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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【26】翻訳の仕事がきたらしい


登録しておいた翻訳仕事サイトの「案件一覧」ページに、俺向けの仕事が舞い込んでいた。



仕事案件といっても名指しで来るものはなく、「可能な方はご応募ください」といだたスタンスのものばかりで、中には


「翻訳結果を見せていただいた方の中から、優秀な方1名のみ採用させていただきます」


という、頑張って翻訳文章を書いても徒労に終わる可能性が高い募集内容のものもある。


そういうのは、正直つきあってられない。


「漫画や小説の公募じゃないんだから、もうちょっと安定して働かせてくれよ…」


楽しい創作作業とかでもないのに、働かせといて一人以外はみんな落とすよというのは、いくらなんでもキツイ…と俺には思えてしまう。



そんな中で、ひとつの応募しやすそうな案件が俺の目を引いた。


『スペイン語の家庭情報サイトの翻訳』


内容は、スペインの家庭情報(主に料理)サイトの内容を翻訳し、クライアントである日本のおしゃれなライフスタイルを提案する情報サイトに提出すること。


データ記事はたくさんあるようで、給料は出来高制。申し込んだら記事を渡され、翻訳して返し、良かったら採用、手直しが必要な場合は手直し、あまりに下手なら不採用。

記事の字数によって値段が違うようで、長めの記事は少し高くもらえるとのことらしい。


「これ、とりあえず申し込んで、1つくらいやらせてみてもらおうかな…。」


まだ自分の指輪を使った翻訳能力が客観的に見て確かなものか、試したことなかったし、興味がある。


─スペイン語なら、英語や韓国語ほどは「やり手が多すぎて満員御礼」ってほどはなりにくいだろう、きっと。


俺は応募フォームを書いて送った。



1時間後。


スペイン語翻訳クライアントから、翻訳サイトから転送されて、自分のEメールアドレスに返信が来ていた。

仕事依頼(おためし)だ…!


送られてきたデータを開いてみると、一つの料理のレシピが写真とともにスペイン語で書いてあった。

(指輪をつけた俺には日本語に見えるが、はずして読むとスペイン語だとわかった)

 

もとの掲載サイトのURLもついてたので開いてみると、なるほど、サイト自体文字が殆どを占めていてとても読みにくい。


海外のサイトあるあるだ。

現代日本人より文字がズラーッ!びっしり!という画面に慣れてる人が多いのだろうか?


写真もイラストもなしで文字も小さい、というページばかりだと、雑誌みたいに気楽にフンフン…と読める感じには見えないのだが、感覚が違うのかもしれない。


「いくらGoogle翻訳があっても、このサイト自体にたどり着ける日本人は少ないよな。」


その上英語じゃないとなると、なおその確率は下がるだろう。


「よし、書き写してみるか。」


俺は指輪の力で、目に見えてる「日本語」であるスペイン語を、そのままテキストに書き写した。


コピペをすると当然スペイン語としてペーストされるらしく、指輪を外してみたら原文もコピペ文もどちらもスペイン語だった。

(指輪をつけて見ると、どちらも日本語に見えるんだが…)




あっという間の作業だった。


指輪の力は、単に単語を翻訳するだけじゃなく、文章全体の意味を捉えて文法を調整した上で訳してくれる。

だから、本当に全文書き写すだけで大丈夫だった。


念の為、日本人には馴染みの薄い調理器具などについては、欄外に「※」をつけて、ネットで調べた説明を添えておいた。


個人的には、日本の料理サイトに比べると説明過多だし、書き手の感想なんかもドシドシ入ってきて長いなあ〜…と思える部分もあるが、それもひとつの読み物だから構わないのだろう。


スペイン文化に興味がある日本人にとっては、そういう節々の意見も参考になることだろう…と思う。詳しくは知らないけど。



俺は書き上がったテキストを、クライアントに送信した。



2時間後。


クライアントから、これくらいいけそう?とばかりに、今度は料理2種類と掃除洗濯系のいわゆるホームキーピングについての記事を2種類、そして心理カウンセラーによる恋愛相談のページをひとつ、送られてきた。


さっきよりはだいぶかさがあるけど、指輪の力があればどうということはない。


全部翻訳文を書き写し(流石に少し時間がかかった。)…送信っと。



確認作業があるのか、その日はその後返信はなかった。



俺は記事に影響されたのか、おもむろにスペイン料理を食べてみたくなり、ネットで検索してすぐ行ける店を探した。


恵比寿南にカジュアルなスペイン料理店があるのを発見。

酒も飲みたいので、徒歩で行く。

駅から商店街を抜けた程度の距離なので、たいして遠くはない。


サイト内のレシピの影響からか、とにかく海老が食べたくてたまらなかったので、店に入るなり海老のアヒージョが含まれてるコース料理を注文した。

およそ4000円。


プラスで、サングリアとモヒートを頼んだ。

どちらも名前は聞いたことあるけど飲んだことはなく、初めて飲む酒。


サングリアはフルーツ入りワインって感じで、モヒートはミントの葉がやたらと入っていてライムが添えられてるカクテル。


どちらもジュースやソーダのように甘くて飲みやすく、でもクドくない。


酒の力で食が進み、普段なら多いかな?と思えるような肉料理のコースも、パエリアも食べ切れた。


「スペイン語のサイトの翻訳をやってる間は、何度か触発されて来てしまいそうだなあ…この店」



─この店だけじゃなく、いっそのこと他のスペイン料理店を一つ残らず制覇していくってのも楽しそうだな。


「色々な国の言葉を翻訳して、その国の料理を食べてみたいな。東京には、物凄く沢山の各国料理のレストランがあるわけだし…」


グーグルマップでレストラン検索をしながら、この先の外食計画を練って、俺はホクホクしていた。

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