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「司法の場に暴力持ち込むにゃんて、民主主義への冒涜にゃ!」
「犯罪者に言われたくない。この泥棒猫」
「にゃにおーっ!」
怒るアタシの背後から声がした。
「今日もにぎやかですね」
「せんせー⁉」
いつから見ていたのか部室の入り口には八百津先生が静かに立っていた。
「先生にも紅茶を・・・・・・」
こちらへ近づいて来る先生は言葉を途中で止めてしまった。ほんの少し間を置いて言う。
「・・・・・・何かありました?」鋭い!さすが教育者。
アタシは頭をフル回転させた。チョコの効果も手伝って今はキンキンに冴えている。
先生はどこで気付いたんだろう?かいちょが少しうつむいているから?はなっちが苦笑いしているから?ふーみんの少し怒っている様な態度?それはいつもの事か。
とにかく分析している場合じゃない!ゾン研存続の危機だ!
「なんでもな、」
アタシが取り繕ろうとするのを遮る様に、ふーみんが先生の前に進み出た。
「先生、ここに犯罪者がいます」
こやつ⁉目の前でチクリよった‼
驚くアタシの事など無視して顔を横に、鼻はツンと上に向けている。かいちょの様に巻き込まれないうちにさっさと自分だけ逃げたのか⁉
(この女狐め!)
「海津さん。どういうことですか?説明してください」
「えーっと、」
助けを求めてはなっちの方をチラリと見たけど、彼女は苦笑いするばかりだ。かいちょの方はアタシに言い負かされたのを気にしているのか、うつむいていて援護は望めそうにない。二人とも危機的状況なの分かってる?
ふーみんなんて先生の後ろに立って腰に手を当てている。口の端をニヤリと上げて。まさに虎の威を借る狐。くっそーっ‼この仕打ち忘れないからな!
もう先生に目を付けられいる以上、変に誤魔化すのは逆効果だ。簡単に見破られるだろう。それよりは素直に質問に応えるしかない。これに限る!
「存研の部活の一環で合鍵を作っていました。」
「合鍵を?」
「ハイ。画像だけでカギを複製できると、ネットで話題になっていたので議題として取り上げました。」
スマホで「画像 合鍵」と検索し先生に見せる。
「まあ!」
よし!先生の注意が他に逸れたぞ。ここが攻め時だ!
「合鍵を作るのは結構簡単なんです。一番手軽なのは鍵番号から作る方法。写真のカギに鍵番号が写っていれば鍵屋さんで番号を伝えるだけで現物が無くても作れます。ネットでも注文できるのでこちらは対面の必要すらありません。他にも2Dの写真から3Dデータを作成する事も出来るので3Dプリンターを使って複製する事も可能です。アタシ達は一番アナログな方法、紙に写し取るやり方を試していました」
「海津さん。理由もなくカギの複製なんてするものではありませんよ」
「理由はあります。鍵の写真をネットに上げる事がいかに危険か、啓もう活動としての意味があります。例えば春は、引越しや新たに車に乗り始める人が増える時期です。その報告をSNSで呟くのはいいんですが、鍵の写真を一緒に上げていたりすると思わぬ犯罪に繋がる場合もあると、身をもって体験していたところです。」
ふーみんが先生の後ろでアタシに指をさし「アンタが言うな!」と口パクしている。
素知らぬ顔でアタシは続けた。
「最新のセキュリティが高い鍵ならいざ知らず、古いバイクや車、昭和辺りの家の鍵では素人でも複製は容易です。SNSどころではないんです。机の上に置きっぱなしにするだとか、人の目に付く場所に鍵を置くことは危険です。先生は車に乗っているんですよね?カギの写真を上げてしまった事はないんですか?」
先生の顔が引きつった。
「ちょっと、失礼しますね」
アタシ達を残してスタスタ行ってしまった。さては画像を削除しに行ったか、車の鍵を置きっぱなしにしてきたな?
ふーみんもこちらに背を向けてスマホを操作し始めた。(おいっ‼)
「ふーっ、なんとか危機を乗り越えたね」アタシは席に着き冷めてしまった紅茶をすすった。
のっぺりとした表情でふーみんも席に戻ってきた。
「アンタ、よくもあんなにぬけぬけと、」
「それはこっちのセリフだよ!自分だけ逃げやがって!」
「私は本当に知らなかったもん」すました顔で横を向く。
「この部室が使えなくなるところだったんだぞ!それどころか、はなっちとかいちょは犯罪者だ」
「月光ちゃんっ!」「月光さんっ!」
改まってかいちょが言う。
「月光さん。許可なく使用するのは、やはりいけませんよ」
今更もっともな事を言って!かいちょが一番タチが悪いと思うんだけど。電気ポットまで持ち込んで便利に使っておきながら、自分は被害を受けないポジションに立っていたんだから。一歩間違えばアタシだけ責任を押し付けられてトカゲの尻尾きりにされるところだったじゃないか。この悪徳政治家め!
「別に理科室じゃなくたって実習室でいいじゃない」と、ふーみん。
「実習室だと他の生徒がいるじゃないか」クラスでは目立たないようにしているアタシには都合が悪い。
「紅茶も飲めなくなってしまいますし、」あくまで自分の利益を優先させるつもりかい?かいちょ。アンタいつかそれが原因で身を滅ぼすよ?
アタシも候補を上げる。
「じゃあ、生徒会室は?あそこなら会長権限で電気ポット置いてても何も言われないでしょ」
はなっちが無言で頭を抱えテーブルに伏せてしまった。パイセンがいるとはなっちが怯えてしまうか。
「やはりゾン研を正式に部として申請してください」
「んー、部にしてもいいんだけど、実績がねぇ」アタシはただお喋りできる場所が欲しかったたけだ。活動実績を示せと言われても困ってしまう。
「とりあえず同好会として申請してください。そうすれば生徒会の方で理科室の使用許可はもらいますから」
「いいの?」かいちょ、職権乱用じゃないか。また1つ悪事を重ねたね。クックックッ




