「シチューにカツ」
始まりの町の郊外に店を構える、『猫にまた旅亭』。
この店は新米冒険者のために、安く量の多い食事を提供している。
中でも大人気のメニューが、『シチューにカツ』だ。
豊富な野菜とウサギ肉をじっくり丁寧に煮込んだシチューに、揚げたてのとんかつを乗せた一品。
名前の由来には、どんな困難に阻まれようと、決して諦めずに立ち向かってほしいという、店主の想いと優しさが込められているようだ。
シチューには隠し味として東国から取り寄せた調味料を入れ、それがたっぷり野菜のうま味と合わさることで、淡白なウサギ肉に濃厚なコクを引き出している。
そこにサクサクのとんかつが乗り、そのまま食べてもよし、浸してシチューの味を染み込ませるのもよしで、値段は銅貨五枚。
このボリュームでこの値段なのだから、懐が寒い冒険者の頼もしい味方であることは間違いない。
報酬が少なかろうと、疲れない仕事はない。
銀貨一枚のために一日中走り回り、装備の手入れや宿代に金が飛ぶ中でも、腹は減る。
少ない金でお腹いっぱいになれるなら、それ以上のことはない。
猫にまた旅亭は昼夜問わず、いつでも腹をすかせた冒険者を受け入れる。




