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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第一章 億万長者になっちゃった!
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【19】在宅ワークをするらしい


両親の異世界体験談を書いていくのは趣味…というか親のためのボランティアみたいなものだから、お金にはならないとして…



それとは別に、仕事を探さないといけない。


「恵比寿周辺で…とか思ったけど、できたら家で自由な時間にできる仕事がいいなあ…」



朝早く起きての通勤とか、もうしたくない。


このマンションを職場として、なにかできることをしたい。


「給料なんて少なくてもいいんだ。なにせ、たとえ月給5万円でも、魔法の革袋の力で月給500万円に増やす事ができるんだから…」


なにか職についてる、その事実があればいい。

他人に聞かれたときに、事実さえあればスッと答えられる。


フリーランサーな仕事をしていさえすれば、コンビニバイトと違って「月いくらもらっているのか」推測がしにくいから、若くして多少豪勢な暮らしをしていても怪しまれにくい。


「イラストレーターや漫画家、小説家が若くして大当たりを出す自由業としてイメージされるけど、よくわからないから説明しにくいし…」


どこで描いてるの?なんて聞かれたら困る。


秘密です、とか言ってもこれだけ高い家に住んでたら

「絶対メディア化とかもされてるヒット作家でしょう?!」

と勘ぐられる気がする。



「音楽家や投資家、YouTuberもあるけど、お金の入ってくる仕組みが漫画家や作家以上にわかりにくいから…そっちに詳しい人と出会って話すことがあったら、すぐボロを出しそうだしな…」



ちゃんと、自分ができることじゃないと駄目だ。


─そこで登場するのが、この指輪である。



「翻訳できる方募集…って求人は、と。」


通いの翻訳業や通訳がたくさんあるけど、登録して在宅ワークするのがいいな。


人の話した言葉を通訳するのも指輪の力でできると思うけど、通訳をわざわざ雇うっていったらキチンとした場だと思うから…


スーツできちっとしなきゃいけないかもしれない、と思うと面倒だ。早起きもしたくない。


言葉はわかれど、俺はコンビニや飲食店のバイトくらいしかしたことがないから、会社員の基本的ルールもマナーもわからない。


在宅最高、在宅一番。


この世から新型感染症の金が無くなったことは、まだ全ての確認が終わっていないため確定的には発表されていないが、俺はもうリモートワークはしなくてよくなったことを知っている。


だけどリモートワークしたい。

通勤イヤ、絶対。


「あ、でも、お姉さんしかいない職場で、昼から出勤していいっていうなら通勤してもいいな」


あるかな、そんな仕事。

美人じゃなくてもいい。お姉さんなら。


でも偉そうなおじさんが上司として取り仕切ってるのなら、たとえお姉さんだらけの職場でもやっぱいやだな。



そんな益体もない事を思ってる間に、俺は2つほど「在宅型翻訳業紹介サイト」に会員登録を済ませた。


登録費はかかるが、大して気にならない。

もしも仕事がチョビチョビしか来なかったとしても、その時はその時だ。

焦ってる訳でも、儲けたい訳でもない。


「翻訳家やってます」


という、親戚とかに聞かれた時に名乗れる職業名がほしいだけだ。


だからむしろ、引く手数多の人気翻訳家になって忙しくなりすぎても困る。


せっかくお金を100倍にできる袋があるってのに、遊ぶ時間がなくなるくらい働くのはごめんだ。



サイトに登録した使える言語は、英語、中国語、韓国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、その他。

全部のチェック項目にチェックを入れておいた。


きっと大丈夫だろう。読めないことはないはずだ。


知識が足りなくて、読んでも何を言ってるか全く汲み取れない専門的学術的な分野だった場合は、素直に「私の力量では無理です」と伝えよう。




「これでよし、と。あとは先方からの返信待ちだな…」


今日は土曜日。

きっと返信は週があけてからになるだろう。


「明日、梨亜と遊ぶルートでも考えるかな。食べる店の予約はもう済ませてあるし…」



俺は恵比寿周辺で女の子ウケが良さそうなショップの検索を始めることにした。

洋服とか、雑貨とか。

代官山まで足を伸ばしても、結構喜ばれそうな店が色々あるな。


「車で行くか、歩いて巡るか…車だと小さい店は見落としがちだし、歩きながらお喋りするのができなくなるけど、買ったものをすぐに積めるな。」


恵比寿を見回ったあと、車で代官山まで行ってどこかの駐車場に入れて、周辺のショップを歩いて巡るか…


それとも、先に代官山で待ち合わせして、後で恵比寿に─それならその後このマンションにも呼びやすいはずだが…



俺はふと、部屋の中を見渡した。


どの部屋も、広い割に小さくてボロい家具がちんまりと据えてある。


「…ここに人を呼ぶのは、先日買った家具が届いてからだな。」


軽くため息を付き、再びネットで女の子の好きそうな店検索を始めた。




夕方─


『異世界に勇者召喚されたけど聖女の嫁ができて戻ってこれた話』


と、


『異世界に聖女召喚されたけど勇者の恋人と戻ってこれた話』


のなろう連載第一話を配信した。



この時の俺はまだ知らなかった。



遊び半分のこの連載が、さらなる富を生むことを─

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 言葉が分かる事と、専門知識も有って、それを噛み砕いて平易な表現で伝えられる能力もあると、需要は多いかも知れないですね。 [一言] 文系と理系相互の橋渡しが、日本は苦手かも知れないな。…
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