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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【5】聖女の力は感染症にも打ち勝つらしい


定期をおろして革袋で100倍にし、手持ち金を1億にした日の夜… 


俺は胸がいっぱいなのか精神疲労してるのかわからないが、なんだか食欲がわかず、その日は結局外食もせず冷蔵庫にあるもので夕飯を済ませた。



その時、ネットニュースで気になる文が流れてきた。


「新型感染症、菌消滅か?!」


俺はドキッとした。


ふと、光の中へ消えゆく時の母の顔が浮かんだのだ。



内容を読んでみると、大流行中の新型肺炎の細菌が世界各地で消滅している報告が多数よせられているとのこと。


重症患者の体内からも消え失せて、病院はパニック状態。

しかし大流行した時と違って、嬉しい悲鳴でもあるとの意見も、病院勤務者たちのSNSなどで見受けられる。


まだ完全になくなったのかどうかは断言できないから、国からの正式発表には少し時間がかかるかもしれないけど…



『─転生の瞬間に、異世界の魔力が母さんの体にドッと流れ込むから…それを限界まで使って、聖女の力で渚に最後の贈り物をするわね。』



母さんは、消える間際に確かにそう言っていた。


「これだよな…絶対コレのことだよな。こんな不可思議なこと、自然に起こるはずがないもん。聖女の聖なるチカラってやつだよな、きっと…」


俺は鳥肌が立っていた。


世界は急速に変わっていくだろう。

感染症の流行によって急速に変わった時のように。


もしかしたら景気すら大幅に変わってしまうかもしれない。

経済効果とか、あまりわからないけど…



気分が高まりすぎて、深夜になっても寝付けないような感じがしたので、一昨日コンビニで買ってきたビールを二〜三本飲んだ。


安い雑穀発泡酒じゃない、普通のビールだ。

カマンベールチーズを肴にした。


どちらも普段ならちょっと高いな…と思って遠慮していたものだ。


「お金が手に入ったから、今後は値段の安さではなく、味で酒や肴を選んでいいんだよな…。明日、専門店で美味い地ビールでも買ってみよう」


そう思ったらフワァっと現実的な楽しさが襲ってきて、やっとリラックスできた。



午前四時、俺はやっと眠りにつくことができたのだった。



翌朝、起きるなり身支度を整えて、1億3百万円の束を旅行用のトランクへ隠した。

そして俺は端数の88万円の束を財布と以前使ってた札入れに分散してギュウギュウにつっこみ、街へ繰り出した。


(現金だ。現金を使っていこう─)


昨日は定期預金をおろして持ち帰るだけでヘタってしまったけど、札束を持つ事に少し慣れてきたのか今日は強気だ。


とはいえ、まだ何百万も持ち歩いて使う勇気は出ない。


(今日は練習だ。お金を使ってみる練習のつもりで行こう!)



いきなりハイブランドの路面店などで買うのは緊張するから後日、後日。


普段立ち寄るファッションビルやショッピングモールなんかに入ってる若者向けブランドで、値段を気にせず買ってみよう。


これからは、安売り品だから…ではなく、好きなデザインや素材感だとか、そういう観点で買うものを選んでいいんだ。


─マネキンが着てる服を「頭の先から足の先までまるっとください!」ってのもできるんだよな。そういう贅沢、一度やってみたかった。




菌はいないと知っていつつも、世間体の為に一応マスクをつけてマンションの外へ出る。

時間はもう昼を過ぎていた。


「そうだ、ますは腹ごしらえにちょっと高めのランチの店に行ってみよう。ビュッフェもいいな。」


俺の足取りは軽かった。


お金がある事以上に、新型肺炎の感染症がないんだ…というだけで、こんなにウキウキと外に出れるんだな。

このウキウキを享受できるのは、俺だけじゃない。

世界中の人が、ウキウキできるんだ。西も東も。


そう思うと、なんだかグローバルで壮大な計画の仕掛け人になっているような…そんな気持ちになった。


「母さん、ありがとう。みんな助かってるよ」


今日の感謝の呟き対象は、母だ。

俺だけじゃなくて世界の人々を救ってくれた。


まだ気づいてない人も、半信半疑の人も沢山いる。

陰謀論をとなえてる人も中にはいる。


しかしみんな、そのうち保健機関の大がかりな調査が終わったら、知ることになるだろう。


脅威は、本当に去ったのだということを。



「いや〜、伝説の聖女、ハンパねぇな!」


誰かに聞かれたら変な人かと思われるようなことを呟きながら、俺は駅に向かうのだった。

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