じゅうななかいめ
部屋のカーテンが揺れる音。
窓から入ってくる冷たい空気と、虫の音。
遠くから僅かに聞こえてくる車のエンジン音に、白から紺に変わっていく空。
近所の家の玄関が開く音と、一瞬だけ中から聞こえる他所の家族の応答。
ごくごく自然で、ささやかで、ありふれた一日の終わり。
それでも、妙な焦燥感と、漠然とした不安。漫然と続く日常に、自らのなにかが欠けているかのような喪失感。
自分がここに存在していることの理由、いまある限られた時間の中のこと、自らを縛っている鎖に、少しだけ涙がこぼれそうになる。
依然窓からは冷たい風が流れていて、ゆらゆら揺れるカーテンが、無性に寂しいようなものに見えて。
小さな窓から見える空は、どこか狭くて、いつも感じている広さが、損なわれたような感覚で。
でも、実際にはそんなことはない。
空は広いままだし、家を飛び出して、海まで行って、その自然を感じたら、きっと気持ちも切り替わるだろう。
暗い部屋に、暗い気分。
いつでも腐っていると、芯の方まで腐り落ちそうな予感がする。
くらくらとお腹の中がゆれてる感覚。重度な衝動的な自己嫌悪に、引きずられるように手足が冷えきっている。
一際大きく揺れたカーテンと、頬を撫でる風に、少しだけ気分の入れ替えが出来た。




