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「モッフ」
「隊長、あれをご覧ください。やつら、モッフを盾に! これでは攻撃できません!」
「なんと卑劣な!」
――砂の国の兵士たち
ふわふわモフモフの毛が生えた、丸い玉のような黒い塊。
それを道端や茂みの傍で見かけたらなら、それはモッフだろう。
猫のような鳴き声と、愛くるしい姿で人々を魅了する魔法生物であり、砂の国では神聖視されている。
モッフは手足がなく、移動手段はころころと地面を転がるか、壁や穴はボールのように弾んで飛び越える。
目や口はあるものの、全身が長い毛に覆われているので、かきわけてやらないと見ることはできない。
小さな口には牙も生えているが、たとえ気づかずに踏みつけたとしても、モッフが怒ることはない。
それは性格が温厚なのもあるが、皮膚がとても頑丈で弾力もあり、人が踏んだところで逆に弾き飛ばされてしまうからだろう。
砂の国が戦争になった時、敵国の兵士はモッフを盾にくくりつけ挑んだという。
砂の国の兵士は攻撃することができなかったと言われているが、それがモッフの愛らしさからか、あるいは頑丈さゆえなのかは定かでない。
また、一部の地域ではモッフを投げてぶつけ合う、モッフボールという遊びが流行した。
ボール扱いはさすがに怒るかと思いきや、モッフたちは勢いよく飛ばされるのが楽しいようだ。




