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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【8】高級マンションを内見するらしい


恵比寿駅の西口から少し歩いたところに、その賃貸マンションはあった。



不動産サイトの情報によると、築14年らしい。


焦茶色の壁面は豪華で剛健な雰囲気をかもしだしている。


観葉樹の緑に囲まれた正面玄関は大きなガラスの自動ドアになっていて、その中にオートロックがあり、ロックが外れると更に中のガラスの自動ドアが開くようになっている。


その先の広々としたエントランスもホテルのようなコンシェルジュサービスがあり、パリッとした身なりの受付嬢が2人、コンシェルジュカウンターの中に立っているのが見える。



「お待ちしておりました、桑野渚様。」


入口に不動産屋の綺麗な女性が立って、俺を待っていた。


「私、澁谷南不動産の沖田と申します。」


名刺を受け取り、俺も挨拶する。


年の頃は30歳前後あたり…俺よりいくらか上かな。

大人の女性と二人きりで話すことなんて普段ないから、なんだか緊張。


「桑野です。今日はよろしくお願いします。ネットで見た限り、いくつか空き部屋があるそうですが…」


「はい。2階、5階と最上階である15階に空き部屋がございます。」


「2階と5階か…下の階は外から見えるかもしれないので、最上階の内見を希望してもいいですか?」


札束を魔法の革袋からボンッと出したり、また鏡が光って異世界と通信することになったりしたらいけない。


最上階なら外は空だ。

下層階と違って、隣のマンションから覗かれるようなこともできないだろう。



「お家賃が2階、5階の空き部屋と最上階では違いがございます。もちろん、広さの違いもかなりございますが……2階は20万円、5階は30万円ですが、最上階は50万円となっております。」


月50万円。

一瞬怯んだが、バレないように平静を装った。


ビビリ丸出しで支払い能力なさそうに思われても、色々追求されそうで面倒だ。


ここはひとつ気合を入れて、なんらかの才能で若くして財を得た男の顔をするようにつとめよう…。



「構いません。気に入ったら契約したいと考えています。」

「かしこまりました。それではどうぞエントランスへ…」



沖田さんに続いて中に入ると、コンシェルジュのお姉さん達がうやうやしく頭を下げてきた。


内見については先に話してくれていたようで、受付はスルーでそのまま奥のエレベーターへ向かう。


「この建物は全て鍵の中にあるチップで認証する作りになっております。」


沖田さんは部屋の鍵らしきものを出して、エレベーターのスイッチの下にあるセンサー板にかざす。

と、チーン、と音がしてエレベーターの扉が開いた。


最上階のボタンを押すと、エレベーターは上昇し始めた。


「一戸建ての賃貸もございますが、桑野様はマンションのみをご希望でいらっしゃいますか?」


気まずい沈黙にならないよう、沖田さんは俺に話しかけてくれる。


「はい、一戸建ては周囲の目が気になるし…町内会とかがあっても面倒ですからね。」

「窓から見えないように…と言う条件な訳ですね。桑野様は芸能関係の方で?」

「あ、いえ、そういう訳ではありません」

「失礼しました。最近はYouTubeに動画を上げるお仕事の方も多いものですから…もしそうならお聞きしておかないとと思いまして。」

「そういうのもしてないですが、やはり他の住民との問題が起きたりするんですか?」

「そういうケースも多少ございますね」



チーンと言う音とともに、最上階についた。


最上階の扉は2つだけ。



「どちらも空室となっております。」

「どっちを選んでもいいんですか?」

「今回内見予定の1501号室は内装リフォーム等全て整っているんですが、1502の方はまだ転居されて間もないので…」


空き家なのは良いな。

隣人に気を使わずにすむ。


「ご覧になることはできますが、まだ内装は少々日数が…」

「あ、1501でいいですよ。すぐ引っ越したいので。」


沖田さんはホッとした笑顔を見せた。

笑顔も美人だな。


「1501の方が窓の景観も良く、この時間ですと夕暮れが美しくご覧になれますよ。」



中に入って見せてもらったら、なるほど確かに窓が大きく、その先に見える大きなマンションなどはない。


1502号室の方は、方角的にいくらか遠目にはなるがタワーマンションがあった気がする。

望遠鏡などを使ったら中が見られてしまう訳か。



沖田さんの言う通り、窓から見える夕焼け空が見事だった。

オレンジ色の光が、入ってすぐの広いリビングを照らしている。


(こんな夕焼けを見ながらベランダでビールなんか飲んだら、最高だろうなあ…)



決まりだな。


「ここにします!」


まだ他の部屋も見ていないのに即決した俺に、沖田さんは少し慌てつつも、クスクスと笑っていた。


「お早いですね。」


「この夕焼けを見てピン!ときたものですから…」


「フフッ、ありがとうございます。ですが他のお部屋や駐車場、共用設備などもご案内させてくださいね?」



その後、他の三部屋とおまけ部屋(3SLDK+ウォークインクローゼットのつくりなのである)について紹介され、床暖房など設備の使い方の説明を受けたあと、俺達は一階へと降りた。




共用部分の説明や駐車場の使い方を教えてもらい、マンションの玄関のコンシェルジュカウンターへ。


コンシェルジュに荷物の預かりやDIY備品の貸出など、諸々のお願いを頼めることを教えてもらった。



万が一不審者が入口のオートロックを誰かと一緒に入ってきてしまっても、鍵がなければエレベーター乗れないし、乗っても鍵の持ち主の階にしか降りられない。


不審な行動をしているとコンシェルジュに身元と来館の目的を問われ、場合によっては警察を呼ばれる。


でもそんなの、コンシェルジュのお姉さんだけで危なくないかな、と思ったら奥にはキチンといかつい警備員がいるそうだ。



これは頼もしい…!!

このマンション以外、考えられない。



「このマンションに決めようと思います。すぐにでも契約をしたいんですが」


俺は沖田さんにそう告げた。



お家賃、月々50万円。


革袋の力がなかったらあり得ない話だけど…たくさんの現金があるからこそ、住むところの安全だけはこだわりたい。


正直、袋を手に入れてからは常に落ち着かなく、強盗が入るんじゃないかとずっと神経を張り詰めてる状況だった。


これでひと安心できるかもしれない。



マンションの地下駐車場を契約したら車庫証明もできるし、車も堂々と買えるようになるぞ。



安全で悠々自適な生活にむけて、一歩前進だ…!

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