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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【70】お隣さんを訪ねたらしい


川口と福田が居候する事になった翌日─



俺は隣の部屋のエイヴという英国紳士に、思い切って電話をかけてみた。



─なぜ異世界の言葉が話せるのか。

─ユーリが異世界人だと知って、どうするつもりなのか。


気になることは他にも色々ある。


いや、相手も同じように、こちらを、気になっていることだろう。

そうじゃかったら、わざわざポストにメモを入れてコンタクトをとろうとはしてこない筈だ。



─でももし悪い奴だったら一人では敵わないので、彼に会う時は川口と福田にも同行してもらおう…。


通販で買ったスタンガンや護身グッズも、ひそかに持っていくつもりである。

この世界の人間ではない可能性もあるので、念には念を、だ。


─まあ、そんなものを使わないですむくらい、有効的な関係になれたら問題ないんだけど…。




『Hello』


エイヴが電話に出たので、俺は


『隣の部屋の桑野ですが、少し前にメモが入っていたので…ご連絡が遅くなってすみません。』


と伝えた。


すると彼は、見せたいものがあるから是非訪ねてきてほしいとの事─


内情を全て知ってる仲間も連れて行っていいかと聞いたら、OKだそうだ。よかった。


夜7時に訪問することに決まったので、表参道で買物をしている川口と福田にその旨を伝えた。




日もだいぶ落ち、彼らはブランドショッピングツアーから帰ってきた。


川口が黒づくめではあるが、明らかに良い素材の服や鞄になって帰ってきたのでどうしたのと聞くと、


「アルマーニという店の服一式を買って、そのまま着てきた。高いぞ、このパンツだけで16万円はする。」


と言ったのでヒエッとなった。


「ちなみにアルマーニでも、エンポリオじゃなくてジョルジオの方だよぉ〜!」


福田が注訳をいれてくれたが、違いがあまりわからん。

が、聞いてみると、どうやらジョルジオ・アルマーニのほうが高級で高額だそうだ。


「アルマーニ、男っぽくてモノトーンの服が多いからさあ、川口に合うんじゃないかと思ったんだよね〜。」

「ウム。着心地いいぞ。俺は気に入った。」 


よく見たら、両手に沢山アルマーニの買物袋を持っている。色々買い込んだようだ。

選んでやった福田はドヤァという感じの顔をして、満足そうにしている。




「じゃあ二人も帰ってきたことだし、隣の家を訪問しますか…!」


俺は護身グッズの入った鞄を肩にかけた。


川口と福田にも、それぞれ護身具を渡してある。



─エイヴ自体は細くて中性的だから、とてもイカツい喧嘩をするタイプには見えないけど…万が一悪い仲間がいたりしたら、いけないからね。


「うっす。いつでもいいぞ。」


川口は腰のあたりをポンと叩いた。

ベルトに伸縮式警棒を入れたケースが取り付けてある。


「オレもスタンガン身に着けたよ〜」


福田も腰につけてるケースを触った。


ユーリのトートバッグの中にも、催涙スプレーや小型スタンガンを入れておいた。


彼女はなんだか、朝からソワソワしている。


─異世界の事を知ってる─異世界人かもしれない人間に会いに行く訳だから、当然といえば当然か…。




隣の部屋の玄関チャイムを鳴らすと、エイヴが扉を開けてくれた。


『いらっしゃい。』


「えっ…」


一瞬、彼だとわからなかった。

何故なら、黒くて長いローブを纏って、フードを被っていたからだ。


『よく来たね、渚とお友達の坊やたち。そして─』


彼は、ユーリを見つめた。


[ハラダユーコ、なんだね?君は─]


「?!」


─なんで、母さんの旧姓の名前を…?


ユーリを見ると、雷に打たれたようにショックを受けて固まっている。



「ね〜渚、いまこの人日本人の名前言わなかった…?!」

「ウム、急に英語からわからない言語になったが、はらだゆうこという部分は聞き取れたぞ。」


あ…

異世界の言葉で話しかけてきたんだ…?今…。


翻訳の指輪で全て訳されてしまってるから、ぶっちゃけ俺には区別がつかなかった…。



『玄関で話していてもしょうがない、中へどうぞ。』



俺たちはエイヴの導きで彼の家に入っていった。


彼の家は、日本のマンションであるにもかかわらず土足でいいようだ。

靴を脱ごうとしたら、制止された。


よく見たら、彼もローブの下にブーツのような靴を履いている。



部屋の作りは、俺の方の─1501号室と、だいたい同じだった。


だが、決定的に違うものがある。


部屋の家具だ。



─いや、家具と言えるのだろうか?これは…



窓は黒いカーテンがひかれ、部屋の四隅にはランプのような形の間接照明が置かれている。


そして、広いリビング一面には魔法陣のようなものが描かれていて、他にはなにもない。



呆気にとられていると、ユーリが一歩進み出て、彼に向かってこう言った。


[私、あなたの事知ってる気がします…。私の中に、この部屋にいるあなたを何度も見た記憶がある─]



彼はフードを外すと、ユーリを見てフッと微笑んだ。


[来てくれるのを待っていたよ。聖女。そして、勇者ケースケと聖女ユーコの息子よ。]



あ…えっ……俺も?!

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