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●「砂の都の大砂蟲」

 砂蟲とは、砂地に生息するイモムシのような怪物だ。

 幼虫の頃は足があり、砂中だけでなく地表を這って移動することもあるが、(さなぎ)から成虫に成長する過程で無くなり、完全な円筒形の姿へと変わる。

 

 成虫は顔の部分が大きな口だけになり、その内部は隙間なく牙で覆われている。

 狩りの方法も、常に砂中に潜み、獲物が近寄った瞬間、足元から飛び出して丸呑みにするものへと変わるのだ。

 一度口の中に入ってしまえば、獲物は無数の牙で刻まれる。救出は諦めるべきだろう。


 また、成虫の大きさは牛を丸呑みにする程度が一般的だが、稀に建物すら破壊するほど巨大な砂蟲が存在する。

 そうしたものは発見され次第、即座に討伐しなければ甚大な被害をもたらすだろう。



 ある時、砂の都に巨大な砂蟲が現れた。

 その大きさは、竜が立ち上がって首を伸ばした高さにも匹敵し、都の歴史上でもこれほどのものは確認されたことがなかった。


 現地の民が討伐の協力者を求めたが、運悪く冒険者協会から出せる人員がなく、応じたのは都を拠点に活動していた魔法剣士と魔法使いの二名のみだった。

 しかもこの二人は悪い意味で有名で、現地の者たちからすれば苦渋の選択だったのだろう。


 片や、なにかと騒動を起こす団の長。片や、戦闘になると突然脱ぎだす上に、火事を起こす露出狂だ。

 二人とも実力こそ確かだが、雇った側は砂蟲が倒されるまでの間、不測の事態に備える必要があった。

 しかし、そんな現地の民の心配も杞憂(きゆう)に終わり、大砂蟲は炎に包まれたまま真っ二つに両断されたのだった。


 大砂蟲の出現は、偶然ではない。

 竜の覚醒によって広がる、世界の変調。それがもたらした必然だ。

 さらに、時を同じくして、降霊術の魔法使いが砂の都にたどり着く。

 竜を追う者の到着を以って、オアシス団と炎の魔法使いの物語もまた、動き出すのだった。

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