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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【4】定期をおろして億にするらしい


朝、目が覚めてまず頭によぎったことは─



昨夜の大金入手が夢まぼろしだったのではないかという疑念。


1万円札を入れると100万円に化ける袋だなんて、夢であるほうがいっそ自然だ。


ましてや親が勇者だったなんて、子供の妄想じゃないんだからそんなわけ─



その考えは、テレビ前の座卓を見た瞬間に消失した。


そこには1千万円のブロック状の束が3つと100万円の束が3つ、さんぜんと輝いていたからだ。


「…現実の方が下手な夢より現実味ないな」


ベッドの端に座り、しばらくボーッと札の山を眺めていたが、やらなければいけない事を思いつき動き出した。


それは、お金を100倍にしてくれる革袋が今日もちゃんと使えるかどうかの確認だった。


「財布の中身全部入れちゃったからなあ…一度化けさせた札は変化しないみたいだし。どこかにお金なかったかな…」


ゴソゴソと上着のポケットや鞄の底を探しまくってみると、10円玉が出てきた。


「これでいいや」


袋に入れると、昨夜と同じく100倍になる。

10円の100倍だから、千円札1枚だ。


「よし、無事使えるみたいだな。」


もし使える回数が決まってたら、今みたいな安い両替は勿体ないから今後はやらないように気をつけよう…などと考えつつ、外出準備。


今日はバイトがない日だから、一日中革袋の活用について考えたり、なにか買ったりできるぞ。



古着屋のセールで買った600円のダボッとしたトレーナーを着たが、もしかしたら高級な店に行くこともあるかも…と思い、持ってる服の中でなるべくキチンとしたものに着替えなおした。


「貧乏丸出しな格好で行く勇気はないよなあ…」


キチンとした服も古着通販で買った若者ブランドの物なので、たいして高いわけではない。

とはいえ「状態・S」の品だったので、中古といえどもほぼ新古品で、みすぼらしさは全くない流行りのカットのオーバーサイズシャツだ。

買値は古着サイトのタイムセールで1980円だったが、本来新品で買った場合の値段は8900円。


俺は大事なときにはこのシャツを着るようにしてる。


「でもよく考えたら、これだけ金があるなら高い店による前、行きがけにブランドの服かなんかを買っていったっていいんだよな…」


でもそのブランド店に入るのには、やはり安すぎる服だとナメられるし…


などということを、昨夜のあまりのハーゲンダッツを朝ご飯がわりに食べながらグルグル考えていたが、とりあえずこのシャツなら大丈夫だろうと思い、まずは出かけることにした。




最初に行くところは決まっている。

銀行だ。


定期預金を一旦解約して、全額おろして持ち帰り、袋で100倍に増やすつもりだ。



窓口で解約手続きをすると、


「少額投資のNISAはいかがですか?毎月一万円ずつの積立投資もできますよ。」


とさかんに勧められた。



(今の自分の持ち金だったら、少額ずつの積立どころかガッツリ株に投資してもいいんだよな…)


と思いつつも、出どころがわからない大金を所有してる事は他人に知られたくない。


税金の問題以前に、収入のルートが不明すぎる。


まさか勇者の父からチートなアイテムを貰ったので、なんて言えない。

頭がおかしいと思われるのが関の山だ。



どうにかして他人にバレずに、しかしなるたけ贅沢をして世の中にお金を回しながら、悠々自適に生涯暮らせないものか…



俺は銀行から家までの道のりを、ずっとそう考えながら歩いていた。



どこかで食事をして帰ろうかと思ったけど、おろした定期預金がいつの間にか70万円貯まっていたから、持ち歩くのも怖くなって帰宅することにしたのだ。


「70万円で怖くなってる、俺の神経はまだ正常だな。」


近いうちに何百万円払っても痛くも痒くもなくなりそうな─そんな予感がしていた。



そうなりたくない気持ちはある。



もしあの袋が突然使えなくなってしまったら─


ズレてしまった金の感覚は戻せるのだろうか?


正直言って怖い。



だがその先の世界も見てみたいような気もする。



帰宅するなり、70万円を銀行の封筒から出して革袋に突っ込む。


革袋は昨夜の比じゃないくらいにモコモコと膨らみ、パンパンになった。


袋の口から覗き込むと、中は一万円札でみっちみちになっている。


「うまく出せるかな、これ…」


時間をかけて、グチャグチャにならないよう少しの束ずつ取り出し、座卓の上に積んでいく。


なんとか全部取り出したら、座卓の上は札束ブロックで満杯になった。


「昨夜のぶんと、合わせて1億とちょっと…」


一万円が百万円になった時はニヤニヤしたのに、なぜか真顔になってしまう。


いろいろな感情が混ざりすぎて、頭が疲れすぎてしまっているのが自分でわかる。



「預金しない、株も買わないんだとしたら、現金を安全に保管しておく方法を考えなきゃな…」



体調不良を理由に、勤め先のコンビニにバイトを休む連絡をしたら、感染症の疑いを感じたのか


「丁度連日入れる新人の子入ったから、一週間くらい休んで様子見てもいいよ」


と店長に言われた。



別に感染症じゃないんだけど…と思いつつも、ありがたく休みをもらう。


明日から一週間、大金対策に取り組んでいく事にしよう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 袋が使えなくなるって事はないのでは?両親が回数制限の有る欠陥品を渡すとは思えないので!それに両親から息子へ渡す遺品?形見?みたいな物だと思うので!個人的にバンバン使って無人島を買っていろいろ…
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