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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【63】バーバリーに思い出アリらしい


表参道。

東急プラザ7階のダイニングレストランでリコッタパンケーキを苦しくなるほど食べた後、地上に降りる。



1階にあるトミー・ヒルフィガーの店舗が気になるので、チラと寄ってみる事にした。


「ここは男女どちらの服も売ってるから、ユーリの服も買えるよ。一緒に見てみよう。」

「うん!」


俺もちょうど夏物の服の追加が欲しかったので、何枚か買おうと思ってたのだ。


5月に恵比寿のBEAMSとSHIPSで買った服がいくらかクローゼットに入っているが、春物なので─もう少し夏物が欲しい。

下着も古い緩くなったのを捨てて、新しいのに変えていきたいし。



トミー・ヒルフィガーで購入したのは、夏っぽい柄のプリントシャツ1枚とTシャツ2枚、カジュアルパンツを2着とボクサーブリーフ3枚。

しめて約7万円。


他の店でも買物したいから、ここではこれくらいにしておこう。



ユーリも女性用のコーナーで欲しそうに見ている服があったので、Tシャツ、ブラウスなどのトップスからスカート、パンツ、ワンピース、バッグまで一揃え買う。

こちらはしめて約10万円だ。


彼女は何も持ってないに等しいから、全身買わなければならないが、金額的には余裕も余裕である。

 


商品を入れてもらった紙袋がかさばるので、一旦駐車場へ運び、車に積むことにした。



道すがら、ふと思い出したことをユーリに聞いてみる。


「そういえば、下着ってどうしてるんだ?」

「どうしてるって…やだ!つけてるわよ!」


ユーリは少し頬を赤らめて、答えた。


「いや、つけてるかどうかじゃなくて…いつ買ったの?」

「沖縄よ。海で着てたじゃない。」



─って、それビキニだよ!水着!


「下着で泳いでたつもりだったの?ユーリは」

「そうよ。みんなそうじゃないの?」



そうか、バザルモアだと下着も水着もいっしょくたなのか…

じゃあ沖縄の海岸やプールにいた人を見ても、派手な下着だと思ってたのかな、ユーリは。


「うーん、違いを説明するのが難しい…。」


水着を下着替わりにしちゃいけないってわけじゃないし…。


「下着としてしか着用しない下着があるのは知ってるし、『記憶』の中にも入ってるわよ。」


母さんの下着情報か〜、あまり考えたくないな。


「でも沖縄の服屋で売ってなかったし…」

「あれは観光ホテル内のショップだったからで、下着専門の店に行けばいくらでも─」

「下着専門の店?!行ってみたい!」


えっ…。


「人前には出さない下着なんて、貴族みたい!この辺にもあるの?」

「た、多分…あるんじゃないかな。」

「行きましょ!渚。それが欲しいわ。」


そんなハードルが高そうなところを…。

いや、値段的な意味じゃなくて、精神的な意味で。


「ま、まずはバーバリーを見てからにしようね。目的を達成しなきゃ。」



原宿・表参道の辺の下着屋だと、女子高生がわらわらいそうだなあ…。気が引けるなあ。

お金だけ渡して、恵比寿の下着屋で一人で買ってもらうことにしようかな…。




表参道ヒルズからバーバリーは近い。

信号を渡った向かい側の坂を、ほんの少し登ったところにある。


ガラス張りの壁面。入口の扉の上に、堂々と金文字でBURBERRYと書いてある建物に、俺たちは入っていった。



上品に展示してある数々の商品。

想像通り、夏でも派手すぎないシックな色合いの衣服が多いが、すごくポップなデザインのものもある。


─へえー、大人っぽくてお堅い先入観があったけど、若者向けの服も沢山あるんだな…。


「なにか思い出す?ユーリ。」

「ううーん…まだ…」



今は夏だけど、バーバリーっていったらコートが有名だからか、秋冬の衣料のイメージあるな。

裏地が温かな色合いのチェックのコートとか、チェックのマフラーとか…



─マフラー?


俺は、頭にバーバリーのマフラーが浮かんだ。


みるみるうちに、その時の情景が思い出されてくる。



中学の頃。

お祝いに、親がチェックのマフラーをプレゼントしてくれた事がある。


美術の時間に描いた絵が、ユネスコかなんかの賞を取ったんだった。

学校が勝手にまとめて応募するやつなんで、自分からかかんに出して入賞したわけじゃなく、いまいちピンとこなかったっけ。


普段、めちゃくちゃ絵の成績がいい訳じゃないし、美術の先生も「なんでこの子を選ぶんだろう」みたいに思った事だろう。


でもちょっとは嬉しくて──


その後、しばらくは絵描きになりたいなんて思ってたもんだった。


でも、抽象的なテーマの絵だったから受賞できただけで、その後の美術で風景を描いたりなんだりしたものは特に褒められたもんじゃなかった。


だからまあ、やめてしまったんだよね。

なりたいって思うことを。


親にもらったマフラーも、まだ価値がわからなかったし、なんだか真面目で堅いだけな気がして──


高校になってファストファッションを買いに行ったりするようになったら、そっちの方がいい気がして使わなくなってしまっていたけど─


「あれ、バーバリーだったんだな、きっと…。」


俺は、店内のそこかしこにあるチェックをモチーフにした商品を見ながら、呟いた。



─近いうちに実家に帰って、押し入れの中を見てみよう。


俺の私物は残されてると思うから、10代の頃使ってたものがまだあるかもしれない。


─あの時のマフラー、引っ張り出して冬になったら使ってみよう…。



今度は大事に使うんだ。


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