、展望台への期待も高まっていった。

 山の中腹辺りまでは車でいけたが、途中からは歩きだ。

 展望台までの道は舗装されており、なおかつ綺麗に保たれていたので歩きやすく、落ち葉は多かったが滑らなかった。



 海沿いの山の中の匂いは、潮の香りに土と落ち葉の香りが混ざり、居心地がよかった。

 五分程登り、体がいい感じに温まって来た頃くらいに、展望台が見えた。

 展望台と滑り台が合体しているような場所で、最初は滑り台の柵にすがりながら海をぼーっと眺めていた。


 遠いけれど、やけに近いところから聞こえてくる車が走る音に、鳶の声。種類を知らない小鳥の囀り。

 それらを耳にしながら、ふと下を見る。

 自分が思っていた高さよりも高く、一瞬柵が崩れてしまう想像をしてしまったので、柵にすがることをやめて、真ん中辺りから海や山、近くにある橋なんかを眺めていた。

 そんなふうに眺めていたが、ふとカラスの鳴き声は聞こえないな……? と気がついた。

 町の中ではないから餌がなく、少ないのか。

 少し耳を澄ませてカラスの鳴き声を探してみたが、終ぞ聞こえることはなかった。


 山の中ということもあり、時折風が吹き抜けて行くのだが、そこまで寒くなく、火照った体を程よく冷ましてくれた。

 二十分ほど辺りを眺めていたが、車の音と高い所ということもあって、あまり落ち着けず、近くの浜がある海まで行った。


 浜辺にはあまり人はおらず、穏やかな波の音と、鳥の囀りしか聞こえない。

 車が通る音も稀にしか聞こえず、ようやく落ち着く事が出来た。

 波の音を聞きつつ、夕日が見れる時間になるまでこれを書いている。

 意図せず数日前に書いた、太陽の下で書く事が出来て嬉しい。

 何か変わったかと聞かれると、客観視出来ていないからあまり分からないが。


 そんなこんなで、日が暮れて来たのだが、一つ致命的な事があり、この浜辺では夕日が沈むのが小高い、山の方向になってしまうということだ。

 それに早い段階で気がついたので、近くにあった別の小高い山の上にあるひらけたベンチのある場所から夕日を観ようと移動した。

 移動する最中、既に傾きつつある太陽の光で金色にきらきらと光る芒を見つけ、思わず写真を撮った。

 移動しきったは良いが、なんと以前には無かった竹で遮られて夕日が見えない。

 どうにか夕日が水平線に沈むのが見たかった私は、なんとか夕日が見れる海沿いに出ようと、彷徨い歩いた。


 もう日が沈むまでにそこまで時間がないので、少し小走りになりつつ、辺りを見ると夕日が見える浜辺と書いてある看板が見えた!

 しかも、都合よく300メートル先とのこと。

 そのまま走り抜けたのだが、季節が悪いのか夕日は最初見た小高い山に遮られてしまっていた。

 既に夕日は山の向こうに行ってしまっているが、まだ明るさ的に沈み切ってはいない。

 浜辺から堤防沿いに走り、なんとか山の向こう側にたどり着こうと久しぶりに全力で走った。

 スマホや、炭酸水など重しがあったがドンドコ走った。


 山の向こうにもう少しでたどり着けそう! というところで堤防は行き止まり。

 浜辺を行こうとしたが、海で行けず。

 そこそこ暖かい服を着ていた中の全力ダッシュにより、すごく汗をかいた。

 残念ながら夕日は見れなかったが、不思議と清々しく、なんだかおかしくなってきて思わず声を上げて笑った。

 堤防の上を歩きつつ、元の浜辺まで戻ろうとしていたのだが、青かった空がだんだん薄紫になっていき、ちょっとづつ藍色が混ざりはじめて来るのを見て、今まで夕焼けや、夕日の方ばかり見ていて反対側の空はあまり見てこなかったことに気がついた。

 その変化も綺麗で、なんだかさらに嬉しくなった。


 そんなわけで元の浜辺まで戻って来た。

 その頃には、空の紺色の度合いも高くなってきて、足元は見えるけれど、遠くにある太陽と反対方向の山は薄らぼんやりにしか見えないような感じだった。

 水平線の間近で、ちかちかと何かが光っており、よくよく目を凝らして見てみると、大きめの船が三隻も浮いていた。

 また、山の上には灯台の灯りがくるくる回っていて、なんだかそれを見つけられた事が酷く嬉しくなった。


 そのまま浜辺近くにあるアスファルトに座って、夕日が沈んでいった方向をみると、空が燃えるように赤く、赤く輝いていて、また写真を撮った。

 そのまま座って夕日の残滓がなくなるまでいたのだが、流石に汗をかいたままだと肌寒くなってきてしまい、車の中からしばらくぼーっと眺めていた。

 燃えるような赤から少しづつ燃え尽きたような灰色に変わっていき、やがては紺色に染まりきった。

 それを見届けた私は、ゆっくりと帰路についた。


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