●「魔法の才」
「あの子と遊んじゃ駄目よ。あんなのに関わると、燃やされちゃうわ」
「お屋敷の火事だって、本当はあの子がやったに違いないさ。親殺しの化け物だよ」
――街の住人たち
魔法とは、漂う魔力に形を与え、力として行使するもの。
それゆえ、ときに魔法を学ばずとも、生まれついての才能、あるいは直感や想像力で、意図せず魔力を魔法に変えてしまう者もいる。
そのような魔法は安定せず、長くは持たないが、炎や水のような単純でありながら強力な力は、それそのものが甚大な被害をもたらす場合もある。
制御できぬ純粋な力は、それだけで恐れられ、疎まれるのだ。
「フェルトさんって、ちょっと話しかけづらいと言うか……ねぇ?」
「この間は、ちょっかいかけた男の子が燃やされたんだって」
「髪だけじゃなかった? でも……怖いわよね。もし、体に火をつけられたらと思うと」
――北の魔法学院の生徒たち
居場所をなくした、炎の少女。
炎を操る力は街で忌み嫌われ、流れ流れて、北の魔法学院へ。
しかし、そこでも少女を見る目が変わることはなく。
炎を恐れる者か、侮蔑する者ばかりだった。
ただ二人を除いて。
「おーっほっほ! 無様ねぇ? ちょっと物を燃やせる程度で、このアンバー様に勝てると思ったのかしら」
「笑いすぎよ、アンバー。えっと、フェルト……さん? 合ってるかしら? 怪我はない?」
「私が……怖くないの?」
――星の運命に囚われし者たち
彼女たちだけが、少女を炎魔と罵らず、災いと恐れず、常に対等だった。
ただ二人、降霊と光の魔法使いだけが、少女を人として見てくれたのだ。




