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親が勇者転生したので俺は現実世界で金を100倍にして悠々自適に暮らします  作者: 古着屋バカンス
第二章 異世界と東京をいったりきたり
100/162

【100】福田が巨乳になったらしい


「じゃあ、いくよ…」


俺は、福田の前でシャツの前をはだけさせ、イージーパンツの中に手を入れた。


「いいよぉ、渚、いつでも出して…!」


福田は、俺の下腹部を見つめて、ゴクリと唾を飲み込む。


もし紗絵さんが今突如として部屋に入ってきたら、言い逃れできない光景だよな…と思いつつ、俺はズボンの中に入れた右手で掴んだモノを握りしめた。



「テレレレッテレー!竹トンボ〜!」


腹の異次元ポケットから取り出したモノを、見たまんまの名前で呼ぶ。

もちろん声は、わさびチックなあれだ。



「……え?それってマジでアレ?」


福田は、喜びと戸惑いの混じった複雑な顔で、俺の手の中の竹トンボを凝視している。


「どうなんだろ。頭に刺したら飛べるのかな…」


俺が竹トンボを頭に掲げると、福田が慌てて止めに来た。


「ダメダメダメー!首もげるゥ!」

「え?なにこわっ」



福田が言うには、もし現実で頭にプロペラをつけて飛ぶとなると、首がゴキャキャっと捻れて怖いことになるとのことで─


「何かで読んだ話なんだけどね。念の為やめとこーよ…もし普通に飛べたとしても、天井に激突してやっぱり首もげるかもしれないし」


怖い。しまっておこう。


「あ、待って…それさあ、どこの宝物庫の?」

「わかんない。何も考えずに出した。」

「折角チェックリスト作るんだからさあ、ホテル・タラートの地下宝物庫のなのか、それともイブさんが管理してるソルベリーの宝物庫なのか、分けてやってこーよ。」


そうだな。

今の所その2つからは取り出し自由になったわけだから、宝物庫を指定して取り出していこう。


その他の所は、王城の宝物庫だったりするかもしれないからむやみに取り出さないよう気をつけなきゃいけないんだった…。



「じゃあ、ホテル・タラートのからいこう。」

「それだけでも百個以上はあったよねえ…。」


俺は、ホテル・タラートの宝物庫の─という言葉を心で念じて、取り出していった。



地下宝物庫に行った時に見た印象の通り、わりと武器や防具など身につけるもの系が多く、ざっと見た感じで

「ナイトの銀盾」とか

「絹のローブ」とか

「あぶない水着」とか

勝手に名前をつけてチェックリストに書いていく作業を続ける。


もしかしたら、戦いの最中に使ったら特別な魔法効果が出るかもしれない─と思いつつも、マンションの中で何かおきたらいけないから、名を記したらすぐにしまう。


「異世界に行った時に、イブに聞きながら試用してみよう。」

「本当はこの作業自体、イブさんにやってもらえば早いんだろうけどさあ…ユーリちゃん鍛えるのに忙しそうだもんねえ〜、今。」

「うん、俺たちだけでやれる事だけやろう。」


腕輪や指輪は、ちょっと怖いけど試しにはめてみる。


万が一、呪われて外れなくなったりでもしたら──夜、ユーリとイブが帰宅したときに相談しよう。うん。




ゲームの世界でもそうだが、ステータスがプラス1とかプラス2になる効果がついてるアクセサリーなどは、それ単独だと


「そんなに変わらないかも…?」


と感じることが多い。


全身にいくつもつけて、その上で食事(もしくは薬品)効果などもつけた上で強さを実感することがしばしばある。


だから、宝物庫の指輪や腕輪なども、激しくなにかが変わったという感覚は薄いものが多かった。


このネックレスを除いては──



「はわわわわわわわわわ」

「うそぉぉぉぉぉぉぉっ」


な… 何を言っているのか わからねーと思うが…

あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!



福田におっぱいができた。


雄っぱいじゃない。おっぱいだ。


「なんで膨らんでるんだよ〜ここ〜!」


FENDIのTシャツをペローンと捲り、むき出しにする福田。


「やめろ!福田!目に悪いっ」


俺は思わず片手で自分の目を覆った。


「なに避けてるんだよ〜渚!ただのオレの胸板だよ胸板〜!」

「違う!乳房だ!なのに首から上、腰から下は福田のままだから頭がバグってしまう!」

「どーすればいいんだよ〜、女になっちゃうのオレ…」


福田の顔がなぜかちょっと嬉しそうなのもなんか…何ワクテカしてんだよ、こいつ…!


「ネックレス外せばいいんだ福田!」

「あ、そうかあ」


外した途端、シュルルル…としぼんでいった。


「あービックリした〜。」

「これ絶対、川口がつけてた筋肉増強のアンクレットと同じダンジョンで取れたやつな気がする。」


「変身系のアイテムもあるのかあ。イブのつけてる变化の指輪もそうだもんな。」

「イブさんの胸も偽物で、本当は男の胸だったりして〜アハハ」


福田はそう言って笑っていたが、俺は引きつるのみだった。


なんか、軽くそんな感じのことを聞いた時、


「フフッ、どっちだろうね?」


みたいなはぐらかし方をされたっけ──


「イブに対して、世のお姉様に対して感じるようなドキドキが去来しにくいのは何故か─」


俺は心で思ってることが、つい口をついて出てしまった。


「あっ!わかる〜、それ。イブさんってそういうとこあるよね。でも、ユーリちゃんもそれでいったら同じだよぉ?」

「むむっ……」


俺にとって、ユーリは前世が母さんだから、家族にしか思えないのかな…と思ってたけど、福田もそんな感じに思ってたのか。


「ある意味ふたりともさあ、俺達より長〜く生きてきたわけじゃん?だからかなあって思ってるんだけど。」


おばさんとか、おばあさんに対してみたいな、本能的に敬意を感じてしまう気分になるのだろうか?うーむ…わからん。


わからんけど、やたら恋のモードになってドキドキしたり、川口や福田とくっつくんじゃねーかとお互いヤキモキしたりするのは想像するだけで面倒くさそうだから、これくらいで丁度良い気がしてきた。



「次のアイテムは…なんだ?これ。」


紳士の顔と美女の顔が向かい合わせで掘られている玉のついた指輪だ。

試しに人差し指にはめてみる。


「福田、見てこれ!顔が──」


と、指を福田の方に向けた途端、


─グルンッ!


指輪の玉が回転して、紳士の面だけになった。


「ん?」


触ってみても、びくとも動かない。


「アハハ、男だから男の顔が出たのかもよぉ〜?」


福田が冗談交じりでそう言ったが、あり得ると思い、試しにスマホで橋本環奈の画像を表示して、指さしてみた。

すると──


─グルンッ!


玉は回転して、紳士の面は裏側に隠れ、美女の面が表に出た。


「これ…」


自分を指さしたら、再び玉はグルンと回転して、紳士の面が表に出た。


「相手の性別がわかる指輪なんじゃないか…?」



──イブに使ってみたら、どんな結果が出るだろう…。


と、一瞬思ったけど、なんか怖くなったのでやめた。


知らなくていいことってのが、世の中にはある。



いつかなにかの理由で使うその日まで、とりあえずこの指輪は宝物庫で眠っててもらうしかないな─。


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