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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【39】岬で異変を感じたらしい


沖縄二日目の朝は、軽い二日酔いから始まった。



たくさん飲んだ割に、3人とも酒が酷くは残っておらず、水分をとった後大浴場で朝風呂を決め込んだらおおよそ治った。


─ありがとう俺の肝臓!グッジョブ!



「昨日さぁ、いつ寝たか覚えてないんだけどオレ〜。」


車のエンジンをかけながら、福田が運転席でそう言った。


「俺も覚えてないや。福田がDT話をしてきたのは覚えてるんだけど─」

「それに関しては忘れていいからさぁ〜。」


福田は恥ずかしそうだ。

普段そんなにシモトークはしない奴なだけに、やっちまった感が拭えない。


「ウム、まあ、酔った時はそんなもんだ。ちなみに潰れたお前らはおれが運んだ。」


と川口が後部座席で、さんぴん茶を飲みながら言った。

起きた時、ちゃんとベッドで寝てるなーって思ったら、そうだったのか…。


俺たちは川口にいやあスマンスマンとひとしきり謝ると、気をそらすように今日のルートについて話しだした。




今日は美ら海水族館へ行った後、国道505号線でぐるっとまわって58号線に戻り、沖縄北部へ車を走らせ、最北端の岬に行く予定だ。


「やんばる」と言われる北部を一周して恩納村のホテルまで戻ってこよう、という計画である。


「山原」と書いて「やんばる」と読む。

那覇とは違い、鬱蒼としている山が連なる北部を指した、沖縄の方言だ。


最北端への道は、途中からコンビニなどもなくなるようだし、歩きや自転車だと大変そうだけど、車なら余裕で一周できそうだ。




俺たちは美ら海水族館を急ぎ目にバーッと見たあと、イルカショーも見ずに車へ戻り、北へ北へと走らせた。


水族館のある沖縄記念公園自体は結構な広さで、それも全て見ているとなると、かなりの時間を食ってしまう。


当初の目的は水族館だったけど、見知らぬ土地を車で走ることの楽しさにかられて、ドンドン進む方を選んだのだった。



だが──

一つだけ気になることがあった。


水族館の人混みの中、またあの「誰かに見られてるような感じ」が襲ってきたのだ。


観光客の誰かがこっちをジッと見てるのかな?とも思ったが、周りを見るとそんな感じを出してる人はいない。




「なんか、沖縄に来てから変なんだよね、俺…」


俺は、助手席の窓からやんばるの森を眺めながら呟いた。


「体調でもおかしいのか?」


川口が心配そうに聞いてくる。


「いや、そういうんじゃないんだけど…なんか……」


─この「誰かに見られてる感じ」─

すごい昔にも経験したことがある気がする…?


「もうすぐ辺戸岬(へどみさき)に着くよぉ〜!車酔いしてんなら、海風浴びれば治んじゃね〜?」



─車酔いしてる訳じゃないけど、まいっか。


福田の言う通り、岬の海風を浴びたら気分がスッキリするかもしれない。

変な感覚のことなど忘れて─




沖縄最北端の岬、辺戸岬。


近づくと、食事処のような建物があり、駐車場にはいくつか車が停まっていた。

食事処は、パーラーと書いてある。


「車走らせてる間に他にも見かけたけどさぁ、沖縄だと売店と食堂の中間みたいな店のこと、パーラーっていうっぽいよねぇ。」

「ウム、フルーツパーラーとかとも違う感じだな。」

「フルーツパーラーってさぁ、果物メインで出してんの?」

「いや、おれのジイさんのやってた店がフルーツパーラーでな、喫茶店と変わらんが──」



福田と川口がパーラーを見ながら話してる間に、俺は周辺をうろついてみた。


─体の中を通り抜ける変な感覚、なくなるどころか強くなってる…。



駐車場を取り囲む柵の向こうは、真っ青な南国の海。

昼下りの太陽の日差しは暑いけど、吹き付ける海風が気持ちいい。


気持ちいい、はずなのに─



俺はそわそわしっぱなしだった。


「建物は変わってるようだけど、この岬には来たことあるような気がするんだよな…。」


昔、親に連れられて沖縄に来た時、車でここまで来たのかな?

旅好きの親だから、レンタカーでドライブしてもおかしくないよな…。


岬の先端付近まで行ける遊歩道があったので、進んでみる。

道から外れて海へと続く岩場を降りていく。

遊歩道付近と違い、尖った小さい岩がゴツゴツ突き出ていて、非常に歩きにくい地面だ。

スニーカーを履いていても、足の裏が少し痛い。


その時。


─転ぶと危ないから、と抱きかかえてくれた父の顔と、傍らで微笑む母の顔が頭をよぎった。


「やっぱりここ、来た事あるぞ俺─」



岩場を歩いて、海辺へと近づく。


そわそわした感じがザワザワに変わる。


倒れたりでもしたら危ないと、しゃがんで波間を覗き込もうとした時─


「ウッ…!」



眩しい光が体を突き抜けるような感覚とともに視界が真っ白になり、俺は気を失ってしまった。


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