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ゆるゾン  作者: ニコ・タケナカ
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アタシがさんざんパイセンのおもちゃにされ犠牲となることで世界の平和が守られた次の日。放課後にヒメとチカ丸がさっそく部室へ遊びに来た。ゾン研に入りたいと言っていただけに、どうやらヒメの方がチカ丸を誘ったらしい。誘われたチカ丸の方もまんざらでもない様子だ。表情は薄いままだけど。


「お二人とも紅茶でいいですか?」

新しくカップを持参してきたかいちょが1年ズに聞いた。

「はい。」

ヒメは頷いたが、チカ丸の方が首を振る。

「コーヒーがイイ」

にこやかだったかいちょの顔が曇った。

「ごめんなさいね。コーヒーは持ってきてないんです」

「じゃあ、紅茶」


ふーみんがウズウズした様子で聞く。

「チカはコーヒー党なのね」

「とう?」首をかしげるチカ丸。

「コーヒー派って事だよ」

「は?」はなっちの言葉にも首をかしげる。

「コーヒーが好きという意味ですよ」

かいちょの言葉にやっと頷く彼女。

「最初からそう言えばイイ」

3人とも苦笑いしている。チカ丸はまだ日本特有の気遣いというものが身についていないらしい。

(日本では1を聞いて10を知る。だぞ?チカ丸。相手の言わんとする事を察する能力が極めて重要なんだ)あえてそんな指摘はしなかった。

この部活は気兼ねなく喋れるのが心地いんだから。だからこそ、ふーみんもかいちょも部員でもないのに毎日顔を出しているんだろう。


チカ丸が3人の事など気に留めず言う。

「ドバイお客が来るとコーヒーでもてなす。お菓子もたくさん出す」

ふーみんが買ってきてあったお菓子を差し出した。

「食べて。」

「日本のお菓子好き。変わったのが多い」

「変わったのがいいのね。じゃあ今度は駄菓子とか買ってきてあげよっか」

(ふーみん、一年生をかまいたくてしょうがないのか?やけに楽しそうじゃないか)

彼女はいつも以上に甲斐甲斐しく世話をやこうとしているのが分かるので、見ていてちょっと面白い。

かいちょもそう思っているのか、いつにも増してその表情はにこやかだ。


お菓子を摘まんでいるうちに、お茶がはいった。

「出来ましたよ。どうぞ。」

はなっちが真っ先にカップを手に取った。それを鼻に近づける。

「このマスカットの様な香り・・・・・・今日の紅茶はダージリンでしょ?小鳥ちゃん」

「はい。正解です。ふふっ」

いつものようにはなっちが出されたお茶の品種当てをしている。彼女の正解率は、ほぼ100%だ。一度出されたものなら次はピタリと言い当てる。

その彼女も、ただ一度だけ分からなかったことがあった。その時はかいちょが少し意地悪をして茶葉を即席でブレンドしていたのだ。けど、分からなかったという事はブレンドされていたまでは気付いたという事。アタシには到底マネできない。アタシの中では紅茶は全部紅茶だ。

「関先輩すごいです!」

「えへへ、」

「花は食べ物に関してはすごいんだから」なぜかふーみんの方が得意げだ。


みんなの様子を眺めるアタシにヒメが不思議そうに聞く。

「どうしたんですか?先輩、飲まないのですか?」

「ん?ああ、アタシ猫舌だから」

「そうだったんですね。かわいい♪」

(猫舌をカワイイと言われたのは初めてだなぁ)

今度はチカ丸が不思議そうに聞いてくる。

「ネコ、どこ?」彼女はテーブルの下を覗き込んだ。

「プッ!猫、した・・・・・・ふふっ!」

なぜかいちょに笑われたのか、訳が分かっていないチカ丸にふーみんが教える。

「えっと、We call・・・tongue is・・・sensitive to heat、NEKOZITA in Japan」

彼女の視線が同意を求めて、はなっちの方へ向く。

「あってる?」

「うん。たぶん」

あってるかどうか分からないのに、まずコミュニケーションを取ろうとするその姿勢が凄いよ。流石ふーみん。


「日本語、ヘン」

コクリと頷いてからチカ丸は紅茶をすすった。

「チカはNEKOZITAじゃないのね」

「きっとママのせい。ヤケドするコーヒーを日本人は飲む。バーバいつも怒ってる」

「コーヒーは熱々で飲むものだと思うけど?」

「飲み物を熱いまま飲むのは東アジアの習慣なんだと聞いたことがあります。本当はこの紅茶も60℃~70℃にして出すのがイギリス流なんだそうですが、やっぱりお茶は熱々を飲みたいですよね」

かいちょも紅茶をすすって目じりが緩んだ。

アタシもカップを持ってみたものの、その取っ手から伝わる熱は高くて飲むには早そうだ。口を付けれそうもないので、代わりに小指をピンと立てて言った。

「おほほ、あたくしの飲み方は本場イギリス流でしてよ」

「さすが先輩です♪」

「コラ!コイツをおだてるんじゃない。調子に乗るから」

「おほほほほ、」


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