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ゆるゾン  作者: ニコ・タケナカ
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今はエンジンがかかっていてノッている最中だし、ここでふーみん達に飽きられてしまうと、こちらは不完全燃焼を起こしてしまう。休憩の意味も兼ねて、少し茶化してやろう。

「かいちょにはアタシのとっておきの仮説を披露してあげようか」

「なんですか⁉それっ!」

彼女は目を輝かせている。よっぽど我慢してたんだな。


「うちの高校がなぜ、この場所に立っているかだよ」

「歴史的な理由があるんですか?私も知りません!」

「そうか、そうか、なら教えてあげよう。だいたいどこの学校にも七不思議というものがあるよね。真夜中に音楽室のピアノがひとりでに鳴るだとか、理科室の人体模型が勝手に動き回るだとか、旧校舎の階段を一段ずつ数えて上った時と下りた時で段数が合わなかったり、」

かいちょの表情が引きつってきた。

「理科室が3つもあったりね」

はなっちが怖い話を苦手にしているかいちょの事を気遣ったのか割り込んでくる。

「それは七不思議でもなんでもないよ!」

「プールも無いのに水泳の強豪校だったり」ふーみんまで割り込んでくる。

「それは水泳部が努力した証だよ!」

いつもなら吹き出しているかいちょだけど、顔はこわ張ったままだ。たぶんアタシが怖い話に持っていこうとしているのを感じ取ったのだろう。鋭いやつめ。

「ウォホン!・・・・・・その学校によって七不思議に多少違いはあるけど、全国的にどの学校でも怖い話が伝わっているなんておかしいと思わない?」

「それはアニメとかドラマとかテレビの影響なんでしょ」

「それもあるかもしれない。けど、なんの根拠もない所に噂は残らないよ」

「根拠があると?」


「・・・・・・」


みんな、うっすら気付いたようだ。自分達が今、どこに立っているのかを。

誰も喋り出さないので、アタシもワザと口を閉じた。

「何か言いなさいよ!」たまらずふーみんが怒る。クククッ!

「学校というのはね、」恐怖を煽る様にゆっくりとした口調で話す。

かいちょが耳を塞いでしまった。

「、校舎や体育館、運動場にプールといった大きな施設が沢山、必要なんだ。つまり、まとまった土地がいる。学校を建設しようと思った時、なかなか条件に合う場所なんて見つからないよ」


「・・・・・・」


「だからッ!喋りなさいよ!」

「ふふふふふっ。でも、都合よく広い土地が空いていたりすることがある。周りに住宅はあるのに、そこだけぽっかりと、避けているように空いた場所が、」

かいちょが首をブンブン振り出した。耳、押さえてるのに聞こえてるの?


「地元の人達はそこでナニが起こったのか知っているのさ。だから嫌って避けている。けど行政としては建設しない訳にはいかないし、そういう土地は安かったりもするから好都合なんだ・・・・・・そこで、ナニが起こったのかなんて関係ない。どれだけの血が流れたかなんて、」


「会長、」

かいちょの後ろに立っていたパイセンが肩に手をかけた。

その途端、

「ひゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

と、彼女はもの凄い叫び声をあげた。

あまりに見事な叫び声だったので、みんなあっけにとられた。それから一斉に笑い出した。

「アハハハハハッ‼」

「羽島、ビビリすぎだ。ハハハッ!」

「もーーーーーっ!なんなんですか!もーーーーーーっ!」

「悪かったよ。次行くぞ」

パイセンが歩き出したのでアタシ達も後を追った。

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