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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第二章 異世界と東京をいったりきたり
103/162

【103】異世界での初戦闘


朝、身支度を整えて、異世界用のターバン&前開き商人服を着た上で1502号室を訪ねたら、扉を開けてくれたユーリに、


「あらっ、準備万端ね!渚」


と驚かれてしまった。


「おいおい、その格好で廊下通ってきたのかよ〜?」


すでに部屋に上がっていた福田と川口に笑われたが、こいつらの装備みたいな好戦的な装束なら廊下に出ることもできないだろうな。

廊下の監視カメラに映ってしまう。



「お前らも着替えた着替えた。」


腹の異次元ポケットから、川口と福田の装備をポイポイ出して床に置く。


「福田はまだしも、おれはフルアーマーなんだけど、暑くないか…バザルモア、南国だろ。東京ほどじゃないけど。」


川口が不安そうな声を出した。

南国より暑い東京どうなってるんだ。



「バザルモアに着いたら、体感温度を適温に変える魔法をユーリにかけてもらうといい。安心したまえ。」


イブが胸の大きく開いた、魔女らしいデザインの黒いドレスを着て、ウィダーインゼリーを片手に奥の部屋から現れた。


ユーリの魔法能力は増えてるようだな。修行でレベルも上がってる事だろう。


俺たちも今日は頑張ろう…!




全員、着替えて(川口は筋肉増強のアンクレットをつけて)いざ異世界へ。


「私とイブが昨日いたところに転移するから、街なかじゃないわよ。いい?」


俺たちはコクリと頷いた。




光が俺たちを包み、霧のように晴れていく──



いざ、完全に風景が見えるようになったそこは薄暗く、しかし森─ではなかった。

光る苔が節々に生えている岩肌。

どことなくじめっとした薄暗さ。


ここは、もしかして─


「チェマ近くのダンジョンよ!もちろんボスあり。みんなで頑張って最深階まで進みましょうね」


エエエえええ!

初戦闘がダンジョンか…それもボスあり。


「ここは通路も部屋が広く、初心者でも危険が少ない。各階は階段で区切られていて、他の階からリンクされにくいのでやりやすいぞ。」


後ろを振り返ると、お供の二人はすでにワクワク顔だ。


俺たちはユーリに、適温の魔法と毒にかかりなくくなる魔法をかけてもらい、歩き始めた。




隣の部屋(洞窟の場合も部屋と言えるのだろうか?)をチラッと見ると、少し大きめな黒い影の物体がいた。


形的には…闘牛みたいな、牛?

目のあたりだけ赤く光って、ウルルル…と地の底から聞こえるような音を出している。


声も動物と違うのか。よかった。


影とはいえ、ブモッ!とかワンとかニャンとか言われたらなんかやだもんね。


「ユーリちゃ〜ん、これが初心者用魔獣なんだ?なんかデカくね…?」


福田は手に茨の鞭を握りしめ、牛の影を不安そうに見据えた。


「あ、この階は私がレベル上げをしてるところだから、完全な初心者用ではないわね。でもこれだけの人数で向かうなら問題ないわよ、きっと」

「ちなみに今のレベルは…?」


俺はユーリに聞いてみた。

前に「聖女の手記を読んだらレベル20になった」とか何とか言ってなかったっけ──


「私、今レベル58」



まじかーーーー


じゃああの牛、レベル58相当の強さって事じゃん!


「戦い方の順序を守れば、大丈夫だ。それには渚、君の補助攻撃が肝心要になってくるぞ。」


イブが、俺の腹をぽんと叩いた。


「ソルベリーの宝物庫から『鈍化銃』と『毒化銃』を出して、左右の手で構えろ」


俺は、言われた通りのアイテムを出して、それぞれ左右の手に持った。


「まず鈍化の弾を撃つと、麻痺で相手の動きが遅くなる。その後すぐ、毒の弾を撃つのだ。時間とともに相手の生命力が減っていく。」


魔法のかわりの銃か。

当てられるかなあ…?


「おっと、自動照準の腕輪も、ホテルタラートの宝物庫から出して、装着するといいだろう。」


自動照準の腕輪。


なるほど、それは便利そう。

俺は早速、腹のポケットから取り出して腕にはめた。


「渚の弾の威力が効いてる間に、前衛の二人が攻撃して削る。もし間に合わず効果が切れたら、再び撃つ。この繰り返しだ。」


ユーリが、防御力を高める魔法を俺たち3人に、そしてイブが攻撃力を高める魔法を川口と福田にかけてくれた。



よし!

まずはやってみよう。


牛型の影の魔物がいる部屋に入ると、こちらに気づいた魔物が突進をする姿勢になったので、言われた順番で弾を撃つ。

腕輪の力でどちらも命中。


突進してる姿勢ではあるが、ビリビリ痺れながらあからさまなノロノロ動きになっているのが見て取れた。


「うっしゃ、いまだ!」


川口が走りより、剣で斬りつける。


「オレ後ろの方から打つねー!」


福田は、川口に当たらないよう位置を調節して茨の鞭で叩く。


暫くそれを繰り返していたら、突然影の魔物が角で川口の剣を振り払った。


「うわっ!」


尻もちをつく川口に突進しようとする魔物の角を、福田が鞭で絡め取って引っ張る。


「わー!すごこれ!巻き付けって思った所に勝手に巻き付いてくれる!」

「渚!弾を頼む!」


俺は急いで、鈍化と毒化の弾を魔物に撃ちこむ。


すると魔物は再び、ビリビリ、ノロノロした動きになり、川口は体勢を立て直す事ができた。


「ごめん!今度は途切れさせないで撃つ!」

「よろしく〜!んじゃさっきの続きいこー、川口!」

「おう!」


福田と川口は再び魔物を攻撃し始めた。




弾の効果は1分で切れるようだ。


計15回繰り返したから15分くらいたった頃だろうか。


影の魔物はバフっと弾けて、やっと魔石になってくれた。


福田も川口も、息をハァハァと荒らげながら、地面に座り込んだ。


「うっわ、疲れたぁ〜!」

「お…?でも…なんだこれは…」


川口が自分の胸や腕を触りながら、呟いた。


「体の奥からなにか湧き出てくるみたいなのを感じるぞ…」


わかる。

俺もそうなってる。


これはもしや──


「俺のステータス、開け!」



【クワノ ナギサ】24歳

【職業】勇者及び聖女の息子

【レベル】12

【固有スキル】異世界保有資産両替、異世界転移(勇者か聖女の協力時のみ発動)


「レベル…10も上がってる!!」



これって要するに、チート武器で格上挑戦して大幅レベル上げってやつ?!


「この調子でやっていけば、今日一日で相当レベルアップできるかもしれない…!」

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