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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第三章 英国の香り・ソルベリー王国
156/162

【156】通貨を百万円両替したらしい


公爵家の人々に断りを入れて、俺たちはケートが戻ってくるまでの間ソルベリーの城下町のカフェにでも行ってみよう、という案が出た。


案を出したのは、他でもない川口だ。


この国のことを知りたいからだと文化に触れたいだの言ってはいるけど、要するになんか食いたかったんじゃないかと思ってる。



クロテッドクリームがけのビスケットをお茶請けに出してもらったから少し腹の足しにはなっているが、元のイギリスでの時間はおそらく夜…9時は過ぎてるだろう。

ソルベリーはまだ午後のアフタヌーンティーって感じの時間だけど…。


俺たちは夕飯を食べてないから、ハラヘリなのだ。


今回ばかりは、東京にパーッと戻って近所でなんか食う、というのもできないから仕方ない。



公爵夫妻は、この国のことを何も知らないだろうから下町に行くのは心配なので、富裕層のためのエリアからは出ないようにと教えてくれた。

その方が、もしケートが帰ってきた場合に迎えの馬車をやりやすいと──くそ、そこまで言われちゃ仕方ないな。


ほんとは下町や繁華街もアチコチ見てみたかったんだけどね〜!

噂の『異世界転移者の街』も見てみたかったし。


今の俺たちなら、万が一チンピラやこそ泥に負けるとは思えなかったんだけど、騒ぎを起こして公爵家に恥をかかせてはいけない。


いまは公爵家の客人なんだ、ということを忘れないよう行動しよう。




俺たちは、客室を借りて、戦闘服から普段着に着替えた。


その際、ちゃんと俺のスキル

【異世界間資産両替】

も起動して、ソルベリーの通貨に両替しておいたのはいうまでもない。


貨幣単位は「ソル」

1ソル=100円だ。

コインではなく、紙幣である。1ソル札。


10ソル、100ソルもそれぞれ紙幣。

どうやらこの国は現代の元社会みたいに、紙幣文化が発達しているようだな。

物価はどうなのだろう。


「ポンドじゃなくてドルっぽい呼び名なんだねえ〜。オレにも両替してよ、渚ぁ〜!」

「国名によるところだろ。バザルモアだと貨幣はバザルだったから。おう、おれのも頼むぞ、渚。」


ソルベリーはこれからもたびたび来そうな予感がするので、俺たちはそれぞれ100万円ずつ両替しておいた。


バザルモアより物価が高そうな気がするしね。

何かあったときのために、多めに持っていて悪いことない。

(日本円に戻そうと思えば、手数料ゼロで俺が両替してあげれるわけだし)



それにしても、紙幣をカバンにむき出しで入れるのはなんだか落ち着かない。

これだけ紙幣文化の国なら、いわゆる「札入れ」を、売ってるんじゃないだろうか?


俺は、カフェによったあと、時間があったら革製品屋を覗いていこうと提案した。

そこでこの国の物価もなんとなくわかるだろう。




俺たちは、公爵家の馬車で富裕層が暮らす街、いわゆるアップタウンの街なかへと運んでもらった。


初めての「ソルベリー街歩き」である。



馬車で移動する人が多いからか道幅は広く、線が引かれてるわけじゃないが、なんとなく人は端、乗り物は真ん中を走る現代と同じ形式が出来ているようだ。


「おいっ、渚!あれ見てみろ!」


川口が馬車の窓に張り付くようにして外を見た。


するとなんと、陸橋のようなものがズッと長くかかっていて、そこにはかまぼこ型の屋根のついた建物があり──


「汽車?電車?…とも違う」


丁度、電車っぽいものが陸橋をつたって到着し、かまぼこ型の建物に吸い込まれていった姿が見えた。


「あれ…もしかして、モノレールじゃね…?」


沖縄のゆいまーるや東南アジアで交通機関として活躍しているBTSと同じような、汽車代わりのモノレール。

もちろん、東京でも存在する。


「動力はなんだ、磁力や電気のはずないから蒸気…スチームなのか?!」


にわかに、川口が興奮しだした。スチームパンクにも興味があるもんな


「ホラあれじゃん?バザルモアにもさあ、いきなり近代的なボート、あったじゃん。魔石で動くやつ」

「おっ、あったあった!そういや家電も全部魔石だったな。」


福田に言われて思い出した。

異世界では電気の代わりに魔石が使われているんだ。


「でも車とかはないようだし…異世界転移者が仕組みを知ってたものだけ研究されて、魔石を使って実現できたものが使われてるって感じなのかな。」

「それでモノレール?変わってんなあ…」

「ねーねー、バイクや自転車みたいなのとか、あるのかなあ。」


川口と福田は、すっかりソルベリーの最先端の魔石技術に興味を持ったようである。



短い時間、馬車に揺られて綺麗なメインストリートを走ったあと、馬車が到着したそこはなんと、


「ま、丸亀製麺…?!いや…似てるけど…」


チェーン店っぽい、ごく和風の讃岐うどん屋だった。


日本語の看板には『うどん』と筆で書いてある。

その横には「かけうどん」「釜玉かけうどん」「釜あげうどん」と、やはり筆で書いた書いた木の板が貼り付けられている。


「丸亀だな。」

「うん、丸亀だねぇ〜…」

「いやっ、そんなわけ無いだろ!ここ異世界の、それも英国寄りの地域だろ…!」

「でもホラ、日本のチェーン店って海外にたくさん進出してるっていうからさぁ…」


うん、あれだ。

突然のことに、川口も福田も頭が麻痺してる感じだ。


しかし、本当にここがソルベリーの上流階級の人御用達のレストランなのか?

俺たちにはどうにも、庶民的オブ庶民的な店に見えてしまうんだが──。



御者に聞いたら、公爵家オススメのレストランはここで間違いないという。


「ほら、あれじゃないかなぁ。異世界転移者の技術は大事にされてるみたいだからさぁ…。」

「そうだ、渚。ここはもしかして、日本から転移した人がその卓越した技術ゆえに、店舗を持たせてもらっている所なんじゃないか?!」


卓越した讃岐うどんの技術。

たしかに美味しそうではあるけど…。


まあでも、ソルベリーに住むという異世界転移者──それも、俺達と同じ日本から来た人には会ってみたいと、前から考えていたわけだし…。


「よし!うどん食って店主と話ししてみよう!」

「「やった!うどん!」」


二人とも、突然降ってわいた日本食になんだかテンション上がってる。


やっぱいつ食っても美味しいもんね、うどんって。


それも讃岐うどんなら、てんぷらの具を自分で選んで添えて、食べれるシステムだよね。

あーなんか、看板の筆字を見てたらにわかに腹が減ってきた。


店内を見ると、ガラスの窓の中にはもうもうと湯気が立っていて、絶賛営業中な雰囲気が漂っている。




俺たちは、御者の人に3時間ほどたったら迎えに来てくれと頼んで、うどん屋ののれんをくぐった。

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