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「森のエルフ」
「やつらは音もなくやってきて、ヨルムの首に矢を放った。警告もなしにな。いや、もしかしたら、森の中のなにかが警告だったのかもしれない。けど、あんな葉っぱだらけの場所で、そんなのに気づけるわけないだろう?」
――密猟者ダン
エルフといっても、その種類は人間が考える以上の数がいる。
あれはエルフだ、と言って指差すことは、海で泳ぐ魚に、あれは魚だと言うのとなんの違いもないのだ。
中でも森のエルフたちは、当然ではあるが森を隅々まで知り尽くしている。
危険な場所も、食料が取れる場所も。そして、密猟者が森の友人たちを傷つけていることも、すべて知っている。
他のエルフの例に漏れず、彼らの弓は狙いを外さない。もし矢が外れたなら、それなりの理由があるはずだ。
それは警告かもしれないし、エルフにしか分からない合図である可能性もある。
どちらにせよ、すでに彼らの射程に入っているのなら、覚悟を決めることだ。
祈ったところで、二射目が外れることは決してないのだから。




