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「投石機」

「子供の頃を思い出さないか? まあ……あの時投げていたのはもう少し小さいやつだったが」

 ――兵士長ガレット


 

この攻城兵器が用いられた戦いで有名なものに、815年の天空城の戦いがある。


駆ける軍馬の旗を掲げた3千の兵士が剣山(つるぎやま)を囲み、夜が明けきらぬうちに100の巨石を頂上に放った。

いくつかは狙い通り城壁と尖塔を砕いたが、うち一発は偶然にも、天空城の鐘楼を破壊してしまった。


鐘楼が守っていたのは、決して鳴らしてはならない目覚めの鐘だ。鋳造された竜鋼の塊が城の中庭に落ちて転がると、北方全土に鐘の音が響き渡った。そのとき誰もが、目覚めの音を聞いたと言われている。そう、剣山に眠る竜でさえ。


投石機の一斉射で竜は500年の長い眠りから目覚め、彼の口から吐き出された冷たい炎は、またたく間に軍馬の旗を焼き払った。

以来、天空城は竜巣城と呼ばれている。


誰かに石を投げる時は、周りに何があるかをよく確認するといい。

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