121/143
ひゃくにじゅういっかいめ 寒波
熊本から帰ってきたから寒いと思ってたが、全然そんなことなくて、ただ寒波が到来していただけだった。
今日もそれを実感した。
朝から雪が少しだけ積もっていて、幸いにもすぐに溶けたが、昼からも雪が降ってきて、少しだけ顔を出した太陽が雪をきらきらと反射していた。
暖房が聞いている室内から窓一枚隔ててその景色を見ていたものだから、妙に綺麗で、切なくなって、地面に落ちてはすぐに消えていく雪を眺めてられなくなった。
それからは、やけにゆっくり流れる時間の中で、いつも通りの事をして、帰路に着いた。
帰路に着く頃には、雪が降っていた事実なんてないように曇り空と、乾いた地面があった。
アスファルトの上をこつりこつりと足音を鳴らして歩く。
少しの証拠すらも残してくれなかった雪に、少しだけ恨み節を吐きながら、悴んだ指先を強引にポケットにいれて、白い息を吐いて帰った。




