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「また、大きな事言って。大作ゲームでも作りたいの?」
「ゲームを作ってエンドロールに自分の名前を刻みたいという夢はあるけど、それよりもアタシは文化財の保護に力を注ぎたいんだよ」
「文化財?ハイハイ、ゲームのね」ふーみんが呆れている。
「さっき言った様に国会図書館へゲームを寄贈するのは1つの方法さ。ただ、かいちょが国会議員になるとして、最速でも25歳じゃないと立候補できないからまだ8年もある。その間にも日本のお宝は次々に海外へ流出してしまう」
「月光さん、いきなり国政へ打って出るのはいくらなんでも無謀ですよ?親が議員だとか、有名人でもない限り。私はまず市議会議員になって順番に実績を積み上げようと思ってるんですから、8年以上はかかります」
「うん。かいちょはそれでいい。アタシもかいちょばかり当てにしている訳じゃないから。自分で何とかしないとね」
ヒメの方を見て笑ってみせた。
「先輩、何をしようとしてるんですか?」
「昔のゲームを未開封で見つけ出すのは現実的じゃない。有名ソフトなら本数も出てるから見つかる確率も上がるけど、本当に名前を聞いた事もないようなソフトだと未開封で残っているのなんて奇跡だよ。それに、そんな希少ソフトじゃあ値段も現実的じゃない」
「だから開封済みの物でも寄贈できるように法律を改定しようという話だったんですよね?他にどんな方法が?」
「昔のゲームを新品にすればいいのさ」
不思議そうな顔をするヒメへ言った。
「ゲームの再販だよ。昔のゲームをそっくりそのまま新たに販売するのさ。そうすれば新品未開封で国会図書館へ納めることが出来る!」
「ああ、なるほど!さすが先輩です♪そのためにゲーム会社へ就職するんですね」
「けど流石にファ○コンカセットを新たに作るわけにはいかないけどね。データだけ抜き出して今のソフトへ移植すればいいんだ。パッケージは変わってしまうけど、そこは涙を呑んで堪えよう。これなら昔の貴重なゲームもデータは後世へ引き継がれる!」
「そこまで考えてるなんて、呆れを通り越して感心するわ」
「月光ちゃん、いつもこんな事ばかり考えてるんだよ」
「でも月光さん、私も詳しくないのでよく分からないのですが、そういうものを販売するには権利が必要なのではないですか?」
「もちろん必要だよ。こういうゲームの権利は販売した会社が持っているものさ。だからアタシはまず日○一ソフトウェアで2000年以前に発売されたソフトの再販を手掛けたいんだよ。日○一は割と再販しているソフトも多いから優秀な方なんだ。この会社の名を世に知らしめるきっかけとなった名作『マ○ル王国の人形姫』だって、最初の発売は1998年だけど2001年に廉価版が販売されてるからね。知ってる?マ○ル」
「すいません、先輩。私、勉強不足で」
「このゲームは、登場人物がいきなり歌い出すからおもしろよ。『あなたはいったい誰♪人形遣いの女の子♪』って。ミュージカルRPGと銘うってるだけはある。今だとス○ッチで配信販売もされているから、おススメだよ」
「ハイ。勉強しておきます」ヒメがメモをとりつつ応えた。
「日○一は寄贈も積極的にしているみたいでね、2000年以前のソフトも国会図書館へ既に収められているんだ」
アタシはスマホを取り出し、国会図書館のサイトを出した。「マ○ル王国の人形姫」と検索をかける。
「ほら、廉価版だけじゃなく無印も収められている」
「本当ですね」
「新品未開封の貴重なお宝をわざわざ個人が寄贈したとは考えにくいから、きっと会社が収めたんだと思うよ。すばらしい!そういう所がゲーマーとして好感持てるし、この会社に就職したいと思える理由だね。ただ、残念な事に日○一が販売したソフト全部が収めてあるわけじゃないんだ」
アタシは次に『炎の料理人クッ○ングファイター好』と検索をかけた。結果はソフトの一致は無しだった。
「このソフトはねマ○ルより少し前に発売されたんだけど、日○一を象徴するソフトだとも言われている。かなりシュールで熱い内容らしいね、」
「らしい?アンタやったことないの?」ふーみんが痛い所を突いてくる。
「うっ、やりたいとは思っている。日○一を語る上では外せない1本だからね。でも、発売当初は見向きもされなくて、販売本数も1万本くらいで少ないんだ。それが後になってユー○ューブのゲーム紹介で変なバズリ方したもんだから、今はプレミアが付いてて1万円前後で取引されている。高校生が手を出すにはためらう値段だよ」
「そうねぇ、1万か」
「再版されればオリジナルにこだわるマニアでも無ければ、一般ユーザーが手に取りやすくなるし、プレミア価格だって落ち着くというメリットもあるんだ」




