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アタシはカツ、カツ、カツと高らかに足音を響かせ歩いてみせた。その度にかいちょがお腹を抱えて苦しそうに笑いを堪えている。そんなに似合ってないかなアタシのお嬢様演技。なんかシャクだからこのまま笑い殺してあげようか?
「たとえおゾンビが人を襲って空腹を満たしたとしても、生肉に火を通さずそのまま食べたらどうなるか、簡単に想像がつきますでしょう?安全な食事を摂れる事がどれだけ健康にとって重要であるかは明白ですわ。料理とは理性を持った人間の特権であるといえますわね。それに自らがゾンビ達の食材になりに行く必要などなくてよ。」
「だから籠城しろって言うのね」
「ええ。まだクールー病を発症したばかりのフレッシュゾンビは、」
「ブッ!フレッシュ⁉ゾンビなのに!フフッ」
「・・・・・・フレッシュなおゾンビは、ほぼ健康な人と変わらない身体能力を残しているでしょうから、動かず騒がす静かにやり過ごすことが肝心なのです。人は食べ物を食べなくても、水さえ飲んでいればおよそ1ヶ月生きのびることが出来るそうですわ。それに比べてゾンビ達は絶えず食べ物を求めてさまよい続けエネルギーを消費します。しかも食べるものといえば衛生状態の悪いものばかり。お腹を下して数日で脱水症状になり倒れるんじゃないかしら?なら待っていればいずれその数は減るというワケですわ」
「自滅して減るかもしれないけど、それ以上に増え続けたらどうするのよ?」
「それは考えうる事態ですわね。いつ発症者のピークを迎えるのか?それは分かりませんが、収束するまでやはり安全な場所に籠る必要があります。ゾンビが減るか、人が減るか持久戦ですわ。だから可能な限り食料を調達し、耐えるしかないのです。Timeは初期の混乱期から硬直状態へと過ぎ、Place、場所は籠城している安全圏と食料を求めて危険地帯との往復になるでしょう。いいですか?危険地帯に出る時の服装は気をつけなくてはなりません。肌は目意外さらさないのが賢明でしょう。クールー病の原因物質であるプリオンは空気感染を起こしませんが、接触による体内への摂取が起こりえます。噛みつかれたり、引っ掻かれたりといった直接的な接触はもちろん、場合によってはこちらからの攻撃による返り血でも肌に触れるのは極力避けた方がよろしいかと思いますわ」
「えぇ・・・・・・戦うの?」
「優先は逃げる事です。身体機能の低下したゾンビであればそれは容易でしょう。しかし、建物内で不意に襲われる事も考えられます。その時は身を守るために戦う事も考えておかねばなりません。Occasion 場合、出来事。戦闘になった場合やとっさの出来事、そういった事態を想定した服装選びは大切ですのよ」
「戦う時の服ってどんなのよ?」
「ゾンビはこれまで映画やゲームの中で超人的な怪物として誇張されて描かれてきました。しかし、病人であると考えればそこまで恐れる存在ではありません。例えばゾンビによってかみ殺されるシーンは創作ではお約束ですが、実際にわたくし達人間が生肉を食いちぎろうとしてもなかなかに困難ですわ。だから、もし噛みつかれても皮膚まで届かない様に厚手の服を選んでおくといいでしょうね。制服のブラウス姿では皮膚まで簡単に届いてしまいます。ジャージはブラウスより幾分マシではありますが、心もとないですわね。丈夫なお召し物と言えばGパンでしょうか?」
「Gぱん!プッ‼」
「GパンにGジャンで上下を揃えて、這いずりゾンビ対策に履物は革のロングブーツ、手もゾンビを押し退けるのに革のグローブを忘れてはいけませんわね。このコーディネートならば、おゾンビ相手でも後れを取る事は無いでしょう」
「だっさ!淑女の身だしなみどこいったのよ?それにGパンってナニ?せめてジーンズかデニムって言いなさい」
「風香ちゃん、あれワザと言ってるんだよ」
「花、分かってるから。そもそもジーンズのコーデって難易度、高いのよ?」
「お気に召さなかったかしら?Gパンは昭和の刑事さんも愛用してましたのよ?」
「なんじゃこりゃー」はなっちが察して、ボケてくれた。流石アタシの相棒だね!ふーみんなんて隣で呆れているだけ。かいちょは相変わらず何言っても笑っている。肩が小刻みに震えて苦しそうじゃないか。




