表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第二章 異世界と東京をいったりきたり
99/162

【99】宝物リストを作りたいらしい


夏満開。晴れて暑い日曜日。

激混みの街に出るのも億劫な東京、都心部。



いや、もはや東京だけではないだろう、混んでるのは。

感染症が無くなった喜びを噛みしめるように、各都道府県の盛り場や観光スポット、そして海岸に人が溢れていっていると、連日テレビが報道している。


海外旅行ラッシュで、空港も相当混雑しているそうだ。



春にはまだ、半信半疑で躊躇しながら行動していた人々も、夏に向けてどんどん大胆になっていって、去年「新しい生活」と言われたものは無かったことになった。

これは日本だけじゃなく、世界中に起きている事らしい。



もはや、マスクなんてつけてる人はいない。


大きな施設の入口には、アルコールスプレーが「念の為」とばかりにおいてあるが、誰も使ってない。


ただでさえ賑わっているところなのに、輪をかけて今はオリンピック直前の週でもあるから、外国人観光客の量もすごい。

各国からどしどしやってきていて、ホテルはどこも満杯だとニュースサイトの記事に書いてあった。



俺はというと、人混みが苦手なので、こんな日曜日は家に閉じこもっての作業デーに徹している。


紗絵さんの保存食は、本来4日分はあるはずなんだけど、川口や福田とともに食べていたら2日で消費しきってしまった。



だから、今日みたいな日の食事は、まるっとUberで注文だ。



川口のリクエストで、ブロッコリーモンスター丼という、大量のブロッコリーと脂身少なめの赤身肉のグリルがみっしり詰まってる弁当を頼んだ。

米と漬物も普通の量でちゃんと入ってる。


奴は昨日から筋トレを始めたようなんで、ひたすら肉と野菜と炭水化物を欲している。

プロテインも買ってきて、牛乳でシェイクして飲んでいるようだ。



大量のブロッコリーと赤身肉は体に良さそうなんで、俺と福田も同じものを頼んで食べてみることにした。




「感染症の最中はあんなに街中走り回ってた食事の宅配バイクも、外食産業がもとに戻ったからかちょっと減ったよねえ」


リビングのセンターテーブルを囲んで、俺たちはモンスター丼を食べている。


ちなみにモンスターステーキは、店に行って食べたら相当デカいサイズのもあるようだ。

32オンス(900g)で4380円。

俺は200gで満足だが、川口ならいけるだろうな。



「宅配、バイクは減ったよね。自転車はまだ割と見かけるけど。」

「出かける人が増えたからさあ、車道も混みがちになったじゃん。自転車のほうが配達しやすいんじゃないの〜?」


福田は、冷蔵庫からカロリーゼロのサイダーを持ってきて、俺たちにも配りながら話した。


「ウム。しかし、おれたちのように飲食店に並ぶのが嫌で配達を頼む人は一定数いるようだな。Uberは「新しい食事サービス」として根を下ろせたように見えるぞ。」

「お年寄りとか、小さい子供がいる家もレストランの味を楽しめるしね。」




こんなことをアレコレ話しながら、一緒に寝起きし、3人で食事を食べてる同居生活も今日まで。


明日からは、二人それぞれ下の階の「自分の家」で過ごせるようになるのだ。



近いし、異世界に行くときは同行する事も多いだろうから、しょっちゅう会いはするだろうけどね。



「二人共、引っ越しの準備、随分早めに終わったみたいだけど、もう全部すんでるのかよ?」


俺は川口と福田に聞いてみた。


「オレはほらぁ、荷物ミニマムじゃん?それもかなり捨てたんだよねえ、こっち来てからいいやつに買い揃えようと思ってさー。」


と、福田。

そっか。どうせ買い替える予定なら、引っ越しのついでに前のを処分したほうが楽だよね。


「おれは、じつはまだ細々したものがあってな…絶対引っ越し業者に運んでもらうぞ!というものは箱詰めしたんだけど、判断に迷うものはまだ…」

「そーいうのはさあ、『判断迷い箱』ってダンボールを用意して、そこにドカドカ全部入れちゃえばいーんだよ。とにかく床を空かす事が大切だからねぇ。」


福田が、弁当を突きながら川口にアドバイスをした。さすが片付けが上手い奴。


「ウム…そうだな。後で取りに行こうかと思ってたけど、まずは業者に運んでもらって部屋をすっからかんにするほうがいいな。」

「そーそー、大家に鍵返却できるしね。そうすれば、前のアパートっていうタスクは完了できるからさあ。」


ミニマムライフできれいな部屋を維持してる福田の片付けのルールは、部屋の中に生じてるタスクを一つ一つ完了させていくことらしい。



「よし、ではおれはメシを食い終わったらちょっくらアパートに帰ってくるぞ。完了させてくる。」

「オレは今日は空いてるんだよね〜。渚、なんか手伝うことあるー?」



福田が名乗り出てくれたので、俺は宝物庫のチェックリストを作ろうと思ってることを伝えた。


「なにそれマジで面白そ!リスト作り、手伝う手伝うー!」

「グヌヌ…おれもそれは見てみたいぞ…アパートの片付けなんて早く終わらせてとっとと帰ってくるからな!」



ひとりだと、取り出して、検査して、Excelで作ったリストに書き込んで…って作業が大変だなと思ってたところだ、ありがたい。


本当だったら、異世界人のユーリやイブもいてくれたら、どんな効能のものかすぐわかるんだろうけど、わからないものは後で聞くとして保留しながらリストをこしらえていこう。



宝物庫に保管展示されてたわけだから、触るだけで爆発するものとかはないだろうけど、危険なものがないかだけ気をつけて取り扱わなきゃだな。



なにせここは、火の玉一つ出ただけでも火災報知器が鳴り響く、日本のマンションなんだから─

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ