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ろくじゅうにかいめ

 今日は新嘗祭の日だ。

 今年の豊穣の感謝を伝えるために地の神社へと歩いて向かった。

 今日はお昼ご飯を食べたあと、少しだけ休憩して家を出た。

 今年は、特に柿が豊作だったようで、歩いているだけでそこかしこにたくさんの実をつけた柿の木を見ることが出来た。おすそ分けで、いくつかの柿も貰った。


 ゆっくりと、景色を見ながら歩いてだいたい三十分ほど。

 近くのコンビニで買った冷たい炭酸水をちまちまと飲みながら、見慣れた道を行く。

 途中、随分前から砂利がひかれており、駐車場のようなものになっていた場所から砂利が撤去され、草むらに変わっていたことに驚いた。

 去年はひと月に一度は行っていた神社への挨拶も、今年は三ヶ月に一回しか行ってない。

 三ヶ月も開けば道の景色が変わってしまうのも自然なことだろう。

 とはいえ、前の無骨で温度をあまり感じられない景色よりも、今の人の手があまり入ってなさそうな草むらの方が好きではあるのだが。


 他にも、カーブミラーが太陽光を反射して、黒いアスファルトがオレンジ色に光ってる所の上を通り、手や体を使って影絵をしてみたり、犬の散歩をしていたひとと少しだけお話しながら歩いたり、少しだけ傾いて来たように思える太陽の光をあびて、羽虫がキラキラ輝いて見えたが、その中を通過する時の嫌悪感は拭えなかったり。


 道中も楽しく、思わず笑ってしまうくらいに幸せを享受出来た。

 地の神社は、小高い山の中腹辺りに建てられているので、鳥居に会釈をし、少しだけ急な階段を登った先に本殿がある。

 神社という場所だからか、もしくは山の中に入ったからか、鳥居を潜るとすこしだけひんやりとした空気が体を包む。そこに嫌悪感や、恐怖はなく、急な階段を一歩、また一歩と今に集中して登り切ることができた。

 階段を登りきると、目の前には本殿に続く階段と、手洗い場。あとは干支の像のようなものが並べてある。

 神社には誰も人がいなかったので、焦ることなく手を洗い、本殿まで行けた。


 お賽銭をいれ、二礼したのちに本坪鈴を鳴らす。

 そして、今年の豊穣への感謝と、日々見守って貰っていることの感謝、平和に過ごせていることの感謝を心の中でとなえた。

 となえ終わったあとも、どこか神社の空気感が好きで、目を瞑ったままじっとしていた。

 どこかすっきりと、爽やかな気持ちでそろそろ帰ろうと思い、踵を返したがふと目の端におみくじが見えて、ついつい引いてしまう。

 おみくじは大吉だった。嬉しい。


 階段を降りようと振り返ると、私が住んでいる街が一望出来る。

 遠く、遠くの方まで良く見える、この景色が私はとても好きだ。

 神社が少し小高い所に建てられてるのは、見守って貰うためでもあるんじゃないだろうか。

 そんなことを思いながら、ゆっくりと帰路についた。



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