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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【37】大人なバーで飲んだらしい


俺たちは一旦部屋に戻り、肩がこらない程度に大人っぽく見える、カジュアルな服に着替えることにした。


髪もドライヤーで乾かしただけだから、少しは整えなきゃな…と思いつつも、せっかく洗った髪にワックスをつけるのは嫌だから、クシをあてるくらいにしとこう。



結果、全員一斉にアロハシャツになった。


俺は赤、川口は黒、福田は青。

それぞれプリントの柄は違えど、なんだかわざと揃えたみたいで…

というか、いかにも沖縄に来て浮かれちゃってます!って雰囲気出てて、吹き出してしまった。


「ア〜ロハ〜、アロハブラザ〜ス〜♪」


福田がCMみたいな調子で適当に歌った。


よし、いいぞ面白いからこれでいこうと言う事になり、トリプルアロハで本館ロビーに向かう。




吹き抜けのアトリウムになってるエリアの奥に、バーコーナーがあった。

案の定、ムーディーな感じで大人っぽい。


トーンダウンした灯りの中、シニア世代のご夫婦と、大人の女性四人組がカクテルを飲んでいる。



入口で店員から、ラストオーダーとなりますがよろしいですか?と、聞かれたので、OKだと答えて席についた。


もうそんな遅い時刻だったのか。



「閉店ギリギリだったね〜、危なかったぁ。」


福田がメニューを見ながら、ふうと息を吐いた。


「滑り込みできてよかった。2杯くらいまとめて頼んでおこうよ。支払いは部屋番号につけておいて、後で俺が払うから大丈夫。」

「すまんな、渚。なにからなにまで。」


川口が、少し申し訳無さそうな声色で言った。

気にすんな気にすんな、と答えて、オーダーする為に店員を呼んだ。




「「「うぃーす!」」」


カチャン!

3つのジョッキがぶつかる音。


乾杯するとき俺達は、だいたいウィースとかウースとかチースとか、適当な声を出す。

なんか声を出してると、よくわかんないけど乾杯ムードが高まるのだ。よくわかんないけど。


最初の一杯は3人揃ってオリオンビール。

沖縄のビールといえば、これだろう。

生で飲むのは、東京だと沖縄料理店にでも行かない限りあまりできないから、「あー沖縄来たー!」って気分になる。



3人とも口の端に泡をつけて、ニッコリ。


「ぷはぁ~!うま〜い。」

「ウム、風呂上がりだし、最高だな。」

「来てよかったって気分になるよね。」


グイグイ飲むのですぐなくなってしまいそうだが、2杯目に飲むぶんもちゃんと運ばれてきているので安心。

俺と川口が泡盛のカクテル、福田はフローズンダイキリを頼んだ。


「2杯目、チャンポンになっちゃうけど大丈夫かな…?」


俺はそんなに酒が強いわけじゃないので、ちょっと心配になった。

泡盛って強いって聞くし。


「これっぽっち大した量じゃない。大丈夫だろ。」


川口はザルに近いほど強いからなあ…大丈夫と言われてもあてにならない。


俺は泡盛のカクテルが入ったカクテルグラスを手に持ち、ちょっとだけ口をつけた。

甘い、色々な果物が合わさった香りが鼻を通り、最後に泡盛の香りがスッと抜ける。


「あ、美味いかも…。」


そう言った矢先に、川口が同じカクテルをグイーっと飲み干した。



「わっ、すごい。」


女性の声。


ん?と思って声のした方を見ると、隣の席の女性四人組のうちの一人が、ハッと口を抑えた。

川口の飲みっぷりを見て、つい呟いてしまったようだ。


「ごめんなさい。君たちあんまり美味しそうに飲むから、つい見てちゃった。」


「ハハ…そうですか」


川口は何にも言わずに、会釈だけしている。


「みんなでアロハって、元気だなぁって。」


お姉さん達は、ウフフと笑った。

でも、馬鹿にしてる感じじゃなくて、好意的な雰囲気を感じる。

俺はえへへ、と笑って会釈した。


─お揃いアロハ、早速目立ったかな。


「お姉さん達も旅行なんですかぁ〜?」


福田がいい感じでキッカケを作ってくれたおかげで、俺達はしばし、隣のお姉さんたちと歓談することが出来た。


お姉さんたちは短大時代の仲間と久しぶりに会って、沖縄旅行に来たらしい。


「感染症もなくなったって聞くし…ねー。」

「ありがたいわよね。結婚とかする前に、できなかった事、やっときたかったからさあ。」

「わかるー。色々我慢してたもんね。」


お姉さんたちはカクテルを飲みがら、口々にそう言った。


─母さんの力で新型感染症が消滅した事、ちゃんとみんな有難がってくれてるんだな。良かった…



しばらく飲みながら話してたら、店員から閉店時刻の知らせが来たので、俺たちはカクテルの残りをキュッと飲み干し、席を立った。



お姉さんチームも部屋に戻るそうなので、ではまた、と挨拶して別れた。



喉元まで、「部屋で一緒に飲みませんか」という言葉が出てきてはいたが、会って一時間も話してないし、ちょっとしたキッカケにねじ込んでいくスタイルは好きじゃないから言わないでおいた。


第一───



「ベッドだらけだからさぁ〜、女性を招くにはちょっと…飲む場所悩むよねぇ〜」


我らが部屋を思い返し、腕を組んで福田が言った。



そう、俺たちの部屋はベッドにだいぶ場所を取られてしまっているのだ。

おそらく普段は二人分のベッドが並ぶいわゆる「ツインルーム」なんだと思うのだが、3人なんでエキストラベッドを増やした状態になっている。

(壁の一部にベッドが収納されていて、ガコッと開いて床に倒すとエキストラベッドとなる仕組みなようだ。)


「ベッド増やしたぶん部屋飲みするスペースが減ってるから、3人で飲むのが限界かもな。」

「ラウンジスペースは駄目なのかなあ〜。」

「風呂上がりにソフトドリンク飲めたところ?あそこで飲み会してたら、他の泊り客に嫌な顔されそうだよ。」

「ん〜、それは困るなあ〜。」

「ウム…俺たちだけで、部屋飲みでいいぞ。」


コンパみたいな場だと人見知りしやすい性格の川口は、バーにいる間は無口になっていたが、ようやくホッとした微笑みを見せた。



─そうだよな。沖縄にはナンパしに来たんじゃなく、こいつらと気楽な旅がしたくて来たんだから、3人揃ってリラックスしていられる方がいいよな…。



俺たちは酒を調達しようと、本館のコンビニに寄ってみた。

が、もう閉まっているようだったので、自販機コーナーに行き、手で持てるだけの酒やソフトドリンクを買い、部屋に戻った。



「「「部屋飲みちゅいーっす!」」」


手に手にオリオンビールや缶チューハイを持って、乾杯しなおし。



気のおけない仲間だけでの部屋飲み、バンザイ!

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