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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【9】恵比寿に引っ越したらしい


マンションの契約を無事済まし、あとは引っ越しだけという状態になった。



俺がマンションを選ぶ条件は、高層階、都心だけど騒がしくない場所であること、セキュリティの高さ以外にもう一つある。


─保証人なしでも大丈夫なこと。


なにせ両親は異世界転生して、光になって消えてしまったばかりだ。


そしてその事をまだ親戚一同は知らない。

どう伝えるかもまだ思いついていない。



親が保証人にならなきゃマンションなんて借りられないでしょ…と思って条件検索してみたら、意外や意外。案外あるんだな。


そうだよね、大人世代の人だと親ももう亡くなってしまって親戚筋とも連絡を取り合ってないって人、結構いるはずだもんね。

若くても、親との関係が良くない人だって沢山いるはずだし。



収入証明みたいなのを求められたらどうしようと思ってヒヤヒヤしたけど、特になくて大丈夫だった。


もしもこの先、家を買うとなったらこんな訳にはいかないだろうし固定資産税の問題も出てくるだろうから、ちょっと考えなきゃなあ…


でもお金が100倍になる袋さえあれば、一生賃貸でも構わないのか。


「あれ?実家って賃貸だったっけ?買ったものだったっけ?…親の現世にいた後処理も、そろそろ向かい合っていかなきゃな…」




引越し当日。


引越し会社は正直どこでもよかったので、信頼できそうな有名なところを選んで頼んだ。


俺のアパートから運び出すものなんて、たいしてない。

むしろ新しいマンションの広さとグレードに合わないショボい家具ばかりで、設置するとき引っ越し屋が引いちゃわないかな…と心配なくらいだ。


案の定、引っ越し作業はあっという間に終わった。


大量の札束と革袋は、もちろん自分の手でシッカリ運んだ。


電車移動するのは怖いしそもそも重いから(1億の札束ともなるとかなりの重さだ)タクシーを呼んで、恵比寿のマンションまで直行した。




夕暮れ。

下見の日と同じ様な綺麗な夕焼けが部屋をオレンジに照らす。


いくつかのまだ開けてない段ボール箱を前に、広いリビングの真ん中で、俺はぼんやり胡座をかいて座っていた。


「俺の家具、ちっちぇえ…。」


リビング部分は12帖、プラスキッチン。

前のアパートの広さに合わせた小さい座卓やテレビのなんと小さいことか。


「8帖の1DKだったんだけど、リビング兼寝室兼書斎兼食堂みたいなもんだったから…リビングだけのためのリビングって、こんなに広く感じるもんなんだなあ」


リビングだけのためのリビング。


よく芸能人や金持ちYouTuberの家に出てくる、ソファーとテレビと観葉植物しかないようなお洒落な部屋、アレである。


「リビング専用のサイズの家具を買ったほうがいいよな、きっと…」


誰か来た時に見られてもいいように…


と思った時、頭をよぎったのはいつもの友達たちではなく、先日ショッピングモールで再会した梨亜の存在だった。


「LINEでメッセージ、送ってみようかな。引っ越したよ〜って…」


スマホを手に、悩む。

いきなり不自然かな。

いや、でも普通のことだよな、うん。


でもこんな豪華なマンションに引越したって、どう説明したらいいだろう?


それを思いつくまで保留…ということで、スマホを尻ポケットにしまうと、俺はマンション内部と近所の散策に出る事にした。




一階にある共用サービスは、マシンが数台ある小さなトレーニングルームとクリーニング依頼ボックス、共用製氷機と自販機が並ぶ小部屋。


「クリーニングがマンションの中だけで頼めて、部屋に届けてくれるのは便利だな。」


自販機コーナーは軽食類の販売機もあり、家にこもって仕事をする人なら、ウーバーみたいな宅配飲食も併用すればコンビニに行かなくてもしばらく生きていけそうだ。



そして、コンシェルジュ前には広いエントランスホールにあるソファーとテーブル。

ここも勿論、共用スペースである。


恐らく、住人を待っている来訪者が寛げるスペースなんだろう。

新聞と英字新聞が置いてある。


「恵比寿だから外国人の住人もいるのかな。」


そういえば最上階の隣室も、外国人が住んでいたと沖田さんが言っていたっけ。

感染症が流行し始めた頃ひきはらって、帰国したらしい。



「マンションから一番近いコンビニに行ってみよう。」


玄関を通るときにコンシェルジュのお姉さん達にペコリと会釈をすると、


「行ってらっしゃいませ。」


と言ってお辞儀をされた。


うぉぉすげえ!

メイド喫茶って行ったことないけど、こういう気分になるのかな?!


なんだかテンションが上がってしまい、毎回言ってもらえるのかな…帰宅したときは、お帰りなさいませなのかな…と、ひとしきりワクワクしたが、


「…あんなキチンとした女性に見られてると思うと、みっともない格好で出かけられないな…」


しまった…これは大変な所に引っ越したぞ、と思ったけれどあとの祭りだ。


小綺麗だけど肩の凝らない服を買ってきて、マンションにいる間はそれで過ごす癖をつけよう。

そうするしかない。


伸びきったスウェットや毛玉だらけのセーターやジャージは、もうおさらばしよう。


高級マンションが似合う男になるんだ─!



少し歩いた所にスーパーマーケットがあったので、ベルギーのホワイトビール、ブリューチーズ、寿司詰め合わせ、果物、トマト、アーモンド大袋を買って帰宅。


案の定、エントランスに足を踏み入れると


「お帰りなさいませ。」


と声を合わせて言われた。



できうる限りカッコつけた顔をし、背筋を伸ばして会釈して、エレベーターに乗る俺。


「…ふう。こりゃ慣れないと肩がガチガチになりそうだな。」



部屋に戻り、ベランダ(バルコニー?)に椅子を出して、夜景を見ながら買ってきた物を飲み食いする。


駒沢通りから坂を登った高台にあるマンションなので、眺めが良い。


「新生活の始まりだ…。色々段取りを決めなきゃいけない事も多いけど、頑張るぞ。」



俺は自分自身にむけて乾杯をし、ホワイトビールをグビッと飲んだ。

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